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プレイヤークエスト


「はぁー⋯やっぱりシャバの空気は美味いな」


ミカさんと竜の森に行った後は、ずっと忘却叡智の墓所に籠っていたからな。


今日は7月4日土曜日で10時ぐらいだ。既に朝のジョギングや朝食を済ませてログインしている。今はアインスルトをぶらぶら散歩中だ。


⋯⋯昨日は大変だったからなぁ。真理の家に女性が入ってきて、その女性が「お楽しみの邪魔をしてすいません」と言われた時は完全に人生終わったと思ったよ。


あの後、必死に弁明して事なきを得たが。というかあの人は真理の家政婦をしている古谷さんという方で、俺の事も真理から色々と聞かされていたから、特にビックリはしてなかったらしい。


誤解自体は早く解けたのだが、ドッと疲れたな。古谷さん、あの演技でアドリブなんだって。演技上手いのだが、そこは乗らなくていいんだよ!俺が社会的に死んだと思ったわ。


昨日の事を思い出しながら少し散歩して、宿に戻ってくる。ミカさんが3人部屋を取っていたから、俺も部屋に入れる。ありがたやー。


ベッドにはミカさんが寝ていて、メティスは既に起きているのかいない。って事でメティスに挨拶でもしておくか。


「おーす、メティス」


『ハローハローなのよ!昨日は大変だったみたいなのね』


「他人事みたいに言いやがって⋯」


『でもカレーは美味しかったのよ!』


「そりゃどうも」


いきなり横に引っ越してきてビックリしたし、お裾分けと言ったカレーを全て食べられたりとかもあって大変だったけど、何やかんや俺も楽しかったんだと思う。


小言を言いながらも受け入れてる時点で、俺は真理の事を嫌いじゃないのだろう。まぁ真理を理解するって言ったんだし、昨日の事で少しは理解出来たかな?


『それはそうと、忘却叡智の墓地での周回は終わったのよね?』


「ようやくな」


『なら後はそれを売るだけなのよ』


「じゃあワールドマーケットで出すか。幾らぐらいで売れるんだろ?」


『ちょっと待つのよ。ワールドマーケットより良い場所があるのよ』


ワールドマーケットより良い場所?そんなとこが本当にあるのか?


「そうなのか?」


『そうなのよ。ちょうど暇だから私が教えてあげるのよ』


「それはありがたいな」


『今は宿屋にいるのね?今からそっち行くのよ』


って事でメティスがこっちに来てくれる。数分後メティスが宿に入ってくる。


「早かったな」


「近くにいたのよ。それより先に、希少素材を買い取るのよ!」


そうだったな。先にそっちを買い取ってもらおう。まず呪いの剣の破片5329個。これは全く使い道がない。リビングカースソードの通常ドロップだからな。冒険者ギルドに売却。


闇の結晶は土の結晶と同じで、ドロップする敵が多いみたいだ。ワールドマーケットに3000シルで出品する。


そして呪いの血。これはメティスが買い取るらしいのだが


「なにに使うんだ?これ」


「用途はいっぱいあるのよ。呪術師やネクロマンサーが触媒として使ったりするのよ。錬金術師は色々な便利アイテムとして使えるのよ」


「ほぉ、色々な便利アイテムとな?」


「気になるの?呪いの血を使ってる有名なアイテムと言えば、禁忌のポーションシリーズなのよ」


禁忌のポーション?如何にもヤバそうなポーションだな。


「大丈夫なのか?それ」


「まぁ一言でいえば代償を支払うポーションなのよ」


本来は禁忌の秘薬・〇って名前なんだけど、みんな血のポーションって言ってるらしい。使用者のATK(力)を大幅に上げてHPが徐々に減るとか、VIT(防御)を大幅に上げてHPが徐々に減るとか。


ATKをあげるポーションなら禁忌の秘薬・力、VITをあげるポーションなら禁忌の秘薬・守みたいな。他にもINT(魔)とかもある。INTなら禁忌の秘薬・力(魔)になるみたいだ。


このポーションは主に上級者やトップ勢がよく使うみたいで、結構売れるのだとか。


「なるほどな」


「呪いの血はそのままでも素材になるのだけど、呪いの血同士を組み合わせると呪血晶という素材になるのよ。これがまた他の素材とかによく使うのよ。この呪血晶を作るだけでも売れるのよ」


