クエスト7-7 転生遊戯と宵闇の魔剣士
「神に祝福されし神童である相澤さんの誘いに乗るとはな。彼女を仇敵のごとく憎む上にレトロマニアのお前だ、てっきり来ないものだと思っていたが」
「……何だって?」
黒田の言っていることが何1つ分からない。
誘いに乗る? 相澤の?
「……どういう意味だ?」
「どうって、そのままの意味だ。我々は選ばれたのだ、この転生遊戯……その名もリィンカーネーションクエストに! さて……お前の聞きたい事を答えてやろう。一応このエリア周辺の事なら把握しているつもりだ」
リィン……カーネーション…………クエスト………………?
黒田が意味の分からない事を言い出すのは前からだったが、今回は事情が違う。明らかに認識のズレが起きている。
「だったら、何故「ちょーっと待って!」
質問しようとしたところにリズが割り込んでくる。
「な、何だよ」
「先にそいつが何者かを教えてくれない? 正直怪しさ全開なんだけど」
「ああ、分かった。ここで立ち話もなんだ、場所を移すか」
「フッ、良かろう……」
「何でちょっと偉そうなんだよ」
とにもかくにも、小屋へと場所を移す。
……………………
………………
小屋の中はざっと12畳ほどであり、簡素な机とベッドが1つずつ、椅子が4つ置かれている。
それ以外には何もなく、かなり殺風景だ。
俺達はそれぞれの椅子に座り、ピスは妖精態の姿でテーブルに立つ。
「フッ、では自己紹介をさせてもらおう。漆黒の魔眼を持ちし宵闇の魔剣士、アイゼンブルート・シュヴァルツだ。よろしく頼む」
黒田は立ち上がって珍妙なポーズを取りつつ、名乗りを上げた。
「安心したまえ……俺と不屈の勇者シンヤは盟友だ。何があったのかは知らないが、盟友の仲間である君達に手出しはしない事を約束しよう」
タンデとリズの表情から警戒の感情を察知したらしい黒田はそう付け足し、貴族風のおじぎ……ボウアンドスクレープだったか? をして見せる。
余談だが、黒田が俺の事を不屈の勇者と呼ぶのは結構前からだ。
「アイ……何だって?」
「アイゼンブルート・シュヴァルツ。覚えにくいならアイゼンとでも呼ぶがいい」
「ねえシンヤ、この人いつもこうなの?」
タンデは奇妙なものを見るような目を黒田に向け、リズは俺の方を見る。
どうやら偽勇者であるという事実以前に厨二病な言動の方が気になったらしい。
「まあな……」
「へえ、劇場脳かぁ」
「劇場脳?」
「芝居がかった言い回しをする人。魔法学校にもこういう人結構いるよ」
「なるほどな、俺の世界では厨二病って言っていた」
「へぇ」
こっちの世界にも厨二病患者がいるのか……
「く……いや、アイゼンも俺と同じ世界から来た人間であり、俺の友人だ。こんな調子だが、あいつみたいに襲ってきたりはしない。もし襲ってきても、あいつよりは倒しやすい」
「ちょっと待て、それはどういう事だ不屈の勇者シンヤよ」
「友人……」
タンデとリズが何か言いたげな目でこっちを見る。
「言っておくが俺は向こうの世界でもあんな言い回ししてないからな?」
「ほんとぉ?」
「そもそもそんな片鱗見せた試しが無いだろ……次進まないからとりあえず名乗ってくれ」
「へーい。オレはタンデだ」
「ボクはピーステール・フォリアと申しますデス。ピスと及びくださいデス!」
タンデは座ったまま自己紹介し、ピスは人間態に変身して名を名乗る。
「ぼくはリーズヴェル・コランダムだよ。リズって呼んでね」
リズがひらひらと手というか袖を振ると、黒田は硬直しだす。
「こ……この体躯、この雰囲気、この顔立ち……ただ女に生まれてきただけの女よりも遥かに洗練された可憐さを持つ、だが男……いやむしろ、禁忌のバベルが付属する分お得……そう、これはまさしく、俺が愛してやまない男の娘、この大地に降臨せし禁断の白き薔薇……俺は運命など信じないが、いまこの瞬間だけは運命を感じずにはいられない……!」
