第10話:勇者の報酬、日常に潜む綻び。
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激戦を終え、ようやく安息の時……とはいかず、またもや不穏な警報が鳴り響きます!
ルミのツンデレなプレゼントに赤面するケンジと、迫り来る新たな脅威。第10話です!
【異世界:聖教国 勇者ギルド・宿舎】
ダンジョンからの帰還後、俺とマナトは宿舎の一室で重苦しい沈黙を共有していた。
ルミは医務室で手当てを受けている。先ほどの戦闘の記憶、そして俺の体内に潜む「力」の正体。それらを完全に消化するには時間が足りなかった。
「……ケンジさん。さっきの力、本当に大丈夫なんですか?」
マナトが真剣な面持ちで俺を見つめる。
「ああ。正直、自分でも制御が効かなくなる時がある。……魔神の力を引き出すと、体が拒絶反応を起こしてな。今回も危うく暴走するところだった」
「そんな……。でも、ケンジさんは僕たちを守ってくれたじゃないですか。あれが魔神の力だとしても、ケンジさんの心までは魔神に染まってない!」
マナトの言葉に、胸が熱くなる。
バレたら解剖される恐怖。それ以上に、マナトという理解者がそばにいてくれる心強さが、今の俺を支えていた。
「サンキューな、マナト。……お前がいてくれて助かったよ」
コンコン、と扉が叩かれる。
慌てて空気を切り替え、ドアを開けると、そこには少し不機嫌そうな顔をしたルミが立っていた。
「……あの、おじさん。少し良い?」
「お、ルミ。もう歩けるのか? 安静にしてなくて……」
「うるさいわね。……感謝はしてるわよ、一応。さっきは、助けてくれたこと」
ルミは視線を逸らし、バツが悪そうに服の裾を弄っている。
「……だから、お礼よ。今夜、街のお店で食事に連れて行ってあげる。断るのは禁止! ……あ、それと。これ」
彼女が取り出したのは、包み紙に包まれた一着の衣装だった。
「せっかく勇者になったんだから、少しは身なりを整えないとギルドの品格が下がるのよ。……おじさんのその作業服、ダンジョンでボロボロになってたし、新調してきたから着なさいよね!」
中に入っていたのは、洗練された勇者向けの外出用ジャケットだ。彼女の真っ赤な顔を見て、俺は思わず吹き出した。
「ははっ、ありがとなルミ。……それじゃ、今夜は美味しいものをご馳走になるよ」
「……っ! べ、別におじさんに気があるわけじゃないから! ただの勇者としての義務よ!」
彼女はそう捨て台詞を吐いて、足早に廊下へと去っていった。その後ろ姿を見送る俺とマナトの間に、久しぶりに笑いが漏れる。
だが――。
宿舎の廊下に、不穏な空気が流れる。
突如、ギルド全域に鳴り響く警報。それは緊急招集のサインだった。
『全勇者へ告ぐ。……聖教国東部にて、未曾有の魔神反応を検知。即座に出撃せよ』
街の空が紫色に染まる。俺の魔神の核が、その予兆に呼応するように激しく脈動を始めた。
第10話をお読みいただきありがとうございました!
ルミの可愛らしさと、物語が一気にシリアスへと引き戻される緩急を意識しました。
次はついに、ケンジが「魔神」として動かなければならない局面へ……!?
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