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第2話


 翌朝。


 窓から差し込む光で目が覚めた。


 柔らかいベッド。

 高級ホテルみたいな天蓋。

 豪華すぎる部屋。


 だが、現実感はまるでなかった。


湊「……夢じゃない、か」


 小さく呟きながら体を起こす。


 昨夜の出来事を思い返す。


 異世界召喚。

 ステータス。

 王国の警戒。

 そして――『神域解析』。


 試しに机を見る。


【高級木製机】

耐久:34

材質:魔樹オーク

状態:良好


湊「……本当に見えるんだな」


 完全にゲームだ。


 しかも、このスキルはかなり異常な気がする。


 その時。


 コンコン。


メイド「神代様、朝食の準備が整っております」


湊「……今行きます」



 食堂へ向かうと、すでにクラスメイトたちが集まっていた。


 長いテーブル。

 並ぶ豪華料理。


 パンだけでも数種類ある。


男子生徒「やっば……」

女子生徒「ホテルのビュッフェよりすごくない?」


 だが、空気は微妙だった。


 自然とグループができ始めている。


 相沢 隼人を中心にした『勇者組』。

 高ランク職業を持つ連中。

 そして、それ以外。


 俺は端の席に座った。


隼人「おー、神代」


 意外にも、相沢が声をかけてきた。


 クラスのリーダー格。

 陽キャ。

 運動神経抜群。

 典型的主人公タイプ。


隼人「昨日大変だったな」


湊「別に」


隼人「まあ気にすんなって。まだ能力わかんねーだけだろ?」


 悪意はない。


 本気で励ましてるんだろう。


 だからこそ少し面倒だった。


桐谷「でも測定不能って怖くね?」


 口を挟んできたのは桐谷。


 『剣聖』を授かった男子だ。


桐谷「王様たちも警戒してたし」


女子生徒「た、確かに……」


 空気が少し冷える。


 そこへ。


優奈「そういう言い方よくないよ」


 橘 優奈が静かに言った。


 食堂が静まる。


優奈「神代くんだって困ってるのに」


桐谷「いや、俺別に悪く言ってるわけじゃ――」


優奈「なら、もっと言い方あるでしょ?」


 桐谷が黙る。


 クラスの空気をまとめる力は、やっぱり彼女が一番強い。


隼人「まあまあ、その辺にしようぜ」


 相沢が苦笑しながら場を流した。


 だが。


 その時、俺は気づいていた。


 食堂の入口付近。


 騎士が二人、こちらを監視している。


 しかも。


【王国騎士】

忠誠:92

任務:監視対象・神代湊


 ……露骨だな。



 朝食後。


 俺たちは訓練場へ案内された。


 広大な石造りの施設。

 剣士用エリア。

 魔法訓練場。

 弓術場。


 完全に軍事施設だった。


騎士団長「本日より諸君には、勇者としての訓練を受けてもらう」


騎士団長「魔族との戦いは近い」


 クラスメイトたちがざわつく。


男子生徒「マジで戦うのか……」

女子生徒「怖い……」


 だが一部は興奮していた。


 特に力を得た連中。


桐谷「よっしゃ、異世界バトルってやつだな!」


隼人「浮かれすぎんなよ」


 そう言いつつ、相沢自身も高揚しているのがわかる。


 当然だ。


 勇者なんて、男なら一度は憧れる。


 騎士団長が手を叩いた。


騎士団長「では順番に能力確認を行う!」



 最初に前へ出たのは桐谷だった。


 木剣を握る。


騎士団長「打ち込んでみろ」


桐谷「おらぁっ!!」


 次の瞬間。


 轟音。


 木剣が空気を裂き、訓練用の鉄人形を真っ二つにした。


女子生徒「ええっ!?」

男子生徒「やばっ!?」


 騎士たちがざわめく。


騎士「なんという膂力だ……」

騎士団長「これが剣聖……!」


 桐谷が得意げに笑う。


 続いて魔法組。


 炎。

 氷。

 風。


 昨日まで普通の高校生だった連中が、平然と超常現象を起こしていた。


 そして。


優奈「……お願い」


 橘 優奈が祈るように両手を重ねる。


 淡い光が広がった。


 怪我をしていた騎士の腕が、一瞬で治癒する。


騎士「痛みが消えた……!」


大臣「素晴らしい……!」


 歓声。


 完全に『聖女』だった。


 だが。


 俺は別のものを見ていた。


【橘 優奈】

状態:精神負荷(微)

魔力流出:継続中


 ……ん?


 違和感。


 聖女の力を使うたび、魔力が吸われている。


 しかも妙に流れ方が不自然だ。


 どこかへ“抜かれている”。


湊「……」


 解析を深めようとした瞬間。


騎士団長「次、神代 湊」


 視線が集まる。


 空気が変わった。


 期待ではない。


 疑念と警戒。


 俺はゆっくり前へ出る。


騎士団長「貴様の能力を見せろ」


湊「そう言われても」


 実際、使い方がわからない。


 その時。


《推奨:対象解析》


 視界に文字。


 目の前の騎士団長を見る。


【騎士団長 ガルディア】

Lv58

筋力:A

魔力:B

スキル:

・剛力

・威圧

・斬撃強化


弱点:

・左脇腹旧傷

・魔力循環の乱れ


 情報が一気に流れ込む。


 頭が少し痛む。


騎士団長「どうした?」


湊「……いや」


 その瞬間だった。


 騎士団長が放った威圧。


 普通の生徒なら足がすくむレベル。


 だが。


《威圧スキル解析完了》

《無効化可能》


 空気が変わる。


騎士団長「……っ?」


 騎士団長の目が見開かれた。


 威圧が消えたからだ。


大臣「なに……?」


 ざわつく周囲。


 俺自身も驚いていた。


 今、無意識に“分解”した。


 スキルそのものを。


騎士団長「貴様……何をした」


湊「わからない」


 半分本当だ。


 だが。


 俺の能力は、たぶん。


 “見る”だけじゃない。


 解析したものに干渉できる。


 その時。


《ユニークスキル『神域解析』Lv2へ上昇》


 視界に文字が浮かんだ。


 同時に。


 騎士団長の顔色が変わる。


 警戒。


 いや。


 敵を見る目だった。

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