表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

280/281

第278話 訪問者

「何ボ〜っとしてるの?

 ロック。」


「え?

 ちょっと…、考え事だよ。」


「ま〜たHなこと考えてたんでしょ〜?」


「な、な、何言ってるんだよ!?

 僕はいつも真面目なことを……!」


「えへへ!

 嘘だよ!

 さっきは真面目な顔してたもんね!

 むっつり顔じゃなかった!」


「もう…。」



ミラはずっと僕のそばにいてくれてる。


戦いの後しばらく、僕は何もできなかった。


ティナの死を受け入れられなくて…。


そんな僕に、ミラは何も言わずにただ近くにいてくれた。


きっと僕とティナの関係に気付いていたと思う。


でもミラは自分の気持ちを伝えるでもなく、励ますでもなく、ただただ横にいてくれた。


おかげでなんとか前を向けるようになった。


ティナの気持ちを…命を無駄にはできないから。



「ミラ!

 ロックは一応国王なんだぞ!?

 あんまりからかうんじゃねえよ!

 むっつりだとバレると威厳がなくなるだろうが!」


「カイルさん、もうみんなにバレてるよ?」


「国王様!?

 畑仕事もむっつり顔もやめてくれよ!

 頼むぜ…。」


「え?

 なんで僕責められてるの…?」



「はっはっはっはっ!!

 相変わらずだねぇ!」


「あ!

 イーザさん!

 ファルクさん!」


「久しぶりだな!」



ファルクさんとイーザさんはバルキアで孤児院を引き継いで頑張ってる。


2人が子供たちの面倒見れるのかちょっと心配だったけど、なんだかんだ面倒見がいい2人は子供たちから慕われてるみたい。



そう。


イーザさんは無事に魔族から人間へと戻ることができた。




『どのスキルを奪いますか?』




魔皇帝を倒したとき、追いかけてこないでと言ったのに、ファルクさんとミラはやっぱりきてくれた。


【スキルスナッチ】はパーティメンバーが倒した相手でもスキルを奪うことができた。


ミラが教えてくれた魔皇帝のスキルは4つ。



『【パンドラ】スキル

 【従属化】スキル

 【魔神化】スキル

 【大魔導士】スキル』



「どうする?

 ロック…。」



【パンドラ】スキルを奪えば、ボスモンスターの消滅を防ぐことができる。


つまり、資源を確保することができる。


でも、魔皇帝を倒したことで魔王ももちろん死んだ。


【パンドラ】を奪って【従属化】がなくなれば、魔族は消滅する。


【従属化】を奪っても、魔族が消滅する可能性はあるし、消滅しなくても人間に戻る保証も無い。


世界の存続のことを考えたら、【パンドラ】を奪うことが正解だったんだろう。



でも、僕たちは【従属化】を選んだ。


効率的な利益のために目の前の大切な人を切り捨てる。


それは皇帝がやってきたことと変わらないと思う。


だから、僕は迷わなかった。


僕の答えを聞いたミラも、満面の笑みで、同意してくれた。


ファルクさんは感謝していたけど、その時はまだ不安が隠しきれてなかった。



その不安は人間に戻ったイーザさんを見て、やっと喜びに変わってた。


僕たちもすごくホッとしたし、嬉しかった。


もちろんリッチェルさんや他の魔族だった人たちも無事に人間に戻れた。


でもその様子を見た時、大切な人を助けるためたくさんの魔族の命を奪ったことの後悔の念が押し寄せた。


今でもそれは消えない。



【パンドラ】だけど、いまだにボスモンスターが確認されていないところを見ると、誰にも引き継がれてないのかもしれない。


確か直接引き継ぐ特殊なスキルだと言っていた。


もしかしたら今後、使い手がまた生まれるかもしれない。


少なくとも、そのときには両親を殺さざるを得ない子供がいるような世界にはしたくない。


魔王を産むような境遇にあった皇帝もまた、犠牲者だったのだから。




犠牲者といえば、【ラッキースケベ】を失ったリッチェルさん。


平和になるにつれ、喪失感が強くなっていったって言ってた。


わかる、わかるよ…、リッチェルさん…。


でも、そのおかげで運命の人と出会えたらしい!


【ラッキースケベ】がなければレディーファーストを信条とする紳士だからなぁ。


他の女性にもすぐ優しくするから喧嘩が絶えないらしいけどね。




他の戦友たちは、各国に散らばってる。


これも皇帝の偉業の1つかもしれないけど、他の国に冒険者が助けに行くことは当たり前だったから、S級冒険者の移籍はびっくりするくらいスムーズだったんだって。


僕がスキルを渡したA級冒険者の皆さんも何人かS級になったみたいで、各国に最低1人はS級冒険者がいる。


そうすることで国間の争いを話し合いで防げているんだ。



それから…、そうそう、ヨムじいさん。


ヨムじいさんはやっぱりバルキアのかなり偉い人だったみたい。


嫌がるヨムじいさんをファルクさんたちが無理矢理連れ出して、バルキアの重役に戻した。


「こんな老い先短いジジイを…。」


って愚痴ってたけど、まだまだ元気いっぱいそう。


長生きして欲しいな。




「ところで、今日はどうしたんですか?

 ファルクさん。」


「ああ、じじいから手紙預かってきたんだよ。」


「手紙?

 ヨムじいさんから僕にですか?」


「書いたのはじじいじゃねえんだ。」


「誰です?」


「…ティナだ……。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