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クランハウスの仕組みと村の危機


二人が大浴場から帰ってきたので、二階も見に行く。二階は何となく予想がついている。


ミカさんとメティスとで二階に行くと、やはりと言うべきか、個室になっている。


個室は全部で20部屋あるのかな?この数は初期在籍人数と同じだな。部屋の中は――


「おぉ!結構広いな!」


「12畳ってとこなのよ」


「でも、この大きさが20部屋もあるんですよね?クランハウスの大きさと明らかに違いませんか?」


「恐らく部屋の中の空間だけ大きくしているのよ」


なるほど、そういう事か。まぁゲームだからそこは何でもありか。


ちなみにクランはレベルを上げる事でクラン人数を増やせるのだが、最大レベルで500人だ。じゃあその500人をどうやってクランハウスに住ませるかが疑問だった。だが疑問はすぐ解消された。


「ん?この床だけ光っているな」


するとすぐ妖精が飛んでくる。そして俺達の前にまたホログラムのようなディスプレイが出てきて説明される。


「――!」


ビシッとそのディスプレイに小さな人差し指を指差し説明しているようなポーズだ。


なになに?この床はポータルなのだとか。クランレベルが2になると、このポータルは開放されるらしい。


このポータルを使えば二階の個人部屋以外の部屋に行けるのみたいだ。また一階の大広間より更に大きい大広間が開放されるとの事だ。


「なるほど」


「宿屋と同じ原理なのよ。宿屋の部屋だけ違うサーバーに飛ばしてる感じなのよ」


確かプレイヤーの数が多い為に宿屋の部屋が取り合いになることを防ぐ為、部屋は違うサーバーに飛ばされて管理されているのだっけか。


ついでに妖精からクランハウスの説明も受ける。クランレベルの最大は25で、最大在籍人数が500人なのは知っての通り。


クランレベルが1上がるごとに在籍人数が20人増える。そしてクランレベルが5.10.15.20.25の節目で設備ポイントが1貰える。


クランハウスには設備が置かれていて、その設備を利用できる。鍛冶や錬金、菜園や調理、商店等色々と利用出来る。設備レベルが高いとかなり便利になるみたいだ。おっ、分かりやすい例がある。


「なになに?初期は全て設備レベル0だと。レベル0だと一般的な設備。レベル1だとそれなりに良い品質の設備。2だと高品質、3だとかなり本格的な設備。4で一流職人向けで、5になるとAWFでも最高峰の設備レベルだそうだ」


「鍛冶ギルドで有名な鍛冶の鎚は、鍛冶の設備レベルが5とかじゃないの?」


「一つ一つのクランハウスに個性があるみたいで面白い機能ですね!」


「でもこれかなり迷うところなのよ。トップギルドなんてバランス重視にしてるんじゃないの?例えば鍛冶2錬金2、商店1とかね」


「なるほど。とはいえ、俺達は鍛冶は使えないからな。錬金はメティスがいるが」


「錬金のレベルなんて上げなくていいのよ。私一人の為に錬金設備上げるなんて勿体ないのよ」


「じゃあ何が良いんだ?」


「あ、あの!菜園なんてどうでしょうか?アイビーちゃんの為に花を育てたいのですが…」


なるほど。別に俺達が使わなくても、従魔が利用してくれれば良いのか。


「なら菜園レベルをMAXで良いんじゃないか?」


「賛成なのよ」


「え、えぇ!?貴重な設備レベルですよ!」


「まぁ間違えても変更出来るんじゃないのか?」


「それは難しいのよ」


メティスはそう言って、妖精が説明しているディスプレイを指差す。そこには注意書きとしてこう書かれていた。


【設備レベルを変更する際に必要な費用】


・1回目20億

・2回目50億

・3回目100億

・4回目100億+貴重な素材

………

……

…


「めちゃくちゃ高いな!気軽に変更は出来ないな」


4回目以降はずっと100億+貴重な素材になっている。貴重な素材が何なのか分からんが、恐らく手に入れるのが相当難しい物だろうな。


「で、でしたら菜園レベルに設備ポイントを全て使うのはやめませんか?」


「でも他に使いたい物がないからな。別に良いんじゃないか?」


「えっ…」


「そうなのよ。それに菜園レベルMAXで育つ花なんてアイビーちゃんも喜ぶんじゃないの?」


「えぇっ…」


「なら決まりだな」


「このクランハウスの周りが花だらけになるのは楽しみなのよ!」


「確かにそれは映えそうだな!」


「あ、あの…本当に良いんでしょうか?」


「問題ないのよ」


「それに竜の森にあった蜂の巣の周りも花畑だったし、アイビーちゃんにとってあったほうが良いだろ」


「あ、ありがとうございます!菜園頑張ります!」


「俺とメティスも手伝うからな」


「任せるのよ!」


「はい!」


って事で話はまとまった。あと読んでないとこは…これだ。クランレベルの上げ方。


クランレベルは敵を倒した際の取得経験値の1%がクランの経験値になる。ただこの経験値は1%引かれるのではなく、取得経験値の1%と同量の経験値がクランに入るということになる。