「えっ」
今までの気取った振る舞いから一転、饒舌になったオタクみたいなムーブを取る黒田に困惑するリズ。
そんなリズの手を取り、黒田は続ける。
「リーズヴェル様、貴方の可憐さに俺の心は射抜かれてしまいました。この俺アイゼンブルート・シュヴァルツは貴方の剣となり、盾となりましょう」
「え……? え?」
怒涛の畳み掛けに、さしものリズも振り回されっぱなしである。
そして黒田は精一杯のキメ顔。中学の頃黙っていればイケメンだとウワサがあっただけに、この部分だけ見ると割と様になっているのがなんとも言えない。
「なんでぼくが男だって見抜いたの……?」
あっ聞くとこそこなんですか
「フッ、男の娘に心惹かれた者としては、この程度は朝飯前ですよ」
「むー……性別バラした時の驚く顔が楽しみだから、見抜かれたのは辛いなぁ……」
「なっ……!?」
そう言ってしょげる仕草を見せるリズに対し、黒田はしまったと言わんばかりに膝から崩れ落ちる。
「なあ、落ち込んでるところ悪いがそろそろ本題に入っていいか?」
「あ、ああ……」
そのままの姿勢で黒田が答える。
まあ真面目な話する時はちゃんと応えてくれるタイプだから大丈夫だろう。
「黒田、お前はどうやってこの世界に来た?」
「……ん?」
黒田は顔を上げ、何言ってるんだ、って感じの顔で俺を見る。
「事故で死んだ俺は女神ニヴァリスの導きにより、魔王討伐を成し遂げる勇者としてこの世界に来た。相澤なんかの誘いじゃない。まさか……相澤と大和田も含め、お前もニヴァリスに魔王討伐を頼まれたクチなのか?」
「ま、待て、何を言っている。俺達はネクスト・ジェネレーションが開発中のフルダイブ型オンラインVRゲーム、リィンカーネーションクエストのテストプレイに招待されたからここにいるんじゃないか」
「いつ?」
「8月末」
「誰から」
「相澤さん」
「は……?」
「えっ?」
ああ、なるほど。そりゃ噛み合わないわ。
俺は異世界転生、黒田はVRゲームのプレイヤー。
…………一体どうなっているんだ?
「VR……お前こそ何を言ってるんだ? そもそも俺が死んだのは5月の終わり頃だ。それに、死んだ人間にどうやってVRなんか見せるんだよ」
「待て、死んだとはどういう事だ」
「交通事故だよ交通事故。トラックじゃねぇけど一昔前の異世界転生だっけ? あれみたいにバン、と」
「そんな馬鹿な……だがしかし、お前だけ最初からダイブまで会場にいなかった事、グループラインの返事が無かった事の説明にはなる……それに5月ということは、あのゴーストドライバー事件の被害者は……」
「それともうひとつ。ゲームだっていうのならリアルと遜色ない痛覚なんか導入するか? リアリティを求めるにしてもやりすぎだろ。審査通るか?」
「痛覚? そんな話は聞いていないぞ」
「何?」
黒田は自分の頬をつねろうとして、リズの方を向く。
「リズさん、1つ頼みがあります」
「えっ、な、何?」
今まで蚊帳の外だったせいか退屈そうにしていたリズは、授業中油断していたところを教師に当てられたかのような見せる。
「俺を1発、思いっきり殴ってはくれませんか。死なない程度に」
「え?」
リズはもはや引き気味であり、タンデは何故か指をパキポキと鳴らす。
「この世界が現実か幻か、それを確かめねばなりません。ともかく、目が覚めそうな1発を頼みます」
「よく分からんが、目覚めの1発ならとっておきをくれてやるぜ」
タンデが悪どい顔で立ち上がる。
「お前には頼んでないぞ猫耳少年!」
「まあまあ、折角のご指名だし、ぼくにやらせてよ」
「しゃーねぇなぁ」
リズはふふんと笑うが、その笑顔には少しばかり悪意を感じられた。
