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mysoul  作者: 氷憐 仁
死神動乱編2
28/33

23章 黎明


「まずいな、時間かかりすぎちまった。あっちは大丈夫か?親父が行ったから、まだ...」

蓮との戦いのあと戦いに夢中になりすぎて決着がついてしまったため菊は急いで紫月の下に向かった。黒川家にようやく辿り着くと親父が肩を抑え鬼灯をかばっていた。

「菊!無事だったのだな!済まない、私を守って深手を負ってしまったのだ。」

菊の姿を見つけた瞬間、鬼灯は安堵の表情をした。

「あら、菊、おかえりなさい。殲滅は終わったの?」

「チッ、るせぇな命令すんな。終わったよ。もうその二人だけだ。」

黒い服に身を包んだ菊が紫月の問いにそっけなく答える。

「嘘、だろう?菊、裏切ったのか?メールの作戦は?みんなは?」

戸惑う鬼灯に対し、菊は何も言わない。

「あらあら、戸惑っちゃってるわよ?いいの?何も言ってあげなくて。」

「だまれ。俺のことよりも、ようやく黒川家の人間が最も苦しむ復讐と呪いがかけられるってのに何を躊躇してんだ?天下の死神にも人を殺す恐怖でもあったか?」

皮肉交じりに菊は紫月を挑発した。が、紫月はニヤリと笑って返した。

「裏切り者に命令される筋合いはないわ。」

「あ”ぁ?裏切り者?何の話だ。ついに血迷ったか?」

ポケットに手を突っ込んだまま、菊は静かに睨みをきかせる。

「知ってるのよ。この際だから、あなたには最後の役目を担ってもらおうと思って。」

紫月がそういった途端、菊の背後に霧と業が現れた。

「そういうことかよ。上等じゃねぇか。」

菊が戦闘隊形に入ろうと霊圧を放とうとした瞬間、

「なっ、、、、んだこれ、動けねぇ、、、?この服かっ」

「御名答。あなたの霊圧はあなたにしか御しきれない。これまでの戦い、鍛錬、すべて私の計算通りにあなたの霊圧を蓄えるためだったのよ?そのシステムを編むのは少し手間取ったけれどね。少しは思わなかったの?垂れ流しだった霊圧がなくなるだなんて不思議だと。」

紫月がそう言い放つと同時に霧と業が動くことのできない菊を跪かせる。

「一番最初に俺を殺さなかったのは全部このためか。鬼灯の絶望を見るために」

「ようやく解ったのね。でも、もう遅いわ。」

「クソ、一筋縄じゃいかねぇか、、剣剥っ!鬼灯を、、、、頼むっ」

『だめだっ!菊っ!』

紫月の短剣がふれる寸前、菊は剣剥を憑依状態から外した。

「菊っ!やめろぉおおおおお」

鬼灯が声にならない声で叫ぶも、容赦なく短剣は鈍い音とともに、菊の胸を剣で貫いた。

黒い服にどろっとした血が滴り、一面に血溜まりができる。

剣剥の霊圧と菊の霊圧が消失した体はドシャッという音とともに力なく倒れた。

「嘘、、嘘だ、こんなの、悪い夢だ、、菊が死ぬはずないんだ。そんなはず、ないんだ」

鬼灯は紫月の冷たい瞳を睨みつけながら、震える手を握る。菊の血がまだ鮮明に記憶に焼き付き、胸の奥が苦しく締め付けられる。剣剥のうめき声が耳元に響く。

『なんで、なんで、一人でやられてんだよぉ』

「……私のせいだ……全部、私が……最初からいなければ、菊はこんなことには……」

剣剥はよろよろの身体を支えながら笑った。いつもの挑発的な声とは違い、その声には痛みと苛立ちが滲んでいた。

「あーあぁ……らしくないこと言わないでさぁ。弱音吐くくらいなら、逃げちゃえばぁ?こんなの、あの菊が守りたがるわけだぁ……そんな程度…なん…だねぇ……?」

剣剥の声がかすれ、地面に倒れ込む。動けないほどボロボロな姿が鬼灯の目に焼き付いた。

「剣剥……!そんな状態で……」

紫月は静かに立ち尽くし、余裕の表情を浮かべている。鬼灯はその視線にまた心が折れそうになるが、そのとき、剣剥の言葉が再び蘇った。

「菊が守りたがるほどの弱さ…あはぁ弱いまま…それでいいのぉ?」

鬼灯は目を閉じ、深く息を吸い込んだ。そして、静かに剣剥を見下ろす。

「いや……そうだ、らしくない。剣剥……菊は、殺されたくらいじゃ死なないだろ?」

「……え?…あははっ…たしかにぃ」

剣剥と鬼灯は微笑む。その笑みはわずかに震えていたが、どこか力強かった。

「こんなところで諦めたら、あいつに会わせる顔がない。私が……守る番だ。」

その言葉に剣剥の目が見開かれる。鬼灯が以前のような冷静さを取り戻し、再び熱い感情が沸き上がった。

「……やっといつもの鬼灯だぁ……勝手に守るとか言わないでよぉ……僕も行くし!」

「まずは立て。……いや、少し休んでろ。少しは私を信じろ。もう、弱音は吐かない」

鬼灯は菊の刀を構え、紫月に向かって一歩前進した。その背中に新たな覚悟が宿る。絶望の淵に立ちながらも、前を向き直り、戦う意志を燃え上がらせる。

「ふふ……面白い。どれだけの力を見せてくれるか、試させてもらうわ。」

激しい戦いの火蓋が切って落とされ、鬼灯と剣剥は再び希望を掴むため、立ち上がった。彼らの覚悟が、菊への想いが、彼らの武器となって紫月に挑もうとしたその時だった。

「っぐ、、な、何だ、この霊圧、、、、まさか、、、!」



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