第12話:境界の解放、天を穿つ波動。
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絶望的な魔神の力に対し、仲間を巻き込まないよう苦戦するケンジ。
だが、ガドルの言葉がケンジの背中を押し、ついに魔神の全能力を解放! 空を覆う巨大な魔神を打ち落とす、圧巻のクライマックスです。
【異世界:聖教国 東部 戦場】
魔神と対峙したケンジは周囲に味方が多いことで内心焦っていた。
(やべぇな…、こんなに近いと巻き込んじまう)
「どこまで持つか楽しみだな」
魔神は紫色の波動をケンジに向けて放つ。
ケンジはそれを空中に弾き飛ばす。
「ほう、なかなかやる。ではこれはどうだ」
先ほどの倍はある巨大な光弾が5つもケンジを目掛けて殺到する。
「くっ…、やりずれぇ!」
攻撃を食らいながらも光弾を弾き飛ばす。
(どうする?…このままじゃジリ貧だ)
「こんなものか、そろそろ飽きた。次で終わりだ」
空を埋め尽くす紫色の閃光。魔神の放つ重圧は、戦場に立つガドル隊長やルミといった猛者たちですら、立っているのが精一杯という絶望的なものだった。
「クソッ……ここまでか……!」
ガドルが膝をつく。魔神が掲げた指先には、半径数キロを消滅させるほどの高密度魔力が収束し始めていた。
俺は魔導銃を構えながら、歯を食いしばる。
(ここで全力を出せば、この魔力だけでルミもガドル隊長も吹き飛ぶ……ッ!)
俺は出力を絞り、周囲の味方を巻き込まないよう、ちまちまと魔神の結界を削るしかなかった。だが、それはあまりにも非効率で、無力だった。魔神はそんな俺の窮状を嘲笑うように、悠然と笑う。
「愛らしいな。貴様のその、仲間を想う無意味な慈悲が、自らの死を招くのだ!」
魔神の魔力がついに限界を超え、戦場一帯を無に帰すエネルギーとして膨れ上がる。逃げ場はない。
「ケンジさん……ッ!!」
背後でマナトの悲鳴が聞こえた、その時だ。
「馬鹿者ォォォッ!!」
地響きのような怒声が戦場に轟いた。ガドルがボロボロの盾を構え、皆の前に仁王立ちする。
「他の奴らはワシが命に代えても守る! 貴様の全力を出し切れ! この星を、あのバケモノから救い出せッ!!」
ガドルの背中には、彼が守り抜こうとする勇者たちの姿があった。
迷いは消えた。
「……了解です。隊長」
俺は心臓の奥で脈動する『核』の枷を、完全に引き抜いた。
ズゥゥゥゥンッ!!
大地が悲鳴を上げ、俺の全身から噴出した魔力が空の色を塗り替える。
魔神が、初めてその顔に「恐怖」を浮かべた。逃げようと空へと飛び上がったその瞬間、俺は地を蹴った。
「全力だ。……お前みたいなクズは塵すら残さず掃除してやるっ!」
俺の身体が弾丸となって空を穿つ。最大出力の魔導銃から放たれた紫色の奔流は、もはや攻撃などという生易しいものではなかった。
逃げ場を失い、天上で蹂躙される魔神の核。その全てを霧散させ、戦場を支配していた圧力を一瞬で「掃除」しきった。
静寂。
雲が晴れ、灰色の空から温かな光が戦場に降り注ぐ。
着地した俺の足元で、大地がひび割れ、煙が立ち込めていた。
ルミが、ガドルが、そしてマナトが、開いた口も塞がらないといった様子で、俺の背中を見つめていた。その瞳には、複雑な思いが込められていた。
第12話をお読みいただきありがとうございました!
ガドル隊長との共闘感、いかがでしたでしょうか。ケンジの「全力を出せないもどかしさ」から「全てを解き放つ覚悟」への移行を意識しました。
ルミたちに正体がバレる瀬戸際、第2章の波乱がここから始まります。
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