↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
56/77

天才幼女襲来

とりあえず書き溜め分はちょくちょく投稿します。


最初はただの取引だったのよ。レアなアイテムを集めるのが好きだと考察したから、余った希少素材を売って貰おうと近付いただけなのよ。


君を鑑定すると特異なユニークスキルを持っていた事で更に興味を持った。


短い時間とはいえ、君と一緒にいると何故か安心するのよ。他の人と一緒にいる時は感じられなかった安心を、何故君といる時は感じられるのか分からなかった。だからこそ君に少し興味が湧いたのよ。


君が初めて蟻ちゃんを連れて来た時は羨ましかったのよ。私がパーティに入れば迷惑を掛けてしまうと理解しているからこそ、私も入れてと言えなかったのよ。


でもあの時は、もう少し一緒にいたかったから、私も無理やりパーティに入れてもらい、運営の真意という考察を君達に話したのよ。


今思えばあれは、君達へのアピールだったのかも知れないのよ。本当は私もパーティに入れてほしいと望んだからこそ、私なりの精一杯のアピールだけど、決して自分からパーティに入れて欲しいなんて言わない⋯⋯今考えると面倒くさい性格なのよ。


でも君は私の考察にどうでもいいってバッサリ言ったのよ。その後君は私をパーティに誘ったの。まるで君が、天才だから誘ったのではなく、メティスだから誘ったのと言われた気持ちだったのよ。


君が、君達が私を理解するって、一人にしないって言ったから嬉しかったのよ。ふふっ⋯楽しい事は一緒に共有したいなんて初めて言われたのよ。その時から君達は興味がある対象から、知りたいという対象に変わったのよ。


世界に絶望したあの日から色がなくなった私の世界に、また彩りを添えたのは君達なのよ?だから君のリアルの話を聞きたかったし、会えるなら会いたかったのよ。知りたいと思ったものがあるなら、私は何だってする。だから私は君に会いに来たのよ。


「め、メティス⋯⋯?」


「正解なのよ!」


「はぁあぁぁぁーーーー!?」


いやいやいや、ちょっと待て!なんでメティスがここにいるんだよ!村田さんは!?

隣村田さんだったよな!?


「全く、ビックリしすぎなのよ。そんなに叫ぶと近所迷惑なのよ」


やべっ!確かにもう19時だ。大きい声は近所迷惑だな。声を潜めながら驚きを隠せず、小さい幼女ことメティスに質問を投げかける。


「ビックリするだろ!ってかなんでここにいるんだよ!」


「なんでって、それはここに引っ越してきたからなのよ」


「いや村田さんは何処にいったんだよ!?」


俺がそういうとメティスは小さな親指と人差し指で円を作り――


「これでここを譲ってもらったのよ」


いやうん、言い方よ。小さい子が指でお金のマーク作ったらなんか嫌だわ。見た目はすごく神秘的で純粋そうなのに、心が汚く見えちまうよ。


「まぁ村田さんとメティスが話し合って決めたなら納得⋯⋯いやちょっと待て。俺が隣だと知ってるなら、一言あってもよかったんじゃないのか?」


「もし君の横に引っ越すと君に言ったら、許可してくれたの?」


「いや却下するが?」


「⋯⋯断られると分かったから事後報告したのよ」


「はぁー⋯⋯だがまだ気になる事はあるぞ?メティス、なんでお前が俺の家を知ってるんだ?」


引っ越して来たと言っていたが、たまたま偶然、俺の住んでるマンションの横に引っ越して来たなんて事はありえないだろ。可能性はあるとしても、それこそ天文学的な数字だ。レアアイテムを引き当てるより遥かに起こらない奇跡だわ。