「君に恨みは無いよ。無いけど、君のお仲間さんに酷いことされちゃったんだ。ちょっとその恨み、ぶつけちゃってもいいよね?」
「俺をぶって気が晴れるのなら、何度でもお相手しましょう」
中々かっこいい事言っているように思えるが、俺は黒田の真意がなんとなく分かる。
男の娘にビンタされたいだけだ。その昔、松山と3人で駄弁ってた際に男の娘に罵倒されたいとか抜かしてた黒田を俺は覚えている。こいつは少なからずMっ気がある。
それを抜きにしても、黒田の目の輝きが完全に何かを期待するそれである。
「じゃあ、行くよ?」
リズは袖をまくり上げ、右手を掲げて深呼吸をする。
リズの手は徐々に白い輝きを放ち、気付けば右の手首より先は蛍光灯のように眩い光を放つ。
フィンがかつてやっていた、武器に魔力を乗せて威力を上げる技……の素手版、といったところか。
「せぇぇい!」
「うごふぉ!?」
スパァン、と小気味良い音が響き渡り、黒田はよろめき、倒れる。
「確かに効いたぜ……このビンタ……どうやら、俺達は巨大な陰謀に巻き込まれたらしい……」
起き上がるついでにさりげなくぶたれてない方の頬を自分でつねる黒田。
最初からそうしろ。
「陰謀かどうかはともかく、ただの新作ゲームのテストプレイでは終わらない事は確かだな。下手すれば永遠に帰れないかもしれない」
「フッ、望むところだ」
「ねえ、2人で盛り上がってないでぼく達にも教えてくれない?」
リズがむっとした顔でこちらを見る。
「ああ、そうだな。すまない」
ピスは妖精態に戻って机の中央に陣取り、俺達は席に座り直す。
「黒……いや、アイゼンの言い分を信じるなら、この世界は俺達の世界の人間の手によって作られた、夢の中のようなものだ」
自分で言っておきながらどうかとは思うが、意味が分からない。
ゲーム文化の無い人に対するVRの説明って難しいな……
「じゃあ、この世界は作り物だってこと?」
リズが眉をひそめる。
「アイゼンの言い分が正しければの話だ。俺達の世界には科学という、こっちの世界でいえば魔法のように色々な事ができる技術がある」
「じゃあそれでこっちの世界に来たんじゃないの?」
「違う。そんな芸当はできない。それどころか、死人にさっき言った夢の世界に入らせる事も、夢の世界の中で得た感触、特に痛みを反映する事もまだ不可能なはずなんだ」
「じゃあこいつの言い分が違ったらどうなんだ?」
「前に言ったように、何者かが俺達の世界の人間をこの世界に連れてきた、ということになる」
「フッ……であれば、俺達の世界にお前の言った女神とやらが紛れ込み、俺達を呼び寄せた……ということか、不屈の勇者シンヤよ」
「ニヴァリス様は力を封印されていて、シンヤ様をこの世界に連れてくるので精一杯だったのデス」
わざわざポーズを取りながら話すアイゼンに、ピスが横から口を挟む。
「ほう……であれば、不屈の勇者シンヤが今討伐せんとする魔王が仕掛人ではないか?」
「その理屈だとお前は俺達の敵になるぞ」
「敵? フッ、漆黒の魔眼を持ちし宵闇の魔剣士は、盟友に向ける剣など持たぬ。盟友のためなら、与えられた運命なぞ斬り伏せてやろう」
「でよシンヤ、こいつどうすんだ? 敵ってんなら今ここで殺すか?」
「待て待て待て! さっきの言葉を聞いていなかったのか!?」
「うるせぇ! お前の言ってる事わけわかんねーんだよ! もっと普通に喋りやがれ包帯野郎!」
「俺も仲間に入れてください!」
半ばタンデに掴みかかられそうになりながら、アイゼンは言った。
少しの沈黙の後、全員が俺を見る。
「……だってよ」
「どうする?」
「シンヤ様のご友人デスし、見た感じは悪い人ではなさそうデスが……偽物の勇者に該当する人物デスので、絶対に安全とは言い切れないデスね。ボクとしては、シンヤ様の決定に従うつもりデスが……」
「ま、戦力が増えるならいいんじゃね? 裏切ったら殺すって感じで」
