↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
66/77

新しいクランハウスの探索


「へぇー、結構大きいな」


クランハウスは洋風の屋敷で、20人でも問題なく住める大きさである。


俺はアイテムストレージにしまってたクランハウスの宝珠を出す。アイテムストレージから出すと宝珠はすぐ妖精になる。俺は妖精に声をかける。


「すまないが、この家の中を見たいのだが」


「――♪」


妖精は頷いて、ドアノブに触れると、そこが淡く光り、ガチャと音が鳴る。


妖精は中へどうぞと言わんばかりのポーズでニコニコ笑っている。AIとはいえ小さい子供みたいで可愛らしいな。


俺とミカさんはクランハウスの中に入ると、まずはエントランスホールに出た。


なかなか広く、中央には丸いハイテーブルが置いてある。そのテーブルの上に小さなベッドが置かれている。


妖精も家の中に入ると、すぐさま小さなベッドまで飛んでいく。どうやら妖精のベッドらしい。


妖精は手招きして俺とミカさんを呼ぶ。妖精の近くまでいくと、視界にホログラムのようなディスプレイが出てくる。


そこには洋風の屋敷と和風の屋敷の画像が表示されている。


「これってもしかして洋風か和風を選べるってことか?」


「どちらも素敵ですね!」


「他のクランハウスにこんなシステムなかったよな?」


「そういえばそうですね。なんでこのクランハウスだけなんでしょ?」


と言われて考えても分からんな。なら深く考えず、そういうもんだと受け入れておこう。


「とりあえず和風に変えてみるか」


俺は和風の屋敷をタッチする。すると景色がガラリと変わり、エントランスホールから大きな和風の玄関になる。


「おぉーいいなぁ」


「なんだか懐かしい気持ちになりますね!」


そんな話をしていると、玄関の扉が勢いよく開いて――


「ちょっと!いきなり家が和風になったのよ!」


「あぁ、悪い。妖精の力で洋風か和風を選べるんだよ」


「そうなの。いきなり変わるからビックリしたのよ」


ビックリしているメティスの後をゆっくり追いかけて入ってきたのはウィル


「へぇー、こんな家にもなるんだね。なんだか落ち着く雰囲気だ」


「この世界には変更する前の屋敷みたいなのが多いのか?」


「そうだねー。でもこういう風な家がある国はあるよ。ただその国は、海を越えて行かなければならないんだがね」


おいおい!そんな国あるのかよ!メティスも驚いているな。日本の田舎みたいな国なのかな?現時点で海を渡る手段は見つかってない。


まぁウィルにお願いすれば連れて行ってくれるだろうが、それは当然、正規ルートではないよな。まぁこういうゲームに正規ルートもクソもないと思うが。だが行くならちゃんとしたルートで行きたい。


「そうか。ならいつか自分の足で行ってみたいな」


「ふふ、君はやっぱり分かっているね!旅好きの僕もその行き方をおすすめするよ。苦労して歩いて、ようやく海を越えて辿り着いた感動は、何物にも代え難いからね」


なんか今のでウィルの好感度が上がった気がするな。ここでもし「いつか連れて行ってくれよ」とか言ってたら好感度が落ちたかもしれない。


「まぁ、その国に行くのはまだまだ先になると思うがな」


「いいじゃないか。海を越えるのは難しいから、しっかり準備することだよ」


「いつか船旅をするんですね!私、船初めてです!」


「船はあまり好きじゃないのよ」


「そうなんですか?」


「もし船の底に穴が開いて沈むってなったら、海のど真ん中に置き去りなのよ!?」


「そういう事ってあんまりないんじゃないか?」


「君は分かってないのよ!ここはAWF内なのよ。海にどんな化け物がいるか分からないのよ?」


「確かに。まぁそういう時になれば俺やミカさんが守るさ」


「はい!しっかり守ります!」


「な、ならいいのよ!」


「それより今はクランハウスだな。メティスやミカさんは洋風か和風どっちがいいんだ?」


「どちらでもいいんですが、私は強いて言うなら和風です!」


「私も和風なのよ」


「俺も和風だな。じゃあここをリヤン・ヒューレンの拠点にしよう」


俺は妖精にこの和風のクランハウスに住みたいという旨を伝える。すると妖精は頷き、両手を重ね、お祈りする様な姿をとると、和風の屋敷全体がキラキラと光る。するとウィルが


「これは妖精の祝福だね。これで正式に君達の家になったと言うことだよ」


「そうなのか。ウィルもありがとうな」


「いいんだよ。それより、たまに遊びに来るから、また美味しい料理を食べさせてくれよ」


「手伝ってくれたのも料理の為か?まぁウィルらしいけどな」


「僕らしいかい?」


「あぁ。今日の恩もあるしいつでも来てくれていいぞ?」


「それはありがたいね!じゃあ僕はそろそろいくよ」


「もう行くのか?」


「君達も新しい家をみたいだろ?僕がいると落ち着いて見れないだろうからね」


「そういう事か。今度来る時はおもてなしさせてもらうよ」


「それは楽しみだねー!じゃあまた来るよ」


そう言って竜に変身して帰っていくウィル。手を振り見送っているミカさん。やっぱ何やかんや空気読んでしっかりしてるんだよな。


「さて、それじゃ中を見てみるか」


俺がそう言うとメティスとミカさんは頷く。結構広いから期待しちゃうな。ちなみにメティスはまた俺の肩に乗っている。


まず広い玄関なのだが、ここに妖精の寝床がある。寝床は移動できるみたいで、クランハウス内ならどこにでも置けるとのこと。


あぁそれと、正式にクランハウスにした瞬間から、玄関を出たところにポータルストーンが現れた。これでウィルに毎回、ガルガンディア大山脈を越えてもらわなくても良くなった。これはありがたい。