呪血晶は呪いの武器や防具、他にも呪いの魔道具の製作に必要だったりと、幅広く使われるから市場で需要が高い。ちなみに錬金術では、呪いの血×5個で呪血晶になる。


「呪いの素材とはいえ、結構使い道があるんだな」


「呪いの血1つ5万シルで買い取るのよ」


「えっ!?そんな高いのか?」


「まぁボスの希少素材だし、用途は多いのよ。1つ5万でも元は十分に取れるのよ」


って事で少しオマケをしてもらい、呪いの血1742個を9千万シルで買い取ってもらう。やはり、隠しダンジョンのボスだからかな?希少素材の価値が高い。


「なんか、こんな大金持つと震えるな⋯」


「何言ってるのよ。忘却叡智でドロップした装備品を売れば9千万なんて霞んで見えるのよ」


「いや、流石にそれはないだろ」


「それより早く売りに行くのよ!」


メティスはそう言いながら、肩に乗せろと催促してくる。俺は手慣れた動きで片膝をつく。


「さっ!冒険者ギルドに行くのよ!」


「大人しくしててくれよ?」


そう言いながら宿屋から出る。


⋯⋯⋯

⋯⋯

⋯


って事でやってきました冒険者ギルド。やっぱり肩にメティスを乗せていると目立つな。


「っていうかさ、ワールドマーケットで売るつもりだったんだが、なんで冒険者ギルド?」


「ふふーん!それはね⋯プレイヤークエストを活用するのよ!」


「あー確かに装飾品を求めていたクエストとかもあったな」


「逆に装備品や装飾品を出すからお金や他の装備品と交換って感じのクエストもあるのよ」


「へぇー。プレイヤークエストってそういう使い道もあるのか」


「そういう事なのよ。まぁ今回は金策だからお金一択なのよ」


俺はメティス先生に教わりながら受付でプレイヤークエストを発行してもらう。


「こんな感じでいいのよ」


「おぉ⋯確かにクエストっぽい」


クエスト名:装飾品・二重呪文の指輪(不) の売却

依頼主:匿名希望

受注対象:所持金10億シル以上のプレイヤーのみ

報酬:二重呪文の指輪(不)

内容:クエスト名の通り、二重呪文の指輪を売却。物々交換は無し、シルのみでの取引。ワールドマーケットには今のところ売りに出されていない指輪なので相場が不明。なので最低10億シル〜で売ります。クエストを受注されたら、こちらから個別チャットを送りますので、プレイヤー名を必ず記載してください。こちらの場所を特定するような発言をした場合、取引はすぐ打ち切りにします。早いもの順です。


「こんなとこなのよ」


なるほど、勉強になるな。クエスト名はシンプルに目的を。依頼主は匿名希望が出来たのでそっちにする。このクエストを受けない人でも目にする事はできるから、匿名希望にできるならそっちの方がいい。


受注条件なのだが、すごく細かい設定が出来る。このクエストの場合、手持ちに10億シル以上持ってないと受けられない様になっていて、10億持ってないのに受ける人とか、買わないのに受ける奴が多いからこその設定だ。


他にも〇次職以上または〇次進化以上のプレイヤーとか、そもそも魔族しか受けられないみたいな設定もできる。


「後は従魔を持っているプレイヤー限定とかあるのよ」


「ほぉ、そんなところまで設定できるのか」


報酬はシルとか装備品とかだな。で、内容は伝えたい事。メティスが言うには、必ず俺の名前や場所を特定しようとする輩が出てくる恐れがあるための内容である。


プレイヤークエストを受注すると依頼主に連絡がいく。大体のセオリーは、連絡が来たらフレンド申請して、フレンドコールで相手と話す流れだ。オウムライスさんのクエストを受けた時はこんな感じだ。


だが今回は物が物だ。名前は出来るなら隠したほうが良いと言う事で、個別チャットにする。フレンドコールだと、フレンド申請の時に名前がバレてしまう。


個別チャットだと左下のチャット欄に名前が表示されるのだが、個別チャット時に名前を伏せる事が出来る設定がある。なので相手からだと■■■■■みたいな名前になっている。


