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僕が人を殺す理由  作者: アズキ


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第18話「確保」

彼は喜びに満ちていた。

理由をやっとの事で見つけることができたのだ。

それを見つけることができたことにより、人を殺すという行為に対する興奮が舞い戻ってきた感覚。


ネットの奴らのために、自分が人殺しを行う。

ニュースで報じられる彼が起こした事件は一般人から批判が相次いでいることは確かだ。


それでも、本物だと気が付かないネットの奴らは自分の殺しを楽しんでくれている。

今日も今日とて獲物を探す。

そして発見する。


道端でたむろするヤンキー。

ある程度観察をすると、1人がその場を離れ、路地裏の方向へと向かう。

彼はそいつの後を追った。

フードを被り、手はポケットの中に収め、息を潜めながら。


ヤンキーの動きが止まった時、暗がりで狙いを定める。


仮面を取りだし、暗がりで被った時、運が悪いことに、とある人物と出くわしてしまったのだ。

黒川と。

黒川はその仮面を見るなり、目を見開き、陸上選手顔負けのスタートダッシュを決めて彼の方へ走ってくる。


彼は慌てて走り出す。

路地裏を曲がり、巻こうとするが、黒川はそれに追いついてくる。

途中で路地裏を通り、歩いている人を数人押しのけた。


微かに後ろから聞こえてくる黒川の応援要請。

囲まれるのも時間の問題。

そこで彼はとある作戦を取ることに。

角で黒川を待ち伏せするのだ。


先に角を曲がり、その場に待機する。

黒川の走る足音が近くに来た時、包丁を顔面の位置に持っていったが、考えが外れた。

なんと黒川は曲がる際に体を屈めており、攻撃を避けたのだ。


前回の経験を活かした戦法。

呆気にとられ、彼は包丁を手放し、黒川に突進される。

後方に2人で吹っ飛び、倒れ込む。


彼は自分の体重と黒川の体重が重なり、地面に衝突する痛みが倍に感じられた。

だが、アドレナリンが放出されていたせいか、そんなに痛みを感じない。

すぐに反撃を黒川にしようとするが、避けられ逆に一撃をもらう。


それも、狙い済ましたかのように左腕。

早乙女に撃たれた傷を殴られたことによる痛みに悶え、そのスキを突かれ、画面越しに顔面を思いっきり殴られた。


さらに後方に吹っ飛ばされた彼は痛みに耐えながら、逃げることを選択。

左腕を右手で掴みながら全力でその場から逃走。


体の舵取りを失ったかのように、建物の壁に何度もぶつかりながら路地裏を走る。

だが、ゆく先々で警察に包囲された。


黒川が要請していた応援が自分の場所にまできてしまっていたのだ。

警察に拳銃を向けられつつも、何とかその場から逃走しようと逃げ惑う。


既に包囲されているということも知らずに。


最後は角に隠れていた黒川に奇襲を仕掛けられ、地面に背中をつけてしまうのだった。

そこを数人の警察官に抑えられ、ついに彼は確保されてしまう。


黒川がタバコに火をつけながら彼の方に近ずく。


「早乙女を殺したのはお前だろ?

最初からお前は俺が捕まえるって決めてたんだ。

よくも俺の相棒を!」


動けない彼の腹に一撃。

ゴホッゴホッと、咳を漏らし、顔を上げ、また黒川の方を見る。

タバコの煙が黒川の顔を少し隠し、その合間から見えるその目が彼には少し恐ろしく見えた。


こいつは自分をどうする気だろう…


「殺すのか?」


「あ?」


「自分のことを殺したいはずだろう?

だから、殺すのかって聞いたんだ。」


「あぁ、殺してやりたいね。

でも、できない。正当な裁きをお前には受けてもらう。」


「理解ができない。

自分を殺せば喜ばれるのに。

何より、あんたが1番嬉しいし、楽しむはずだ、僕の死を。」


咥えていたタバコを地面に押し付けて火を消し、彼の髪の毛をギュッと掴む。


「楽しむもんか、喜ぶもんか。

そんなことしたって早乙女は戻ってこない。

早乙女が喜ぶ方法はお前が正当な裁きを受ける、それだけだ。」


髪の毛を離し、黒川は彼の方を見る。

理解ができていないらしく、首を傾げていた。


「最後に拝んでやるよ。

その仮面の下の顔をな。」


黒川は彼がつけていた仮面を外した。

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