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久しぶりの再会

誤字報告ありがとうございますm(_ _)m


妖精に「まだ空いているクランハウスの場所を教えて」と頼むと、指差しで場所を教えてくれる。俺達はその指示に従いながらのんびり歩く。


空いているクランハウスに着くと、玄関の前で妖精に「この中をみたい」と言えば、玄関を開けてくれて中を確認できる。


空いているクランハウスはまだ結構あったけど、どれも納得のいく場所ではなかった。


今は首都ヌヴェルヘルトでも、ほとんど人気の無い場所までクランハウスを見に来ている。ここら辺で少し休憩したいが、やはり人通りの少ない場所なのか、食事処も全然ない。


もう諦めて首都の中心街に戻ろうかなと思っていたところで、ようやく食事が出来る場所を見つけた。


俺達はその店に入り、席に座る。立地のせいなのか、客はほとんどいない。ただ雰囲気は悪くない。隠れ家的な店って感じだ。


メニューは魔王国では珍しい魚料理があったので、それを注文する。今は17時ぐらいだな。あと1時間で健康タイマーの時間だから一旦落ちないといけない。その後はまたクランハウス探しになるか。


「これといったクランハウスがなかったな」


「仕方ないのよ。AWFがリリースされてから一年以上経っているのよ。良い場所は取られていても不思議じゃないのよ」


「す、すいません。私の従魔達が暮らせるぐらいの広さがあるクランハウスなんて中々ないですよね⋯。わ、私は普通のクランハウスでも大丈夫ですよ?」


「なに言ってるのよ。ここで妥協してたら後々後悔するのよ?」


「そうだぞミカさん。皆が納得出来るクランハウスを探そう」


「は、はい。ありがとうございます」


俺とメティスが励ましているが、やはりミカさんは気にしているだろう。ミカさんの従魔達が伸び伸び暮らせる広さがあるクランハウスなんて限られているだろうし、それをミカさん自身も分かっているんだろう。


クランハウスの妖精も、自分が紹介した場所が悪かったと思い込んでいるのか落ち込んでいる。


「妖精さんのせいじゃないですよ?」


「むしろ色々紹介してくれてありがとうな?」


「別に魔王国でお気に入りのクランハウスが見つからなくても、ハイルジスト王国にも探しに行けばいいのよ」


「それもそうだな!」


「まだ探すところはいっぱいあります!妖精さんも力を貸してください!」


「――!」


妖精も元気が出たのか、笑顔になっている。良かった良かった。


そうだよな、まだ首都ヌヴェルヘルトしか探していないんだ。必ず良いところがある。俺達は次にどの街に探しに行くか話していると


「んー?なんの話をしているのかと思えば、君達は家を探しているのかい?」


「「「――っ!?」」」


全然気付かなかった!いつから俺達のテーブルの横に立っていたのだ?気配察知や魔力察知は常に発動している。それでも気付かないって事は、相手の気配遮断や魔力遮断が俺よりも高いって事だ。


