25章 光明
紫月の紫色の眼が黒く染まっていく、体も人間とは言えない異形へと変わりゆく。
「これってまさか、鬼灯様、すぐに離れて、その死神は闇憑に憑かれていたんだ。」
「え?蓮?無事だったのだな!」
屋根の上から蓮が大声を上げる。無事だったことを安堵する日まもなく鬼灯は剣剥に連れられ、蓮の下へと降ろされた。
「死神のはずなのに強すぎると思ったら、闇憑だったのか。だから黒川家に執着を。」
「蓮、そのヤミツキとは何だ?」
「闇憑とは、誰でも憑かれる可能性のある厄介な黄泉の国の魔物です。普段は黄泉で生息しているのですが、強い闇や絶望を感じた際に現世にやってくるのです。」
いつになく悔しそうな顔をしながらも鬼灯のみを案じていたのかホッとしたような顔をした蓮は凄まじい知識量で解説した。
「わぁ〜その眼鏡って伊達じゃないんだねぇ〜」
「そんな事を言う余裕があるなら一人で死んで下さい。」
あからさまな敵対心をむき出しに、蓮は剣剥のことを突っぱねる。
「それでは、救う方法はないのか?」
「救う?何を言っているのですか鬼灯様。一族を滅亡させようとした死神ですよ?」
「それは黒川家に問題があったんだ。やり方はどうであれ、一族もなすべきことをせねばならない。これは、紫月だけの問題ではない。三途川殿も手を尽くしてくださる」
「そう、なんですね。鬼灯様がそういうのなら、蓮もついていきます。」
(昔から、世話ばかりかけてしまうな)
「そうと決まればぁ〜教えてくれるんだよねぇ〜?」
「チッ、、、、、もちろんです。ですが、その方法というのが、闇にも負けない強い精神のものにとりつかせるという方法しかないのです。」
少し困った様子で蓮はそういった。
「強い精神?つまり、他のものに憑かせても成功するかわからないのか」
「はい、おっしゃるとおりです。」
さすが鬼灯様と言わんばかりの嬉しそうな表情で蓮は答えた。
「なら、私が____。」
「おいおい、ちょっと寝てたぐらいで仲間外れとかねぇんじゃねぇの?なぁクソメガネ?」
「菊⁉️これは、幻?本当に、、菊なのか?」
剣剥におぶられて会話に加わったのは紛れもなく菊だった。
「剣剥!この一瞬で?」
「今は菊の霊圧不安定だからね〜触れながら調節してたら間違えて気配消しちゃってたぁ」
テヘペロの勢いで剣剥の周りに輝くオーラが飛ぶ。
「間違えてって.....菊が無事に越したことはないな。大丈夫なのか?」
「まぁ説明とかは生きてたらしてやるよ。とりあえずは強い精神が必要なんだろ?」
そんな会話は完全スルーされ、菊はにやりと笑っていった。
「俺がやってやる。俺以上に使えるやつはいねぇよ?」
「そんなことをしたら、、、ただでさえ霊の呪いを持っているというのに」
不安そうな顔をして鬼灯は菊の言うことを却下しようとする。
「お前がやれるわけねーだろ?俺が死んだくらいで剣剥がいなかったらどうなってたか」
一方でその言動にイラッとしたのか菊はいつもの調子で鬼灯を煽る。
「4日ぶりだってのに退化してねぇか?まぁ、役は俺で決まりだな」
「死んだりしたら許さない。それを条件に許可してやる。剣剥がいないと動けないくせに強がっているんじゃない。」
そう言って鬼灯は菊がさっき刺されたところを後ろからつついた。
「っっっっっっっっっっってぇぇえええええええええええええ鬼灯ふざけんじゃねぇぞ!」
「くはは、ざまあみろ」
(この光景を見つめてどこか嬉しくなってしまう時点で僕の負けは確定しているのだろう)
戦闘前とは思えないほど賑やかなひと時もすぐ終わりを告げた。
「ニガサナイゼッタイニユルサナイユルセナイゴメンナサイワタシノセイデイヤダイヤダイヤダイヤダイカナイデオネガイウ”ゥ”ア”ァァァァ”ニガサナイニガサナイ」
