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落馬して前世の記憶を取り戻したラスボス第二王子は、死亡フラグを折ったら兄弟妹に執着されました?!〜原作ゲームはもう当てになりません〜  作者: ぶるどっく
第一章 目覚めと蠢く宮廷

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第七話



「お前さ、俺と契約するか?」


「断る!

 この私が他者の力を求めねば、運命を翻すことすら出来ぬ脆弱な存在とでも?」


 欠伸しつつ、黒龍から問い掛けられた内容に、黎深は即座に拒否する。


「(契約なんかしたら!

 僕の死亡フラグが立ちまくりじゃんかぁぁぁっっ!!

 僕はまだ死にたくなぃぃぃぃぃ!!!)」


「お前、心の中はめっちゃ元気が良いな。

 ……しかも、美味いし。」


 心の中で滂沱の涙を振りまきながら叫ぶ黎深に、黒龍はニィっと口角を上げる。


「魂の中核に有るのは"流れ者の魂"。

 それを取り巻くように表層に、この世界で生まれた者の"魂"。

 つまり、"流れ者の魂"が転生して、この世界で生まれなおした。

 それが、何かの切っ掛け……ああ、落馬して頭を打ったのが切っ掛け、か。」


「(えっ……え、何で近寄って来るんだよぉ?!)」


 口元を引き結び、睨み付ける黎深を気にすることなく黒龍が全てを見通すように笑う。


「"流れ者の魂"が根幹にあるから、この世界に生まれ落ちた表層の"魂"はうまく混ざって溶け込んだ。

 だから、お前には、この世界で生きた記憶や知識が身に付いている。

 まー……中と外の言動が一致しないのは、ちょっとした混ざりきれなかった失敗か……?

 だが、突然言動が切り替わったら周囲の人間は驚くだろうから……逆に良かったのか?」


 面白そうに黎深を観察する黒龍。

 黎深の眉間のシワはますます深くなってしまう。


「(僕、もう帰ってもいい?

 僕と黒龍様?さん?は関わらないことがお互いのためなんだよ、きっと……!)」


「まぁ、待てって。

 そんなに焦って結論を出さなくても良いじゃん。」


 立ち去ろうとする黎深の肩を掴んで引き留める黒龍。


「あのな、俺は百年くらい封印されててお腹が減っているんだよ」


「(……それは……僕には、何も出来ないというか……)」


「白龍、俺の番なんだけどな。

 酷いよなぁ……白龍が楽しみにしていた饅頭を、俺が知らなくて勝手に食べたからって、百年も封印して放置だぜ」


「(……まさかの饅頭で夫婦喧嘩の果ての封印……)」


 何て庶民じみた封印の理由……!


「あ、俺が封印された理由は一旦置いといて。

 お前が、俺と契約する利点だけど、お前に一つ、俺に二つあるぜ。」


 不審そうに見詰める黎深へと、黒龍が人差し指を立てる。


「お前の利点。

 俺と契約を結ぶ時に、お前の命を奪えないと縛りを結べばいい。

 そうすれば、俺はお前を殺せない。

 即ち、お前が死ぬ切っ掛けになった過剰な力の譲渡は出来なくなる。」


「(それって、つまり?!)」


「お前が言うところの死亡フラグ回避って奴だな!」


 ニヤリと笑う黒龍に、黎深の心の中が喜びに満ちる。


「(じゃあ、黒龍さんにとっての利点は?)」


「んー?

 俺の利点の一つ目は、腹が減っている俺にとって、お前の負の感情は美味い。

 しかも、濃ゆ過ぎず、薄過ぎず、俺にとってちょうどいい塩梅なんだよ。」


「(え゛っ……僕の感情を食べてるってこと?!)」


「おう!

 まっ、良いじゃん。

 感情そのものを食べているんじゃなくて、負の感情が発するエネルギーを食べているような感じか?

 ぶっちゃけ、人間が甘い、辛いとかを好むようなモンだよ。

 甘い菓子が好きな奴、塩辛い菓子が好きな奴……意味わかるか?」


 人間に説明するって難しいな、と頭を掻く黒龍。


「(何となく、分かったけど……感情を食べられた僕に副作用とかは……)」


「無いと思うぞ?

 白龍の奴が正の感情が豊かな人間に引っ付いて旅をしていたことが有ったが、その人間は普通に寿命で死んでたしな。」


 黎深は、その言葉にホッと胸を撫で下ろす。

 負の感情とやらを食べられたせいで人形のようになるのでは、と一瞬だけ考えてしまったからだ。


「そんで、俺の利点二つ目。

 ぶっちゃけな、長い人生?龍生?

 あー……ま、長い生は退屈なんだよ。

 退屈だから、何か珍しいこととかに出会いたくてなー」


 要するに、お楽しみ有りな三食おやつ昼寝付きってヤツ?とニヤリと笑った黒龍。


「(……お楽しみ有りな三食おやつ昼寝付き……)」


 黒龍が語った彼にとっての利点。

 

 それは……決して、黎深にとってのマイナス要素にはなりはしない。


「(黒龍さん……是非、契約をよろしくお願いします!)」


「お、そうこなくっちゃな!

 んじゃあ、まー……うん。

 取り敢えず、この契約書に名前を記入してくれるか?

 あ、偽名は無効だから。」


「(あの……何処から、書類が……)」


「あー……気にするな。

 何事もサクサクっと進めたい、此方の事情ってヤツだから。」


 黎深の前に黄金に輝く紙が出現する。


「ちゃんと内容を読んで、納得した上で名前は書けよ。

 あとで、こんな筈じゃなかったとか言われても、契約の撤回はできねーからな。」


 黒龍の言葉に促されて、一応隅々まで書面を確認した黎深。


「(……えっと……これで、良いのかな……?)」


「よし!

 これで契約は完了だ。

 あ、これがご本人様控えになるから、ちゃんと保存しておけよ。

 それと、原本は俺の方での管理って決まってっから、よろしく。」


「(……なんか……魔術とか有る世界観らしくないってゆーか……微妙……)」


「現実なんて、そんなモンだろ。」


 契約書を何処かに直し込んだ黒龍が、黎深に向かって機嫌良さそうに笑う。


「俺は、この世界が創生された頃より生きる双龍が片割れ。

 陰を司る黒龍、名を……黒曜。

 人の子よ、お前には我が名を呼ぶ許しを与えよう。」


 光栄に思えよ、と黒龍は厳かに告げるのだった。


「……よし。

 龍としての尊厳とか、威厳は、コレでいいな。

 あとは、お前の前の世界で言うところの省エネタイムだからよろしくなー」


 その一言と共に、ぼふん!と煙と音を立てて変化した黒龍の姿に、黎深は驚きの叫びを上げるのだった。



ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

「続きも読みたい!」 「面白かった!」「応援したい!」

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一つひとつの応援が、物語を書き続ける力になっています。

最後まで楽しんでいただけるよう頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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