第9話:深層の咆哮、守るべきは…?
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今回は、新人勇者一行が最大の危機を迎える第9話をお届けします。
ルミがゴーレムの攻撃を受け、絶体絶命の窮地! ルミを護るため、ついにケンジがその力を全解放し、その姿を目撃したルミの心に変化が……。
【異世界:聖教国 ダンジョン・中層】
勇者ギルドから下された任務は、ダンジョン下層の「魔力異常」の調査と鎮圧。新人勇者である俺たちだけで挑むには十分すぎる難易度だった。
「ねえ、他の新人勇者と一緒ならまだしも、どうしてこのおじさんと一緒なの?! ありえないんだけど」
ルミが細剣を鞘に納め、これ見よがしに溜め息をつく。
「さっきから『掃除』だの何だのと呟いて、結局のところ、ただの足手まといだし、罠の解除も索敵も、全部私がやってるんだから。…変な動きして邪魔だけはしないでよね」
「わりぃなルミ。足を引っ張らないよう気をつけるからさ」
俺が苦笑いして防護服を整えると、彼女は「ふん!」とそっぽを向いた。
だが、その剣技は本物だ。次々と現れるスケルトンを「このくらい楽勝よ!」と軽やかに駆け抜け、一振りで瓦礫の山へと変えていく。最短ルートで突き進むその背中を、俺たちは必死に追いかけた。
◆
【異世界:ダンジョン・最下層】
最下層の空気が凍りついた。
そこにいたのは、『獄炎のゴーレム』。全身を紫の結晶が覆い、禍々しい魔力を放っている。
「な……っ!? これ、どういうこと…!?」
ルミが剣を構えるが、その手は震えていた。ゴーレムが巨大な頭を向ける。
「オ、オロカナ、ニ、ニンゲン……ワレハ、マジン…ナリ。スベテ、ホロビヨ…」
その言葉と共に、ゴーレムが放った巨大な炎の塊がルミを直撃した。
「きゃあああっ!?」
防御障壁が一瞬で粉砕され、ルミは吹き飛ばされる。壁に叩きつけられた彼女は、頭部を強打し、そのまま意識を失って崩れ落ちた。
「ルミさん!? 嘘だろ……!」
マナトが駆け寄ろうとしたが、ゴーレムの次なる炎がマナトの行く手を阻む。
「ぐあぁあああ!」
マナトもまた吹き飛ばされて床を転がる。俺は即座にマナトを庇い、ゴーレムの正面へ立った。
(凛に隠れてきたが、もう限界か)
俺は鍵を解放した。ドォォォォンッ!!
ダンジョンを揺るがす衝撃波の中、俺はゴーレムの懐へ飛び込む。
「どうにでもなりやがれぇーー!」
一撃で核を砕き、魔神ゴーレムは霧となって爆散した。
静寂が訪れる。
その時、倒れていたルミの意識がわずかに浮上した。薄れる視界の中で、彼女は見た。紫色の粒子に包まれ、先ほどまでの「頼りないおじさん」とは別人のような、圧倒的な力で立ち尽くすケンジの背中を。
(……え……? あんなの、人間じゃない……でも……)
ケンジが振り返り、倒れたマナトを抱き起こす。
「ケンジさん…この力、それに目が紫色に光ってますよ!?…さっきの魔神のような……」
ケンジは少しバツが悪そうに頭をかき、呟いた。
「あー、まー、なんだ…。ちょっと魔神の力を身体に取り込んじまったみたいでな?」
「えっ?!…大丈夫なんですか? ちゃんと見てもらったほうが…」
「いや、…このことは黙っていてもらえるか?……たぶんバレたら処分される。下手すりゃ解剖だ」
マナトは息を呑む。ケンジの真剣な眼差しを受け、決心したように力強く頷いた。
「わかりました。…こうなったら墓まで秘密を持ってきますよ!」
「サンキューな…」
ケンジはそう言うと、傍らで意識を失っていたルミを優しく抱き上げた。
「う…、うーん」
ルミがぼんやりと目を開ける。自分の状況を理解した彼女は、反射的に顔を真っ赤にした。
「ななな……ッ、なんであんたが私を抱っこしてるのよ!」
ルミは気力だけで抗議したが、先ほどの圧倒的な光景は彼女の網膜に深く焼き付いていた。
「安心して寝てろ、もう敵はいない」
(あれ…このおじさん、こんなにカッコよかったっけ…?)
彼女は隠しきれない心拍数の高鳴りとともに、ケンジの胸元で再び安堵の闇へと落ちていった。
第9話をお読みいただきありがとうございました!
ルミのツンデレ全開なセリフと、ケンジの背中に心を奪われてしまう可愛さを意識しました。
クールな少女がケンジの前でだけ見せる慌てた姿、いかがでしたでしょうか?
次回、第10話はケンジの正体への疑惑と、ルミの密かな感情の動きとなります。
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