あとは直接会うのもNGだと。よくオンラインゲームである、周りのプレイヤーやNPCの上に名前が表示されるのだが、AWF内では名前が上に表示されない。


なら直接会ってもいいのではないか?と思うが、そもそも俺は涅色の騎士みたいな格好で目立つから、会わないほうがいいと。


「なるほど、名前がバレたくないならそこまで考えないといけないか」


「君は見た目が目立ちすぎるのよ。直接会うのは悪手なのよ」


「まぁ確かに、涅色の騎士とか目立つよな。悪い意味で」


「魔王に仕える騎士みたいなのよ」


「うるせぇ⋯」


ちなみに、プレイヤーやNPCの上に名前は表示されないが、設定で自分の名前を表示させることもできる。俺は全体には表示しない設定にしている。


俺がしている設定は、プレイヤー名は表示させない、フレンドやパーティには俺の名前が見えるように表示されている。イベント関係での名前は匿名希望にしているぐらいか。この設定、あとでミカさんにも教えてやろう。


それとワールドマーケットで売らなかったのも、名前が表示されるからだな。メティスと最初にあった時はこれで名前がバレてしまったし。


今思えばメティスと初めて会った時に、鑑定されたっけか。あれもキャラの上に名前がないからこそ、本当にルヴァンシュであってるかの確認だったしな。鑑定は名前を隠してもバレるからこそ、いきなり鑑定するのはマナー違反なのだ。


「ありがとうな?あと、おんぶにだっこなのだが、この後の流れも一応教えてくれるか?」


「なら条件があるのよ?」


「条件?」


「また夕飯を作りに来るのよ!」


「おい、古谷さんがいるだろ」


「古谷さんには来てもらう回数を減らしてもらうのよ。私の家の横に知り合いがいるからもう大丈夫なのよ」


「おいそれって⋯」


「美少女の世話ができるのよ!喜ぶのよ!」


「喜べるかぁ!古谷さんを頼れ!」


そう俺が言うと、メティスは少し俯いて悲しそうな顔をしながら口を開く。


「古谷さんは去年結婚したのよ。本当は新しい旦那さんともっと一緒にいたいはずなのよ。それでも私が心配で⋯⋯だから頼れないのよ」


そうか、そんな理由があったのか。メティスはいつも明るく振る舞って弱いとこを見せないから、こんなメティスをみるのは初めてかもな。


まぁ確かに古谷さんにも人生がある。これから子供も出来ればメティスの家政婦を毎日するのは難しいだろ。


「はぁー⋯分かったよ。俺も料理が得意じゃないから毎日は無理だが、また夕飯作ってやるよ」


「ありがとうなのよ!ならこの後の流れを教えてあげるのよ!」


こ、こいつ⋯。夕飯を作ってやると言ったそばから満面な笑みになりやがった。さっきの悲しい顔はどうした!


「なら教えてくれメティス先生」


「いいのよ!この後は誰かがプレイヤークエストを受けると君のメールボックスに通知が来るのよ!通知には名前が載っているから、チャット設定で送る相手の名前を指名すれば個別にチャット送れるのよ」


「なるほど。だから受注する際は必ず名前を記載しないといけないのか」


「そうなのよ。相手が匿名希望でもこのクエストは受けれるのよ。ただし、名前が分からないと個別チャットはできないのよ」


「ふむふむ」


「後は個別チャットで相手から連絡が返ってきたら、トレード申請するのよ」


「いきなりか?」


「トレード申請する画面でもチャットは出来るのよ。それに相手も二重呪文の指輪が本当に持っているのか確認したいはずなのよ。ならトレードをする欄にその指輪をセットするのよ。トレード確定を押すまでは絶対に交換されないし、その状態であれば相手も指輪の能力を見れるのよ」


「よく出来たシステムだな」


「ただし、トレードにセットしたレアな装備品の能力が見れるって事は、土壇場でトレードをキャンセルして、こういうレアな装備品と能力があるって叡智の探求に情報を売る輩もいるから、キャンセルするなら釘を差しておくのよ?」


そうか、そういう事も考えられるのか。俺だけなら全く考えつかなかったな。本当にメティスがいて良かったと心から思う。そんなメティスを頼もしながら話を聞いていると


「あっ⋯メールボックスに通知が来た」


「失敗しないように私が見てあげるんだからやってみるのよ!」


やはり物が物だから緊張する。だが今は、メティスが横にいるからな。


「よし⋯やってみるか」



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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