「放っておくより、こっちで見ておいた方が安全かもしれないね」
向こう側の事情も聞けるだろうし、連れて行くメリットはある。
本人も知らない細工をされていないかどうかと、アイゼンが戦闘ができるかどうか……というより、魔物を殺す覚悟があるかどうかが気になるところだ。
この場で処分する選択肢もあるにはあるが……友人を殺すなんて無慈悲極まりない選択肢は回避したい。
「一緒に来るのは構わないが、腹を括れよ。この世界での戦いは、文字通り生きるか死ぬかだ。遊びじゃない」
「フッ、分かっているとも。これから宜しく頼むぞ、盟友よ」
「んじゃ、ぼくはこの前のアレを読んでるから、何かあったら呼んでね」
「オレは寝るわ。後は頼むぜ」
リズはそう言うとベッドに座ってソウルガードの魔導書を出し、タンデは机の上にどっかと足を乗せ、腕を組んでいびきを立てる。
「タンデお前なぁ……」
「読書している姿も映える……!」
「お前もお前だよ! ……ところでよ、自分で言っておいてなんだが、転生もしてないのに異世界なんてトンチキ話よく信じる気になったな」
「完全に信じたわけではない。だが、不屈の勇者シンヤよ……お前、嘘つくの下手じゃん」
「うっ……」
確かに、俺のついた嘘は一瞬で見破られることが多かったが……
「それにだ。本物の異世界……滾るだろ?」
「それは分かる」
実際はゲームのように簡単じゃないけどな。
とはいえ、こっちの世界はこっちの世界で魅力がある。
「まあ、それはそうと……不屈の勇者シンヤよ、お前は相変わらずで安心したぞ」
「お前もな、黒田」
「フッ……黒田鉄二とは世を忍ぶ仮の姿…… 漆黒の魔眼を持ちし宵闇の魔剣士、アイゼンブルート・シュヴァルツとは俺の事だ!」
本当に相変わらずだなぁこいつは。
……………………
………………
休憩を終えた俺達は、新たに黒田……もといアイゼンを仲間に加え、再び山頂を目指して山を登る。
道はすっかり開け、ゴツゴツした岩肌の地面が俺達を出迎える。
山小屋を出発してから3時間、下から見える景色と太陽の位置以外は特に変化は無く今に至る。
ちなみに陽は暮れ始めており、そろそろ野宿を検討しなければならない時間帯だ。
「ん〜、らくちん」
「フッ、この程度はお安い御用です」
「ずりぃぞ、てめぇ……」
「文句はアイゼンに言ってよねー、言い出しっぺはぼくじゃないんだから」
先頭を歩く俺の後方で、何やらやいやい言っている。
アイゼンがリズをおぶり、それに関してタンデが文句を言っているらしい。
本気で言ってるわけではないとは思うが……自分が必死こいてるのに他人が楽してるのを見て腹を立てる気持ちは分かる。
「ところでアイゼン、おぞましい姿の魔物を見なかったか?」
「おぞましい姿?」
「なんというか……エイリアンとサイボーグを混ぜたというか……全身がタールみたいな黒い液体に覆われて、触手を纏めたような足して胴体に機銃が付いた、犬のような何かだ。金属音みたいな鳴き声も上げていたな」
「何だそれは」
「見た瞬間、自分が自分でなくなるというか、心臓を握り潰されそうになるというか……とにかく、すっごく怖い魔物!」
リズがアイゼンの背中から彼の顔を覗き込む。
「うーむ……そういえば、混沌の怪物、カオスエネミーには要注意、と聞きましたが……もしかすると、そのカオスエネミーこそが件の魔物かもしれませんね。最も、まだこの目で捕捉してはいませんが」
「カオスエネミー……」
「そういえば、リィンカーネーションクエストだっけ? あれは何人が参加したんだ」
「お前とマツを除いた99期生ので3年3組だった者全員……つまり18人だ」
マツは松山の事だ。
俺より先に死んでいる事を考えれば、いるはずは無いが……
「ということは、偽物の勇者はアイゼン様を含めて18人……ということデスね」