「正気じゃなくなってるみたいですね。これ以上逃げることはできません。」
「チャンスは一度だというのか。...できるか、菊?」
「俺を誰だと思ってんだ?今度こそヘマはしねぇよ。」
「それにぃ〜だめだめな菊は僕が守るからぁ〜」
闇憑に憑かれてしまった紫月を前に全員が覚悟を決める。
「闇憑を移します。菊様、覚悟してください。霊愁眼、我が名のもとにこの力を解き放たん、闇憑を招き、封印せん、器へ誘わん」
蓮が霊眼を使って紫月に取り付いた闇憑を菊へと移す呪文を唱えた。
「ァ"ァ"ァ”ア”イヤダグルジイヤメロォ”ォ”ォ邪魔をスルナァ”ァ”」
声にならない叫びとともに紫月にまとわりついていた邪気が菊の下へ吸い込まれていく。
大きく、黒く不気味な塊が発狂しながら紫月の元を離れた。
『繝弱う繧コ縺ソ縺溘>縺ェ譁?ュ怜喧縺代?譁?ォ?謨吶∴縺ヲ縺上□縺輔>縲ゅさ繝斐?縺』
「あんなに強い邪気が紫月に取り憑いていたのか..あんなにも苦しんでいたのだな...菊!油断するなよ」
「当然だ、来い!...ぐぅ、、ガハッ、ぁが、舐めんじゃ、ねぇぞ!いくぞ!剣剥!」
「あいあいさぁ〜」
黒い闇憑は菊の体内へ取り憑いた。
ーーーー
「ここは、あいつが見せる幻か?」
「そうだねぇ〜嫌な霊圧が漂ってるよぉ〜」
真っ暗な世界。剣剥との声しか響かない。何も感じない、ただお互いを見つめる。
「なんなんだ?えっと、まずは本体を俺等で斬り伏せればいいんだよな?」
「繝弱う繧コ縺ソ縺溘>縺ェ譁?ュ怜喧縺代?譁?ォ?謨吶∴縺ヲ縺上□縺輔>縲ゅさ繝斐?縺」
不気味な声が真っ暗な空間に響き渡った。
「何言ってんのかわかんねぇよっ」
菊は何も見えない空間でただひたすらに、剣を振るった。
すると、突如として区間に大きな穴が空き、菊は吸い込まれるように空間を移動した。
「今度は何だ?うざってぇなぁ」
『お兄ちゃん、どうしてそこまでするの?』
「あ”?って、お前、天界へ送ったはずじゃ...どうしてここに?いや、これは幻か」
『幻なんかじゃないよ?ぼくはぼくだもん。ぼくがやみつきだよ?』
真っ白な空間にたどり着いたと思ったのも束の間に、少年が現れた。
「何言ってやがる?お前が闇憑なわけ無いだろ」
菊はどうにかして笑い飛ばそうとするが、どこか信じている自分がいた。
「菊ぅ〜?嘘じゃないみたいだよ〜」
「何いってんだ剣剥まで、こんな餓鬼があんな力得られるわけが..いや、そうか、」
何かに気づいた菊は、少年に向かって剣を構えた。
『ようやく気づいたんだね、お兄ちゃん。さぁはやくぼくも中に入れて?』
少年がそう口にした瞬間菊の周りを取り囲む白い空間から突如真っ黒な大量の闇憑が現れ、一瞬にして菊を拘束した。闇憑に憑かれたことにより、菊に死ぬほどの絶望と痛みが流れ込んだ。
「グッ、、この程度で俺がはいどうぞとでも言うと思ってんのか。」
『言わないよ?だから、こう仕向けたんじゃん』
「仕向けただと?」
『あ、もちろん、ぼくひとりじゃ無理だから協力してもらったよ?いつまでも人間に執着する女の人にーなあんか銃持った強そうな人にも!』
「銃持った?銃途のことか、いねぇと思ったらクソみたいなことしやがって」
『だからね、お兄さんの全部、もらっちゃうね。』
少年は、闇憑に拘束され動けない菊の額にそっと触れた。その瞬間、
「俺に触ったな。」『なっどうして⁉️」
少年が激しい光に飲まれ、眼の前からいなくなった。
「案外自分から触りに来たね〜ドサクサに紛れる必要ないやぁ」
「ホントだな、なにするつもりだったか後でジーックリ聞きに行くとするか」
そうして二人は闇憑を菊にとりつかせることに成功した。