それに俺がメティスと気付いてビックリしたのに、メティスは当然かのようにビックリしなかった。つまり俺が住んでる場所の横と分かってここに引っ越してきたのだ。


「それを話すのはいいのだけど、ずっとここで話すの?長話になるんだから上がっていくのよ」


「えっ⋯?いや俺が入るのか?」


「そんなの君以外に誰がいるのよ。それとも君の近くに見えざる者がいるの?」


「おい茶化すなよ。俺はもうすぐ三十のおっさんだぞ?そんな男が幼女の家に入ろうとするなんて危ないだろ」


「考えすぎなのよ。端から見れば冴えない父親と超絶美少女な娘なのよ。それとも君は私に何かするの?」


自分で超絶美少女とか言うのかよ⋯⋯超絶美少女だけど。ってか冴えないは余計だろ⋯


「するわけないだろ」


それこそ何かしたら俺は社会的地位すら失うからな。いやまぁメティスはお姉さんの歳だから大丈夫なのか?だとしてもこの見た目はダメだろ⋯


「君が何もしないって分かっているから家に上げるのよ?私だって見知らぬ人を家に上げたりしないのよ。それに――」


「それに?」


「そのタッパに入ったカレー、私に持ってきたのよね?なら冷めない内に食べてあげるのよ!早く上がるのよ!」


「いやこれは隣人の村田さんにお裾分けをと持ってきたのだが⋯」


「今の隣人は私なのよ!つまりそのカレーも私に渡すお裾分けって事なのよ!さぁ早く上がって準備するのよ!」


そう言いながら部屋の中へ小走りしながら入っていくメティス。俺は溜息をつき、頭を掻きながらメティスの後を追う。


このマンションの間取りは1LDKだ。玄関から入りすぐ廊下なのだが、廊下の真ん中あたりの左右に扉がついている。玄関から見て右側が寝室、左側は洗面所と横に浴室。


廊下を抜けた先はリビング、ダイニング、キッチンがある感じだ。にしても――


「なんか殺風景だな。あんまり物を置いてないっていうか」


「必要最低限の物しか置いてないのよ」


基本的に間取りは一緒なのだが、ダイニングスペースが無いから、リビングが広く感じる。本来ダイニングには食事が出来るダイニングテーブルとか置いてあるのだが、メティスには大きすぎるんだろう。


だからダイニングテーブルを取っ払い、リビングテーブルというか、ローテーブルを置いているって感じだな。キッチンは恐らく何も手を付けてないのかな?かなり綺麗だ。


「食事はいつもどうしているんだ?」


「基本的に出前が多いのよ」


まぁそりゃそうか。キッチンもメティスにとっては使い辛いもんな。メティスには少し大きいローテーブルの近くに置いてある、小さいクッションに座る。ローテーブルの上には既にスプーンが置かれている。


それにしてもテレビとか大きいソファーとかも置いてないから余計に俺のリビングより広く感じる。そう思いながら、カレーのタッパをメティスの前に置く。


「俺も料理は初心者だからな。美味しいか分からんぞ?俺的には上手く作れたと思うの――」


「美味しいのよ!」


俺が言葉を言い終わる前に食ってやがる。まぁでも、そんだけ美味しそうに食べられちゃ何も言えないな。


「小さい体のわりに一口が大きいな」


食べるのに夢中で俺の言葉に何も返して来ないメティス。みるみる内にタッパのカレーは無くなり


「おかわりはないの?」


「⋯⋯あるぞ」


「ほしいのよ!あとご飯もあれば最高なのよ!」


「はぁー⋯分かったよ。ちょっと待ってろ」


俺は自分の家に戻り、カレーが入った鍋と炊いてあった炊飯器をメティスの部屋まで持ってくる。次いでだから俺も今日の夕飯もとい、カレーを食べる。


メティスは食べると夢中になって話がよく途切れる。AWF内ではそんな事はなかったのだが、やはり架空の食べ物とリアルの食べ物は違うのかな。AWF内よりリアルで食べる方が好きなんだろう。


よく話が途切れるからメティスが食べ終わってから話を聞こうと思ったのだが、見た目が幼女で忘れてた。そういやぁメティスめっちゃ食うよなって。食事を始めてから一時間、作りすぎたカレーと炊飯器で炊いた今日の米が見事になくなった。


「大食いなのは知ってたが、間近で見るとすげぇな⋯。俺も食べたとはいえ、ルーなんて五〜六人前はあっただろ」


「これでもまだ腹半分ってところなのよ」


「まじかよ⋯」


俺がそう言うと、スッとメティスは立ち上がり、自分の寝室に入ったかと思えば、すぐに出てくる。なにやら手に封筒のような物を持っている。その封筒を俺の前に置いてくる。


「ご飯代なのよ。そこから取ってほしいのよ」


俺は嫌な予感がしたが、その封筒の中を見る。中には万札が束になっている。この厚さ50万ぐらいあるんじゃないのか?俺は変な汗をかきはじめた。


「いやいらねぇよ!つか怖いんだが!」


「別に怪しいお金じゃないのよ。普段は出前で携帯から払ってるからお金は持ち歩かないのだけど、手元にも幾らかないと困る時があるから置いてあるのよ。カレーをご馳走というか食べ尽くしたのに、お金を払わないなんて流石に私でも図々しいと思っているのよ。とはいえ、今食べた量のカレーがどれぐらいの値段か分からないから、現金を持ってきたのよ。いつも出前をする時は値段とか見ないから相場が分からないのよ」