「つまりそいつらを全員ぶっとばすってことか?」
「俺を勘定に入れるのはやめてもらおうか!?」
歩いているうちにどんどん陽は落ちてくるが、周囲に村などは無い。
これは野宿コースだな、あってよかった野宿セット。
「よし、今日はここらで野宿だな。準備するぞ」
「がってんデス!」
「えー野宿するのー? 背中痛くなるからやだなぁ」
「夜通し歩くか?」
「はいはい、分かりましたよーだ」
頬を膨らませるリズを横目に、テントの設営に入る。
「本格的だな」
テントの設営の様子を腕を組んで眺めるアイゼン。
「そりゃそうさ。アイゼンにとっては遊びだったかもしれないが、俺達にとっては遊びじゃない」
「何でもいけどお前も手伝えよ包帯野郎!」
「フッ、俺は組み方なんぞ知らん……」
「じゃあとりあえずそこ持ってろ!」
やいやい言いながらもテントは完成し、火を起こして食事をする。
いつしか陽は完全に落ち、空は闇と星空に覆われる。
パチパチと薪が燃える音が心地良い。
「キャンプの割に食事は大方非常食か」
「うるせぇな」
「鳥の魔物バラして持ってくりゃよかったな。そうすりゃ干し肉じゃない肉も食えたってのに」
「まあぼくはパンと甘いものがあればとりあえず大丈夫かなー」
そういって蜂蜜をかけたパンを食べるリズを見て、ふとトルカの顔が思い浮かぶ。
トルカは大丈夫だろうか。
凄まじい魔力を持つとはいえ彼女はまだ子ども、身体だって決して丈夫とは言えない。
もし、溺死あるいは餓死していたとしたら……
していなかったとしても、魔物の餌食になっていたら……
もしもそうだとしたら……せめて、亡骸だけでも見つかれば、弔うこともできるが……
「シンヤー、シーンーヤー」
気が付くと、リズが俺の目の前で手をブンブン振っていた。
「ん?」
「どしたの? ボーっとして」
「……少し、はぐれた仲間の事を思い出してな。甘いものが大好きだったから」
「心配?」
「そりゃあそうさ」
「まあ、そうだよね」
その時リズが見せた微笑みは、いつもより優しく、切なく見えた。
「俺より4つ下くらいの女の子なんだ。人見知りで、帰る場所も分からないらしくてさ」
「……そっか」
「リズの仲間は、どんな人達なんだ?」
「血気盛んな女戦士と、なんか訳ありっぽい騎士様、それから……僧侶のオネエさん」
「オネエさん……?」
……人名? それともオネエ系の事を言ってるのか?
「上手く説明できないけど、1度見たら忘れられないと思うよ」
「そりゃまたアクの強そうな……」
「強いよ、そりゃもう」
リズが苦笑する。
「早く、会えるといいね。お互い」
「そうだな」
「不屈の勇者シンヤよ、貴様いつの間に大天使リズ様の好感度上げているんだ俺にもそのイベントくれよなあ」
「何が好感度だそんなもの自分で何とかしろ」
アイゼンが嫉妬顔で言ってくるのでこちらも言い返しておく。
なーにが好感度イベントだよ結局ゲーム感覚じゃねぇか。
「シンヤ様」
妖精態のピスが、俺の顔を見るようにしてモニター部分を向ける。
「トルカ様もシアルフィア様も、きっと無事なのデス! お2人とも、すっごく強いのデスから!」
「ああ……そうだな」
「シケた顔してねぇで食えよ、おらっ」
「うぐっ!?」
タンデが俺の口に干し肉を押し込む。
うっ、喉に……!
「馬鹿、押し込むな! 窒息死するかと思ったわ!」
「ああ、わりぃわりぃ。その肉に免じて許してくれや」
「お前と一緒にするな」
そんな他愛のないやり取りをしながら、夜を過ごした。
トルカもフィンも、こんな風に元気でいてくれればありがたいのだが……
アイゼンブルート・シュヴァルツ/黒田鉄二
相澤と同じ方法で異世界テラステラに入り込んだ、日本における進也の友人。
厨二病患者にして無類の男の娘好き。ヘタレな一面もあるが、義理人情に厚い。




