第267話 3つのユニークスキル
「な、なんだぁぁああ!?」
フィデルアの身体がまるで流体のように激しく波打つ。
そして、その姿が複数の違う人物に変わっていく。
「ゴォっぉおああおううあええあぁぁ……。」
その人物の中には、皇帝の姿も。
そして…、フィデルアだったナニカは、黒幕の男イザイアへと姿を変えた。
「な!?」
驚愕するロックたち。
「お、お前が黒幕だったのか!?」
「それにしては…。」
そう、それにしては弱すぎる。
レベルも上限に達していない、スキルも入れ替えていないセレスタンに手も足も出ないのは説明がつかない。
演技をしている様子もない。
「変身のスキル…。
でも、看守だった男に変身する必要があるのか…?」
黒幕の男の姿をしていたナニカは、またも姿を変えていく。
「それが…お前の正体か…!」
最終的にそのナニカは人間ほどの大きさのスライムへと姿を変えた。
「な、なんだぁ、こいつはぁあ!!
ア、アニキはどうしたぁぁああ!?」
「…………。」
そのスライムは黙して語らない。
「ファルクさん、ここを頼みます。」
ファルクに魔王の警戒を任せ、スライムに近づくロック。
「おそらく何かのスキルを使っているはず。
【スキルスナッチ】。」
スライムからスキルを奪おうとするロック。
しかし、なんのスキルも奪えない。
「ユニークスキル…。
であれば倒すしかないか…。」
すでに瀕死状態のスライム。
ロックはトドメを刺そうとする。
「やめろ!
お前ら、あいつを止めろ!!」
魔王が必死に叫ぶ。
魔族たちはスライムを助けようとするが、S級冒険者たちに阻まれる。
「………さ…ま…。」
スライムはロックの剣により倒された。
「ユニークスキルが…3つも…!?」
倒した時に奪えるスキルは1つだけ。
奪うことのできるスライムの、各スキルの説明が浮かんできた。
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【予知者 ★★★★★】・・スキル枠が4つ以上の人間が誕生したことを感知し、その場所を特定できる。
【典智想造 ★★★★★】・・想像した装備を1種類だけ創造できる。能力には制限があるが、いくらでも量産できる。
【ドッペルゲンガー ★★★★★】・・同意を得た特定の相手そっくりに変身できる。対象は1人だけで、1度決めたら変更することはできない。ただし、自身に取り込むことで別の対象にも変身可能となる。
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「これは…。
バルキアがスキルを4つ以上持った子供を集められていたのは、【予知者】のスキルがあったからか…。
そして【典智想造】でギルドが配布するブレスレットを?
それから【ドッペルゲンガー】で変身してたのか。」
バルキアが軍やギルドで行っていた行為の裏側にはこのスライムがいたようだ。
ロックは【典智想造】のスキルを選んだ。
この戦いで有利になる装備を作れないかと考えたのだ。
ブレスレットをこのスキルで作ったとしたら、力を抑制したり、逆に底上げするような装備が作れるはずだと。
しかし実際には作れる装備の能力にはかなり制限があり、その中でも強力な能力を付与しようと思ったら、かなり時間がかかるようだった。
とはいえ今後役立ちそうなスキルだったので、一旦ローザに渡した。
ユニークスキルを渡せるのは相手がS級の場合のみ。
ただ、皆スキル構成が出来上がっているのでスキルを渡す余裕がない。
唯一ローザだけが【カリスマ】という民衆から人気がでる効果のある、戦闘に役立たないスキルを持っていたのだ。
【カリスマ】と入れ替えることを渋ったローザだったが、流石にそんな状況ではないので、渋々受け入れた。
【ドッペルゲンガー】で変身する相手は、1人を除いて取り込む必要があると説明があった。
だが、スライムを倒しても、取り込んだ人たちは戻ってきていない。
つまり、もうこの世に存在していないということだ。
「このスライムが変身していた相手は…、もう存在しない…ようです。」
「な……!
じゃ、じゃあアニキはぁぁあ!?」
「…残念ながら……。」
「…くっ……!」
膝をつくセレスタン。
自分がアニキと慕っていた人物がモンスターに殺されていた事実が重くのしかかる。
バルキアのギルドの動きを見ると、ギルド創設時、15年以上前に殺されていた事になる。
「裏で糸を引いていたのは、こいつだったのか…。」
「で、でも、あの男がこんなにあっさり倒せるわけが…!」
持っていたスキルから考えると、スライムが裏で動いていたことは間違いない。
だが、以前戦った黒幕の男の強さとの整合性が取れない。
「将軍を逃した看守の男が黒幕だったんじゃないの〜!?
それで、そいつに変身してたのはこのスライムだったんでしょ!?
こいつが変身してる人は死んじゃってるから、間違いないよね?
でも、強さが全然違うし…。
も〜、わけわかんない!!」
ミラの頭が沸騰しそうになっている。
「変身してる人は…死んでる…。」
「え?
さっきそう言ってたよね?」
「…じゃあ、『あの人』はなんで…?」
「『あの人』というのは、俺のことかな?」