ミカさんはともかく、メティスですら気付かなかった。メティスが驚いている姿は珍しいが、今はそんな事はどうでもいい。


俺は警戒しながら、声をかけてきた人物の顔を見る。すると――


「やあ!元気にしてたかい?」


「⋯⋯は?お前ウィルか!?」


「それ以外に誰に見えるっていうんだい?」


「ど、どうしてウィルさんがここにいるんですか?」


「それは君達に会いに来たからさ。でも普通に会うだけじゃつまらないじゃないか。だからこっそり近付いて驚かせてみたんだよ。ビックリした?ビックリしたよね!」


そうだった。こいつサプライズ好きというかイタズラ好きだった。


「あれ?君は初めて見るね。ルヴァンシュ君の友達かい?」


「そうなのよ。私はメティスなのよ」


「はじめまして、僕はウィルナード。気軽にウィルって呼んでくれ」


「メティスちゃん、ちょっと前にアイビーちゃんをテイムした話をしましたよね?その時に少し話に出てきた風竜のウィルナードさんです!」


「そういえばそんな話をしていたのよ。そう、この人がウィルナードなのね」


「えーそんな話をしていたのかい?どこまで話したんだい?」


「初めて出会った時から別れるまでなのよ。ウィルがイタズラ好きってのも聞いてるのよ」


へぇー、ミカさんとメティスは俺の知らないところでそんな話をしていたんだ。まぁ当たり前か。


っていうかミカさんもウィルの事をイタズラ好きって認識してたのか。


「酷いなー!僕はサプライズ好きなんだよ?」


「というかウィル、どうしてここに俺達がいるってわかったんだ?」


「どうしてだと思う?」


「どうしてでしょうか?」


分からないから聞いているんだが。そんな俺達を見て、メティスが口を開く。


「君達、ウィルから何か貰ったんじゃないの?」


「そういえば竜の鱗を貰ったか」


「ここの場所が分かったのは、恐らくその鱗なのよ」


「どういう事でしょうか?」


「その竜の鱗は、いわば繋がりなのよ。鱗にウィルの魔力が宿っているんじゃないの?鱗といえど、元は竜の一部。いつでも鱗の位置を捉えることが出来るんじゃないの?」


「⋯へぇー。メティスさんは賢いね。正解だよ!」


なるほど。だから俺達がこんな人気の無い食事処にいても、迷わず来れたってことなのか。


というか、ここに来てもいいのか?ウィルが魔王国に来れば騒ぎに――と思ったが


「⋯⋯あれ?角と尻尾がないな」


「あれは目立つからねー。だから隠しているのさ」


「なるほど」


「あ、そうだ!君達が言ってただろ?神のお告げがあったから、竜の国に異邦人が大量に来るかもしれないって」


「言ったな。あの後どうだったんだ?」


「本当に大量にやってきたんだよ!僕は隠れて見てたけどね。戦い好きの火竜に門番を交代してもらって正解だったよー」


「それはよかったです!」


「来た人達は色々と火竜の男に話しかけてたんだけど、あいつは『力を示したら答えてやる』の一点張りでさ。なのに戦わずに質問ばっかだから、最後にはブチギレてたよ。本当、僕じゃなくて良かったよ」


ウィルの性格的に、大量の人間から質問攻めは苦手そうだ。俺やミカさんは無闇に踏み込んだ質問もしないからな。


「君達がウィルと出会ったのは幸運だったってことなのね」


「出会ったというか、ウィルが一方的に絡んできたんだけどな」


「そう言ってぇ、今は友達になれたから嬉しいって思ってるんでしょ?」


くっ⋯!恥ずかしいような言葉をまた言わせようとしやがって⋯!待てよ?確かミカさんがストレートに好意を伝えたら照れてたな。なら試してみるか。


「あぁ、俺はめちゃくちゃ嬉しいぞ。そういうウィルはどうなんだ?」


「――!?⋯⋯ぼ、僕も君と友達になれて嬉しいよ」


おぉ!初めてカウンターが成功した!だ、だが、なんだこの空気。俺まで恥ずかしくなってきたんだが⋯。


「お、おう。ありがとう」


そう言ってお互いが照れくさくなって沈黙が続く。その沈黙を破ったのはミカさん達だった。


「あっ、イチャってますね!」


「二人で何してるのよ。男同士のイチャイチャなんて誰得なのよ」


「い、イチャってねぇよ!」


「そ、そうだよ!僕は女性が好きなんだからね!」


「いやそれだと俺が男好きに聞こえるだろ!俺も女性が好きだわ!」


「そう言いながら息ぴったりじゃないのよ」


「仲良しさんですね!」


「「ぐっ⋯!」」


ここは何言っても裏目に出そうだな。なら無理やり話を変えよう。


「そ、そういえばウィル、俺達に会いに来たって言ってたけど、本当にそれだけなのか?」


「どういう意味だい?」


「だから、他にも目的があったんじゃないかって」


「いやないよ?本当に友達に会いに来ただけさ」


本当に俺達に会いに来ただけなのかよ。いやまぁ、別に用事が無くても会いに来てもいいんだけどさ。


「こっそり話を聞いてたけど、君達家を探しているのかい?」


「家というかクランハウスだな」


「それ格好いい言い方してるだけで家と一緒でしょ」


「た、確かに⋯!」


「色々見て回ってるけど、私達の条件に合う家が中々見つからないのよ」


「そうなのかい。だからその子も落ち込んでいたんだね」


と、ウィルはクランハウスの妖精を指差し言う。


「この妖精を知ってるのか?」


「もちろんだよ。その宝珠は妖精族が創った魔導具だからね」


「冒険者ギルドは私達が家を借りるのに、特に何も要求してこなかったのよ。ただこの宝珠――妖精を渡しただけで。家を探してくれる案内人と言えばそれだけの事なのよ。ただ私は何か裏話があるんじゃないかって思うのよ。ウィルはそこら辺知っているんじゃないの?」


「⋯⋯ごめん。僕もそれ以上の事は本当に知らないんだ。妖精族にも知り合いがいるけど、何も聞かされてないからね。ただ、さっき僕はその子が『創られた』と言ったけど、生きてはいるよ。だから育てる気持ちで接してほしいな」


「だってさ、メティスお母さん」


「子供なんて持ったこともないのに、どうすればいいのよ!」


「め、メティスちゃん!私達もお手伝いしますから!」


「当然なのよ!」


「まぁ皆で育ててあげなよ。よく話しかけるといいかもしれないね!」


まぁウィルがこう言うなら何かありそうだし、皆で育てるのも悪くはないか。


「そういえば君達さ、条件が合わなくてなかなか家を見つけられないって言ってたけど、どういう条件なんだい?」


そう聞かれた俺達は事細かく説明する。特に、ミカさんの従魔であるシルクちゃんとアイビーちゃんがのびのび過ごせるような広いところがあればいいんだが。


「あーそれなら良いところがあるよ!」


「ほ、本当ですか!?」


「暇だし僕が連れて行ってあげよう!」


「本当にいいのか?」


「僕は君達の友達だからね!」


「わ、私は⋯⋯」


「何言ってるんだい?ルヴァンシュ君の友達なら、僕達はもう友達じゃないか!」


「強引な理論すぎるのよ。でも感謝するのよ、ウィル」


「じゃあ君達、早速いくよ!」


条件に合う家があると言われて俺達のテンションが上がるのは分かるけど、なんでウィルが一番テンション高いんだよ。


でもまぁ、本当にウィルと友達になれて良かったと感謝する。



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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