16章 銃途
「さぁ、今日はぶっ通しでやらねぇと、今の俺じゃ何もできねぇ。作戦通りに進めるにはもっと力がいる。とりあえず、剣剥に頼りすぎないように、銃途、協力してくれねぇか。剣剥も昨日の今日でわりぃけど出てきて練習相手になってくれ。紫月に手の内は明かしたくねぇ。手伝ってくれっか?もちろん無理はしなくていい。」
菊がそう言うと剣剥と銃途が出てきた。
『全然いいよぉ〜まずはどっちを憑依させるのぉ?僕ぅ?銃途ぉ?』
「あぁ、まずは剣剥、お前に頼りすぎない戦い方をやってみる。銃途、わりぃけど、駄目なとことかあったら言ってくれ。手加減はなしだ。」
『あぁ、俺の指導があれば紫月なんて俺の力なんざ必要なくなる。まずはお前らの力を見せてみろ。話はそれからだ。だろ?剣剥?お前が弱けりゃ俺が出ていいとこ取りだ。』
『僕と菊のことなんにも知らないくせにぃ〜調子に乗ってると切るよぉ〜』
そう言って剣剥は菊に速さ強化と剣術をかけた。
『「いくぞ」』 『来い』
互いの声が重なったと同時に銃声と剣のぶつかる音が鳴り響いた。
いつもなら速さ強化を使えば銃弾を避けるのなんて容易だった。
が、今までのが嘘だったと言わんばかりに銃途の弾は速かった。
『おいおい、、受けるだけで精一杯なんて言わねぇよな?まだ序の口だぜ?』
銃途は菊と剣剥に向けて容赦なく弾を打ち込み続ける。
「ぐっ、、やっぱただの銃なんかとは比べ物になんねぇな、、だが、、」
ガキンッ
先程までとは違う鈍い音が響いたと同時に銃撃が止まった。
『へぇ、、おもしれぇことしてくれんじゃん』
無傷だったはずの銃途の頬に血が流れていた。
「いい加減戦いにも頭を使わねぇと、同じ失敗なんてしたかねぇからな。」
菊は紫月との戦いを次に活かそうとしていた。
『俺の銃弾を弾く剣か、、初見だな、、あの速さで折れないのはなかなかだ。まさか俺の攻撃を利用されるとは、少しは面白くなってきたな。傷一つで舞い上がってくれるなよ?』
銃途が余裕の表情を崩さないまま、菊と剣剥に向けて冷笑を浮かべる。だが、剣剥の目には決意が宿り、その視線は鋭く銃途を捉えていた。
「剣剥、俺に合わせろ。次の攻撃は俺たちの連携が命だ。」
菊の呼びかけに、剣剥はうなずく。今までの戦いを通じて、彼は気づいていた。力だけでは勝てない相手がいるということを。銃途のような異常な速さと攻撃力を持つ者に対して、自分の力をどれだけ研ぎ澄ませたとしても、一人では限界がある。それでも剣剥は負けるわけにはいかなかった。彼の胸の奥で強く燃える思いが、新たな力の目覚めを促していた。
「銃途、覚悟しろ…」
菊が呟いた瞬間、彼の剣が淡い光を放ちはじめ、まるで自身の意思に応えるかのように、剣に力が宿っていく。
『なんだ、その光は…?』
銃途が怪訝な顔を浮かべるが、直感的に危険を感じたのか、一瞬だけ動きを止めた。しかし、その隙を逃さず、剣剥と菊は一気に攻撃を仕掛ける。
「行くぞ、剣剥!俺の速さ強化に合わせて打ち込め!」
剣剥の速さ強化の力が伝わり、二人は見事な連携を見せつけた。菊は銃途の弾丸を正確に弾き返し、隙を突いてさらにスピードを増しながら攻撃を重ねていく。銃途もまた応戦するが、これまでとは異なる二人の強さとその新たな力に、次第に余裕がなくなっていく。
『チッ…この俺が押されるなんて…!』
銃途の額に一筋の汗が流れる。それを見逃さず、菊はさらに気迫を高める。
「この一撃にすべてをかける…!」
覚悟を決めた二人の力が剣に満ちる。彼の剣が光の柱となって銃途に向けて放たれると、その速度と力は銃途の防御をも貫く勢いだった。
『ぐっ…なんだ、この力は…!』
銃途は一瞬の隙を突かれ、ついに防御が崩れ、再び頬に血が流れた。今度は、先ほどの小さな傷とは比べ物にならない深さだった。
「剣剥、お前の覚悟と意思…確かに伝わったぞ。次は俺も手加減しない。」
菊がそう言い、二人はさらに連携を強化する。銃途は焦りを隠せないまま、二人に押される形となる。剣剥の新たな力の目覚めが、この戦いにおいて勝機を見出していた。




