17章 頭首
ダンッ
大きな音を立てて、ドアが開いた。そのドアの先に立っていたのは激しく息を切らした鬼灯だった。
「なにか証拠を掴んだようだな。」
「はい、無礼を承知で、私に、発言の機会をいただきたく。。。」
「前置きはいい、何を発見し、今後の我々の方針を格付けるものとなるか、聞かせてもらおう。何も収穫がなかったなどというわけではあるまい?」
その瞬間、部屋中に、三途川家頭首の重い霊圧が加わった。
(どこか菊に似ている霊圧、でも、菊の比にならないほどの重みがある、体がこわばる。こんな環境の中で育って来たというのか?)
「菊のスマートフォンが見つかりました。そこには、菊から送られたとみられるメッセージが残されており、その内容は、紫月の襲撃時間や作戦詳細が書かれていました。それによると、紫月襲撃の日は、追ってこの端末に連絡すると書かれていました。菊は私達に応援要請を出しています。」
少し緊張気味で声が震えてしまったが、なんとか、詳細を伝えることができた。演技のことは頭首にだけ後ほど誰にも知られないように伝えなければならない。
「わかった。では、紫月襲撃にあたり、我々はこの町に結界を用意する。そして、誰一人とも血を流させるな。」
「「「「「はっ」」」」」
頭主の一言でこの場にいた全員が一斉に動き出した。指示役がいるようで、統一性は抜群だ。
「黒川鬼灯。話があるのだろう?ついてこい。」
「!。。。はいっ」
頭首についていくと、そこは菊の部屋だった。
「その顔、仕草、見れば解る。何かを隠しているな。」
不敵な笑みと、これ以上隠させはしないという圧が込められている。
「もとより、隠し事をする気はありません。ただ、他のものに聞かれたくはないと考えておりました。」
「なるほど、まぁ、そこまで馬鹿ではないか。話せ」
先程の霊圧がやや収まり、鬼灯は菊の指示をそのまま話した。
「なるほどな、菊の考えそうなことだ。あばよくば日頃の復讐を、か。いいだろう。演技ができるものなどいないからな。」
冗談で言ったつもりなのだろうが、どうにも一言一言に込められる霊圧には慣れない。
「紛らわしいことをしてすみませんでした。」
「いい、この家の中にあいつが気を許せる相手などいないからな。お主がいなかったら作戦も伝えていたかどうか。多少の無礼は構わん。」
(気さくなところもあるのだな。だが、どうにもこの張り付いたような笑顔は信用できない。仕草だけで嘘かどうか見分けられるのもそうだが、警戒しなければならない)
「それでは、私も準備しなければならないことがあるので、一度家に戻ります。都度連絡があれば伝えに来ますので、失礼します。怪我の手当などありがとうございました」
「気を抜くなよ。紫月の狙いはお主だ。」
「はい。」
そう言って鬼灯は三途川家を出た。