まずは広い玄関から左右に廊下が延びており、正面には2階へ続く階段がある。2階は後回しで、まずは玄関から入って左の廊下を進んでみる。


廊下を進んで突き当たりを右に曲がると縁側に出る。縁側からは巨大な魔界樹が見えるようになっている。あまりの大きさに全体を見ようとすると、首を大きく上に向けなければならないほどだ。


縁側の先には池があり、ししおどしがカコンといい音色を奏でている。


「風流ですねー!」


「風竜?ウィルのことか?」


「そっちの風竜じゃないのよ」


「分かっている。冗談だよ」



ウィルがいると必ず「僕のことかい?」とか言ってただろうな。その縁側に面した部屋が大広間になっており、基本的にここで集まったり、食事をしたりする場所になる。


玄関から右の廊下の先は調理場になっており、数人が料理していても余裕があるぐらいには広いキッチンだ。で、この調理場だが、大広間と繋がっていて、料理が出来上がれば、すぐ大広間に持っていける構造になっている。


「結構実用的じゃないのよ」


「ですねー!料理したくなります!」


「しかし、俺達はまだ三人だからな。三人だけで大広間を使うのはなんか寂しいな」


「そう?この広さに加え、外の敷地も使っていいのなら、蟻ちゃんの従魔であるシルクちゃんとアイビーちゃんを放し飼いにしたら、違う意味で賑やかになると思うのよ」


「……それもそうか」


俺の頭の中では、三人でも寂しくない光景が浮かぶ。次に向かったのは、大広間と調理場の奥。


大広間と調理場のさらに奥へ少し歩くと、どこか見慣れた暖簾が目に入る。


『ゆ』と書かれた暖簾だ。それを潜り、突き当たりを左に曲がると、今度は二つの暖簾が並んでいた。


正面から見て、左が青い暖簾で男湯と書かれていて、右が赤い暖簾で女湯と書かれている。そう、ここは大浴場。流石に混浴ではなさそうだ。


「とりあえず中を確認しようか」


「覗いたりしたらダメなのよ」


「するかそんな事!っていうかシステム的に無理だろ」


「こ、混浴じゃなくて良かったです!」


そう言ってミカさんがホッとした様子を見せるが、すぐに慌てて――


「る、ルヴァンシュさんが嫌なわけじゃないですよ!そ、その混浴だと恥ずかしいので…」


「ミカさん、言わなくてもわかっているよ。俺も混浴だと、ミカさんと入るのは恥ずかしいから」


「ちょ、ちょっと!私と入るのは恥ずかしくないってことなの!?私の体が子供だから恥ずかしくないってことなの!?」


どうなのよ!?と頭をペシペシ叩いてくる幼女。うーむ、失言だったか。実際はその通りなんだが、これを肯定するとまた煩そうだから否定しとこう。


……いやまて、もし俺がここで否定してしまえば、俺は幼女の体に興奮する変態という認識になってしまうのでは?マズイな。どうするか……。


俺はスキルの【高速思考】を駆使して必死に考えた。そして出した答えは――俺は肩に乗っているメティスを持ち上げ、ミカさんに預ける。


「ミカさん、後は任せた」


「えっ?あっ、はい」


俺はさっさと男湯と書かれた暖簾を潜る。後ろから「ちょっとー!まだ話は終わってないのよ!待つのよー!」と聞こえるが、無視だ無視!


暖簾を潜ると脱衣所があり、その先に木で出来た両開きの引き戸がある。その扉を開けるとそこは――


「おぉー!露天風呂か!」


しかも、ここからも魔界樹がよく見える。絶景じゃないか!右手の竹垣の向こうは恐らく女湯だろう。背の高い竹垣でしっかり遮られている。屋根が無く、頭上は完全に開けている。雨の時はどうなるんだろ?そんなことを考えていると――


「まったく、ルヴァンシュの奴ひどいと思わないの?蟻ちゃんも何か言ってやるのよ!」


「ルヴァンシュさんもきっと、メティスちゃんを可愛いと思っていますよ!でも、メティスちゃんと入るのは恥ずかしいと言ったらアレじゃないですか?ほら、メティスちゃんは美少女ですし」


「……確かに。私の中身は大人だけど体は幼女だし、恥ずかしいといえばこの体に興奮すると言ってるようなもんなのよ。肯定すれば私の怒りが、否定すれば私の体に興奮する変態……」


「そう言われると、答え辛い質問ですね」


「ふむ。確かに少し悪い問いをしてしまったのよ。まぁ今回は無かったことにしてあげるのよ。それより蟻ちゃん、見るのよ!ここからも魔界樹が見えるのよ!」


「そうですね!ゲーム内だからお風呂にはいらなくてもいいですけど、これは入りたくなりますね!」


今の会話、全部聞こえているぞ?まぁでも、ミカさんが俺の意図を汲んでくれてよかったよ。ミカさんに感謝だ。


俺は一足先に大浴場から出て、二人が出るのを待つ。その後は二階を見に行くとするか。



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。