第13話:審問の影、そして「共犯者」たちの戦略。
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魔神の一撃の代償として訪れた勇者審問。ケンジと凛、二人の「共犯関係」がここから本格的に動き出します。
審問官として、またゼノンの登場、ケンジの力の解明を要求する審問が開始される。
【異世界:聖教国 戦場跡地】
魔神の残滓が霧散した戦場。荒野には深い静寂が満ちていた。
先ほど、俺が放った魔神の一撃は、どう言い繕っても隠しきれるものではなかった。ルミは青ざめた顔で震え、マナトは俺の横で硬直したまま動けない。
彼は知っているのだ。あの力の異常性を。通常の勇者が持ち得る範疇を、遥かに逸脱していたことを。
沈黙を破ったのは、勇者ギルドの使者だった。
「……佐藤ケンジ。貴殿の起こした現象について、ギルドより『勇者審問』への召喚状が届いている」
俺は深く溜息をつく。来るべき時が来た。
即座に通信機を取り出し、現世の凛へと回線をつなぐ。
「……凛、悪い。俺、死ぬかもしれない」
『落ち着きなさいよ。……審問ね。状況は把握してるわ』
凛の冷徹な声が、不思議と俺を落ち着かせる。
「……今回の審問、俺の弁護人として出席してくれ。…まだ話してなかったが、俺の体の中には魔神の力が宿ってるんだ…」
『知ってるわよ?』
「黙っていてすまな…ん?」
『知ってたってば。何年一緒にいたと思ってるのよ。分かるわよ。まったく』
俺は今、どんな顔をしてるだろうか…、たぶん間の抜けた顔をしてるだろうな。
「そうか、なら話が早い。俺はこの魔神の力のことを全て話そうと思ってる」
『バカ言わないで。そんなことしたら、あなたは即座に解剖対象よ。……いい? あなたの力は、私が開発した『魔神エネルギー変換デバイス』による出力補正。それをギルドに主張するわ』
知っている、という凛の声音に、俺は肩の力が抜けるのを感じた。凛はとっくに全てを見抜いていたのだ。
【異世界:勇者ギルド 審問の間】
審問官の席に座るのは、冷酷な男として名高いゼノンだった。
「佐藤ケンジ。貴殿が用いたあの魔力……到底、新人勇者の装備で放てる代物ではない。説明を求める」
隣に立つ凛が、淀みなく言い放つ。
「国立異世界資源研究所が開発した、対魔神用試作重火器。その出力の『許容値』を、ケンジの特異な適性で上書きしたに過ぎません。理論上の数値計算は全てここにあります」
ゼノンは眉をひそめ、冷ややかな視線を俺に突き刺した。
「……所詮は研究所の機材頼みか。だが、その危険な火種を戦場に持ち込んだ罪は重い」
審問の結果は、当初の予想とは少し違った形に着地した。
「貴殿の処分は保留とする。ただし、今後一切の単独行動を禁じる。今日より貴殿ら三名は、ガドル隊長率いる『一番隊』預かりとする」
一番隊。すなわち、ガドル隊長の厳しい監視下。
俺はマナトとルミと顔を見合わせる。
「……逃げ場はないな」
「ケンジさん、これからが本当の地獄になりそうですね」
マナトが苦笑する。ルミもまた、複雑な表情で俺を見つめていた。
魔神の正体は守りきった。だが、一番隊という名の檻に入れられた俺たちの戦いは、ここからが本番となる。
第13話をお読みいただきありがとうございました!
「魔神の力」を凛が「最新鋭兵器の出力補正」として堂々と論破するシーンは、書いていて非常に爽快でした。
審問という緊迫した場を乗り越え、いよいよガドル隊長の監視下へ……。一番隊での生活がケンジにとってどういうものになるのか、今後の展開にご期待ください!
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