当たり前だが、最大500人が在籍できるクランなのだ。クランレベルが上がるにつれて段々上がりづらくなるだろう。特に少人数のクランなら尚更だ。


まぁでも俺達はのんびりやっていく方針だから、そこまで気にしてないんだがな。


説明が終わったからなのか、俺達の周りを自由に飛び回る妖精。そしてメティスの頭にちょこんと座る。


「妖精ちゃんに早速懐かれているな」


「そこは座るとこじゃないのよ!」


「あの、妖精ちゃんって呼びづらくないですか?」


「んー⋯まぁ確かに?」


「この際だから名前を決めてあげませんか?」


「もし、野良の妖精が現れたら名前被るしいいと思うのよ」


「名前かー。フェアちゃんとかどうだ?」


「却下なのよ」


「エンジェルちゃんを略してジェルちゃんはどうでしょう!」


「却下なのよ!君達センスなさすぎなのよ!」


「そうは言ってもな⋯。メティスはなんかいい名前あるのか?」


「⋯⋯リリィ」


その言葉を聞いた妖精ちゃんはそれがいい!と小さい人差し指でメティスを指す。


「これ以上なくしっくりきたな。完敗だ」


「凄く可愛らしい名前ですね!」


「なら決定なのよ。君の名前はリリィなのよ」


「――!」


言葉は発せないが、感情表現が豊かみたいで凄く喜んでいる。早速メティスがよく食べているクッキーを妖精にあげている。


妖精からすればクッキーは大きいのだが、普通に両手で持って食べている。


そんな妖精を見て和んでいると、妖精が何かに反応して下の階へ飛んでいく。その際、振り向いて俺達にこっちに来て!と手招きしている。なんだろう?


玄関の方に向かうと、誰かが家の前に立っている。お客さんかな?俺は玄関の扉を開けるとそこには、さっきの村の代表?が立っていた。


「忙しいところ申し訳ない。私はサイハ村の村長、ジグバと申す」


あの村はサイハ村って言うのか。覚えておこう。


「これはご丁寧に」


「早速ですが、この家はどうでしょうか?」


「自分達に合った家でとても気に入っています。ここに住もうと思うのですが良かったですか?」


「えぇ、それはもちろんです!ただ、相談したい事がありまして⋯」


やっぱり来たか。さっきウィルと村長が気になる話をしてたからな。


「もしかしてウィルと話してたあの件ですか?」


「はい、その件です」


一応代表として俺が話しているけど、もちろんメティスとミカさんも真剣に聞いている。


「何か困り事ですか?」


「はい。実はこの村は滅亡の危機を迎えているのです」


おいおい⋯良いところが見つかったと思ったら、いきなり近くの村が滅亡の危機か。穏やかじゃないな。


「どういう事ですか?」


「実はこの魔界樹から南へ行くと草原があるのですが、そこに魔物が巣食っていましてね、その魔物が頻繁に村の近くにまで現れるようになったのです」


「厄介な魔物なんですか?」


「一匹一匹は大したことないのですが、問題はその数なんですよ。数年前、その魔物が大量に村に押し寄せたことがありまして⋯⋯。その時に、通りすがったウィルナード様に助けてもらったのですよ」


「なるほど。それで知り合いだったのですか。じゃあ今回もウィルに助けてもらうのはだめなんですか?」


「はい、ウィルナード様もお忙しいみたいで。それにその魔物をいくら倒しても、大元を倒さないと無限に増えていくのだとか。その大元を探すのに時間が掛かるので、今回は手を貸せないとのこと。その代わり、その魔物を何とか出来そうな人達を連れてくる約束をしてくださったのです」


まぁ、数年前はまだこのゲームはリリースされてないからな。ウィルも気軽に旅をしてた頃だ。俺達プレイヤーが大勢この世界に来たから、ウィルも本来の仕事に戻ったと言ってたし、手を貸せないのは頷ける。


「そういう事ですか。まぁ今回はウィルの協力は得られないって事ですね。ちなみにその魔物の名前は?」


「キラーアントという魔物です」


「アント⋯⋯蟻?」


俺はチラッとミカさんを見ると、目をキラキラさせてこちらを見ている。ウィルの奴が、俺達にも利がある事とか言ってたが、こういうことか。


ちなみに、ミカさんがテイムしたい虫の中には蟻も入っている。なら、何とかしますか。


それにせっかく理想の拠点が見つかったのに、近くの村を、しかもこの拠点も襲うかもしれない魔物がいるとなると、こちらも黙ってはいられないからな。


「分かりました。やれる事はやりましょう」


「おぉ!本当ですか!ありがとうございます!」


「ただ、その魔物の規模やどれぐらい強いかは分かりません。もし危険だと判断した場合はこちらから伝えますので、その時はジグバさん達も避難してください」


「故郷を捨てるのは忍びないが⋯分かりました」


ここはかっこよく、蟻なんて余裕で倒しますよ!なんて言いたいが、その確証もなく出来るなんて言えないからな。


とりあえずジグバさんとの話は終わり、これからの事をみんなで話し合うか。初めてのクラン会議だな。三人しかいないが。



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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