表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/21

第14話


 “目”が合った。


 その瞬間、全身の血が凍りつく。


 見てはいけないものを見た。


 理解してはいけないものを理解しかけた。


《警告》

《上位観測存在との接触を確認》

《認識汚染進行》


湊「っ……!!」


 視界が歪む。


 塔が消える。


 騎士も、リリアナも、ゼクトも。


 全部が“線”になって崩れていく。


 代わりに見えたのは――


 “海”。


 黒い海だった。


 果てのない闇。


 そこに、巨大な何かが沈んでいる。


 いや、違う。


 世界そのものが、その存在の“影”だった。


???「――見つけた」


 声。


 頭の中じゃない。


 世界全体から響いてくる。


 圧倒的。


 存在の格が違いすぎる。


 理解した瞬間、人間として壊れるレベル。


《精神崩壊危険域》


 だが、その時。


リリアナ「神代!!!」


 金色の光。


 瞬間、視界が現実へ戻った。


湊「……はぁっ!!」


 息を荒げる。


 床に膝をついていた。


 塔は半壊している。


 黒い腕は消えかけ、王は倒れていた。


 リリアナが俺を支えている。


リリアナ「大丈夫ですか!?」


湊「……今の、何だ」


 声が震える。


 初めてだった。


 本気で恐怖を感じた。


 ゼクトが苦い顔でこちらを見る。


ゼクト「見ちまったか」


湊「お前……知ってたのか」


ゼクト「ある程度な」


 珍しく軽口がない。


 それだけで異常さがわかる。


ゼクト「“深層”を見るなって言ったろ」


湊「聞いてねぇよ……!」


ゼクト「言ったところで無理か」


 頭を掻きながらため息。


 その時。


 王の身体から黒い霧が抜け始めた。


 寄生存在が、剥がされている。


???「観測者ァァァ……」


 憎悪に満ちた声。


 黒い核が宙へ浮かび上がる。


 球体。


 いや、“目”だ。


 巨大な黒い目。


 それだけで空間が歪む。


騎士「化け物……」

ガルディア「総員、結界を張れ!!」


 騎士たちが慌てて魔法陣を展開する。


 だが。


《結界強度:突破予測》


 意味がない。


 格が違いすぎる。


 黒い目がゆっくり俺を見る。


???「お前は、こちら側へ来る」


湊「断る」


???「拒否は無意味」


 その瞬間。


 大量の“情報”が流れ込んできた。


 観測者。

 深層。

 世界の裏側。


 そして――


 “外”。


 この世界の外側に、さらに別の“層”が存在している。


《世界構造理解率:12%》


湊「っ……!」


 頭痛。


 脳が耐えきれない。


 なのに理解してしまう。


 理解した瞬間、世界の見え方が変わる。


 壁が壁に見えない。

 人が人に見えない。


 全部“情報の塊”になる。


リリアナ「神代!!」


 彼女が強く俺の手を握る。


 その瞬間。


 崩れかけた認識が戻る。


 人の温度。


 柔らかさ。


 感情。


《精神安定》


 ……助けられてる。


 本当に。


 ゼクトがその様子を見て笑った。


ゼクト「完全にアンカーだな」


湊「だから何なんだよ、それ」


ゼクト「簡単に言えば」


 ゼクトが黒い目を睨む。


ゼクト「お前を“人間側”に引っ張ってる存在」


 その時。


 黒い目がリリアナを見る。


???「鍵……」


 空気が変わる。


 次の瞬間。


 黒い目から無数の線が伸びた。


 全部、リリアナへ向かう。


ゼクト「チッ!!」


湊「リリアナ!!」


 反射的に前へ出る。


《自動防御展開》


 世界が再び遅くなる。


 線が見える。


 黒い糸。


 認識侵食。


 魂への接続。


 理解した瞬間、俺は無意識に手を伸ばしていた。


湊「――切れ」


 パキンッ。


 乾いた音。


 黒い線が一斉に断裂する。


???「……!?」


 初めて、“それ”が驚愕した。


 同時に。


 俺の視界に、新しい表示が浮かぶ。


《権能取得条件を一部達成》

《名称未設定機能:解放可能》


湊「……権能?」


 その瞬間。


 黒い目が、はっきりと“敵意”を向けてきた。


???「危険」


???「やはり、消すべきだ」


 空間が軋む。


 塔全体が崩れ始める。


 そして。


 空の黒い輪が、さらに開いた。


 向こう側から――


 “何か”が降りてこようとしていた。

誤字脱字・感想などコメントいただけると支えになりますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