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落馬して前世の記憶を取り戻したラスボス第二王子は、死亡フラグを折ったら兄弟妹に執着されました?!〜原作ゲームはもう当てになりません〜  作者: ぶるどっく
第一章 目覚めと蠢く宮廷

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第五話



「っ……どうして……どうして……!」


 十歳にも満たない少年の白い頬に涙が伝う。


「どうして……僕は、兄上のようになれないの……!」


 赤みがかった黒髪。

 吊り上がってはいるが、涙に濡れた瞳。


「ぼく、は……兄上のように立派で優しくなりたいだけなのに……!」


 どんなに頑張っても敵わない完璧な兄。


 少年に向けられた周囲の冷たい視線。


「っ……ふ、ぅ……」


 ポロポロと次々に溢れる少年の涙を知るのは……王宮の端っこにある白い東屋のみ。




 夜の闇に浮かぶように佇む白い東屋。

 白い立派な柱の内の一本には、見事な龍の彫刻が施されている。


「…………」


 夜の闇の中でも美しく輝く宮廷の明かりを、黒い池が映し出し反射する。


「(……ゲームの黎深は……本当に、悪役だったのかな……?)」


 黎深として目覚めてから数刻。


 その僅かな時間だけでも、黎深を取り巻く環境が黎深をラスボスの道へと追い込んでいるように感じた。


「(完璧な兄と比較され続けて、隙を見せれば命を狙われて。

 自分の身を守ろうとすれば、悪い噂を立てられて誤解されて……)」


 誰にも理解されなくて、一人ぼっちだった黎深。


「(……悲しくて、辛くて……どうしようもない悪循環に陥って……ゲームの黎深は、周囲が望む悪役を演じたとしたら……)」


 それって……すごく悲しくないかな……?


「……明日は我が身、か……」


 心の中では死亡フラグ立ちまくりで、どうすればいいかも分からずに右往左往しているのに。


「…………」


 優雅に足を組んで水面を眺めているようにしか見えない内と外のギャップ。


「(何とかして、生き延びる道を探さなきゃ……!

 僕はラスボスに、化け物になって殺されるなんて嫌だっっっ……!!)」


 そもそも……ゲームの黎深は、いつ黒龍の力を得たのか?

 ゲームでは描かれていなかった黎深と黒龍の出会い。


「(主人公の第三王子は、追っ手から逃げた先の洞窟で封印されていた白龍に出会った。

 だったら……黒龍も、何処かに封印されていた……?)」


 もし、そうだったとすれば……黒龍が封印されている場所に近付かなければ……!


「(そうだよ!

 黒龍の力を手に入れることが無ければ、僕が化け物になって殺される未来は回避できる!

 即ち!僕の死亡フラグを折ることが出来るんだ……!!)」


 心の中に希望が満ち溢れる。

 黎深は心の中でガッツポーズを決め、自分の生存条件を発見できた喜びを噛みしめる。


「(そうなると、怪しいのは……黎深の行動範囲だよね?

 もしくは、公務とかで移動した先とか?

 白龍が洞窟の中にあった彫刻の龍が持つ珠に封印されていたってことは……黒龍も似たような場所に封印されている?)」


 生き残るために思考を巡らせていく黎深。


「…………」


 ふ、と……東屋の白い柱の一柱が目に入る。


「…………」


 太い柱に巻き付くように装飾された龍の彫刻。


 ……しかも、その龍は片手に"珠"を持っていた。


「(……あはは!

 流石にさ、この龍の彫刻な筈は無いよね!

 だってさー、物凄くわかりやす過ぎるじゃん!)」


 一つの解決策見つかったことで、心が浮き足立っていたのだ、と……。

 油断していたのだと、後になって人間は気が付くことがある。


 人は、それを……後悔という。


「(確か、ゲームでは第三王子が封印の珠をちょっと触っただけで、ピカーッて……)」


 微かに、龍の彫刻が持つ"珠"に黎深の指先が触れた……瞬間。


「っ……?!」


 目も眩むような眩い光が珠から溢れ出し、夜の闇を切り裂くように周囲を照らし出す。


「…………」


 眩い光が収まり、目の前に現れた圧倒的な威圧感を放つ存在を無言で見上げる黎深。


「(え……うそ……)」


 心の中では驚愕に目を見開く黎深の顔は、ピクリとも引き攣らない。


「(…………フラグ回収が速すぎでしょぉぉぉぉっっ……!!!)」


 死亡フラグの一端を見事に踏み抜いたことに、黎深は心の中で絶叫してしまうのだった。


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

「続きも読みたい!」 「面白かった!」「応援したい!」

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一つひとつの応援が、物語を書き続ける力になっています。

最後まで楽しんでいただけるよう頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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