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勇者落第、魔物清掃員29歳。〜異世界の呪物を回収してたら「魔神」になったけど、正体を隠して新人勇者からやり直します〜  作者: 仁胡 黒


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第11話:魔神災害の狂宴、掃討者の降臨。

いつも応援ありがとうございます!

都市を滅ぼす魔神災害が発生! 勇者ギルドの精鋭たちをしても手も足も出ない絶望的状況に、ついにケンジが介入します。

正体を隠すという一線を越え、魔神としての力を解放する第11話です!

【異世界:聖教国 東部 戦場】

 空がどす黒く変色し、大気が絶望を孕んで震えていた。

 勇者ギルドが誇る精鋭たちを以てしても、今の戦況は「全滅」の二文字が現実味を帯びる惨状だった。

 都市一つを瞬時に灰燼に帰した元凶。それは、八人の「魔人」を引き連れた、上位魔神級の怪物だった。

 魔人は一体で勇者十人分に匹敵する実力を持つ。その八体が四方八方に散り、ギルドの精鋭たちを蹂躙していく。

「くそっ、これでは話にならん……!」

 ガドル隊長が咆哮し、レオやサハクと共に魔人の一人を打ち倒すが、その表情には焦燥が滲んでいた。魔神本人は、玉座のような魔力の椅子に腰掛け、戦場を眺めて優雅に笑っている。

「愛らしいな。命が散る音というのは、なぜこうも心地よいのか」

 魔神が指先を動かすだけで、勇者たちの防御障壁がガラスのように砕け散る。

 サハクが庇うように盾を突き出すが、魔神の放った一撃が盾ごと彼の腕を弾き飛ばした。

「サハク!?」

 ルミが絶叫する。彼女の細剣も、魔神の結界の前では掠り傷一つ付けられない。

 このままでは、皆殺しにされる。

 俺はギルドの列の後方、混乱の真っ只中にいた。

(凛から支給された『清掃用具』……今はこれを使うしかない)

 通信機越しに、凛の冷徹な声が響く。

『ケンジ、周囲の魔力濃度が限界値を超えたわ。これ以上の隠蔽は不可能よ。……好きなようにやりなさい。ただし、生きて帰ってくること』

「……了解」

 俺は周囲を見渡す。レオが膝をつき、ガドル隊長も魔神の威圧に押され動きを止められている。

 マナトは俺の背後で、必死に勇者たちの誘導を続けていた。

「おじさん、…ううん、ケンジ。お願い父とサク兄を助けて…、私の力じゃ、あいつには敵わない。…あんたなら、この前の魔神を圧倒したあんたなら倒せるでしょ?お願い、なんでもするから…」

ルミは泣き出しそうな顔で俺に懇願してきた。

「ああ、…任せろ。」

 俺は人混みを抜け出し、戦場の中央へ歩み出る。

 魔神が、不敵な笑みを浮かべて俺を見た。

「下級の勇者か? 貴様の魂には、少し妙な……古い『魔神』の残り香があるようだな」

 魔神の瞳が、俺の正体を見透かそうと細められた。

 俺はマントを脱ぎ捨て、魔力を全身へと開放する。紫色の稲妻が、俺の周囲を蹂躙するように渦巻いた。

「おいおい……そんな顔して獲物を待ってんじゃねぇよ」

 俺は魔導銃を構えた。背後でルミが、目を見開いて立ち尽くしている。

 俺はかつて回収した、数多の「呪われたゴミ」を思い出した。それらを分解し、掃除してきた経験が、今、最強の魔神を狩るための殺意へと昇華される。

「全員、下がってろ。ここからは『清掃』の時間だ」

 俺の咆哮と共に、戦場が紫色に染め上げられた。


第11話をお読みいただきありがとうございました!

ついに魔神の本性が戦場に晒されます。今まで「おじさん」として振る舞っていたケンジが、戦場の空気を一変させる瞬間を書きたかったのですが、いかがでしたでしょうか。

次回、第12話は魔神同士の壮絶なバトル! ケンジが真の力を振るい、戦場を支配します。

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