「タダでいいんだよ。お裾分けなんだから」


「ならお言葉に甘えるのよ」


「それはそうとメティス――」


「君!ここはリアルなのよ?メティスって呼び方はやめるのよ」


「それはそうだな。だが俺はメティスの名前を知らないのだが?」


「君、表札見てなかったの?」


「まぁ村田さんだと思ってたからな」


「まぁいいのよ。私の名は一条真理なのよ」


「じゃあ⋯一条さん」


「なんかよそよそしくて嫌なのよ」


「それじゃあ⋯真理ちゃん」


「ちゃんなんて歳じゃないのよ!」


ほんと注文の多いわがままお姫様だこと。見た目が幼女なんだからちゃんでも変じゃないがな。まぁこれを指摘するとまた怒るのは目に見えてる。


「なら真理で」


「悪くないのよ」


そう言いながら口元が緩みっぱなしだな。まさか名前を言わせたかっただけじゃないだろうな。それより


「それで?どうして俺の部屋を知っているんだ?」


「それはね――」


⋯⋯⋯

⋯⋯

⋯


「なるほどな」


大体は理解した。以前俺は真理というかメティスに身の内話をした。その時に俺が働いていた会社や上司の名前を言った。勅使河原って名前は珍しい名前だから、すぐに会社は特定できたとのことだ。


あとはその会社から出てくる人間に俺の親戚の子供で、一人でこっちに来たけど、地図を無くした。会社の名前はよく聞かされたからここまで来た。だから俺の家を知っているなら教えてほしいと可愛く頼んで教えてもらったらしい。


「あー⋯名前は確か安藤とか言ってたのよ」


あー教えたのお前か安藤。安藤圭吾(あんどうけいご)は俺の同僚で、AWFを紹介してくれたのも圭吾だ。まぁアイツならこんな可愛い娘が教えてと言ったら怪しまず普通に教えるだろうなー。


そして俺の部屋を特定したら、隣人にこの部屋から退去してほしいと頼んだって事か。その時に退去するかわりに、引っ越し代と当分は仕事しなくても良いぐらいのお金でこの部屋を買ったという事だな。退去した後はすぐに不動産屋でこの部屋を借りたって事か。


「なるほどなー」


「それよりも君!私の寝室をみるのよ!」


「いや何でだよ⋯」


「私が考えた最強の部屋なのよ!」


「おい、寝室だろ?流石に男が寝室に――」


「早く来るのよ!」


なんかすごく自慢したそうだな。まぁそこまで言うなら見てやるか。というか見ないとずっと言ってくるだろうなー⋯。


って事で寝室を見に行く。基本的に間取りは俺の部屋と同じなのだが、真理のこだわりがあるのだろう。


寝室の扉の前で待っている真理はどう見てもワクワクを抑えられない子供だな。真理に近づき


「さぁ私の城を見るのよ!」


そう言いながら扉を開く。まず扉を入って右に仕事場?がある。こういうのってゲーミングデスクっていうのかな?それがコの時に置かれている。つまりデスク3つ置いてるんだよ。


で、デスクトップPCが3つ、キーボード3つ、モニター6つ置かれている。いや多すぎだろ。


「こんなに必要なのか?」


「仕事をする時に必要なのよ」


俺もPC系とかはあまり詳しく分からんが、これ普通じゃないよな?


逆に入って左側にはVRヘッドギア専用筐体が置かれている。流石に真理の身長に合わせた筐体は無かったのか、俺と似たような筐体だ。やっぱ持ってるよな。


そして筐体の近くにゲーミング冷蔵庫ってやつか?が2つ置かれている。気になるのは⋯


「真理、お前服とかどうしてるんだ?仕舞うとことか無くね?」


「そんなの必要ないのよ?滅多に外に行くことなんてないのよ」


「いや極端すぎるだろ⋯」


マジカこいつ。まぁでもこれが、真理にとって最高の部屋なのだろう。と、俺は寝室の部屋には入らず、覗きながら部屋の中を見る。やっぱ流石に入るのは抵抗がな⋯


「ほら君も入ってくるのよ!特別にもっと近くで見させて上げるのよ!」


「いや俺は⋯」


俺が渋ると真理は、トテトテとこっちに駆け寄り、俺の右手を掴み


「なに遠慮してるのよ!早く入るのよ!」


そう言いながら真理は俺の手を掴むと、そのまま寝室の奥へ引っ張っていく。すると玄関が――


――ガチャ


「真理さん、夕飯を作ってきましたよ?どうせまた体に悪い物を頼んでいる――」


いきなり入ってきた女性と目が合った⋯⋯。俺は背中から冷や汗が滝のように出てくる。


まずいまずい⋯!今この女性からは真理が俺の手を掴み、自分の寝室に招き入れようとしている姿が映っているだろう!まずい誤解を生む!何とか誤魔化さないと!


俺は頭をフル回転しながら、この初対面の女性に一番誤解されない言葉は何だと考え、結局出てきた言葉は


「あっ⋯⋯⋯お邪魔⋯してますぅー⋯⋯⋯」


「⋯⋯⋯⋯お楽しみの邪魔をしてすみません」


――ガチャ


「ちょ!?誤解だぁぁああぁーー!!」



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。