525ーニコったら
目の前で大きな炎を剣に纏わせているリア。だから調整しなきゃ駄目だって言ってるのに。
「リア、もっと魔力を絞れるだろう?」
「ええー、私はレオほどできないですって」
なんでそこにレオが出てくるのかな? レオは確かに魔法操作は兄弟の中では一番だけど、魔力量ならリアだって負けてない。リアったら、全然分からないって顔をしているじゃないか。それであれだけの炎を出せるのだから、リアってもしかしたら天才なのかな?
「どうやって絞るのか全然分かりません! そもそも魔力の量を調整するなんてできません!」
あ、違った。天才じゃなかったらしい。アハハハ。これからこのディさんがしっかりと教えてあげよう。
その時、賑やかな子たちがやってきて、僕の足下に集まった。
「え? どうしたの?」
「ピヨヨ!」
「アンアン!」
ああ、そっか。この子たちを忘れていた。自分たちも特訓すると訴えているのかな。おや? 数が多いぞ。
「あれ? 君たちはもしかしてロロがこっちで作った子たちかな?」
ロロの作ったお帽子を被っていない子が二体いた。こっちに来てすぐの頃にロロが作った子たちだろう。
「キャン」
「アンアン!」
「ああ、ロロが作って名前をおーちゃんと、どらんちゃんってエルがつけたんです」
「アハハハ! おーちゃんとどらんちゃんなの?」
オードラン家だから、おーちゃんとどらんちゃんか。アハハハ! まんまじゃない、笑ってしまう。
「アハハハ! ああ、おかしい!」
「ディさんったら、笑ってばかりなんだもの」
「だって、リア。ロロってなんて楽しいんだ」
「ふふふ、ロロは可愛いです」
はいはい、確かに可愛いよ。作った時は僕も見ていた。ロロ本人は何も思ってないんだ。きっと、こねこねしたらいいか。くらいだろう。それがどれだけ特別なことなのか、全然分かっていない。だからホイホイ作っちゃう。
自分の意思で動くゴーレムなんて聞いたことがない。しかもプチだって。
「アハハハ!」
「もう、ディさん!」
「ごめんごめん、特訓しよう。じゃあ、君たちはリアの剣を避けよう」
「アン!」
「キャン!」
「よし! いくわよー!」
そう言った途端にリアの剣の炎が大きく燃え上がる。
はいはい、だからまた全力で魔力を流しているじゃない。すぐに忘れて夢中になるんだから。
「リア! また全力で流しているだろう!」
「あ! そうでした!」
しばらくプチゴーレムと対戦しているだろうから、ちょっとニコを見に行こう。
「リア、魔力量をずっと意識するんだよ!」
「はい! ディさん!」
さてさて、ニコはどうかな? 確かローゼさんとティーナさんが、ニコを連れて温室に行ったと思うのだけど。
温室に入って行くと、いたいた。三人頭を突き合わせて何かをしている。
「ニコ、どうかな?」
「あ、ディさん。ちょっと見てくれよ」
どうしたんだ? 回復ポーションを作っていたのだろう? そう思いながら、僕はニコが持っているポーションの瓶を見た。
「な、色が違うんだ」
「これってニコが作ったの?」
「そうだぞ。教わった通りに作ったら、俺だけ色が違うんだよ」
「だから、ニコ。これは上級ポーションだって言ってるじゃない」
「だって、ローゼさん。レオ兄でも中級ポーションなのに、俺が上級なんて作れるはずねーって」
「そんなことはないよ、ニコ」
それは思い込みだ。まず、比べるのものも間違っている。レオは確かに普段は中級ポーションを作っているけど、上級ポーションが作れないのではない。必要がないから作らないだけで、作れるんだ。そこをニコは間違って覚えている。
「レオは上級ポーションを作れるよ。いつもは必要がないから作らないだけだ」
「え!? そうなのか!? じゃあ、ロロは?」
「ロロはまだかなぁ」
「な、ロロが作れないなら俺は無理だ」
だから、どうしてそう思うんだ? それってニコは、自分はできないと思い込んでない?
「ニコ、どうしてそう思うの?」
「だってさぁ、レオ兄やロロは魔法操作とかもちゃんとできるしさ。俺は魔法を本格的に使いだしたのは、お墓参りに行ってからだから」
「そっか、そう思うんだ。でもそれは間違いだ。ニコは、レオやロロが持っていない才能があるだろう?」
「えー、そんなのあるか?」
ああ、この兄弟はなんなんだ? リアもニコも才能に溢れているのに、皆自分より他の兄弟の方ができると思っている。そういえば、ロロもレオは凄いとか言ってたな。
ああ、この兄弟の中でレオってそういう立ち位置なんだ。みんなレオが一番だと思っているのかな。だけどそれは人それぞれだよ。四人とも、それぞれに良さがあるんだ。それを分からないとね。自分の力を信じることにもなるんだ。戦闘時に自分を信じられないと、自分の力を存分に発揮できないことになってしまう。
自信過剰はよくないけど、自分を信じることは大事だ。僕が教えてあげよう。
「ニコは緑の手を持っているだろう?」
「それって、才能なのか?」
「当然だよ! 何言ってんの!?」
「お、おう」
だからね、薬草を使うポーションや薬湯を作る時には緑の手を持つニコは有利なんだ。薬草の効果を最大限に引き出せる。だから上級ポーションが作れてもなんの不思議もない。そう教えてあげた。




