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勇者落第、魔物清掃員29歳。〜異世界の呪物を回収してたら「魔神」になったけど、正体を隠して新人勇者からやり直します〜  作者: 仁胡 黒


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第32話:深淵の浄化、あるいは静かなる覚悟。

いつも応援ありがとうございます!

東部防衛都市を襲った最悪の魔神災害。

ガドルやレオたちが絶望する中、ついにケンジが「魔神の力」を全開にして立ち上がる!

圧倒的な敵を相手に、清掃員の知識と技術ですべてを浄化する第32話です!

【異世界:東部防衛都市・外縁戦線】

 赤黒く染まった空の下、最悪の魔神が放つ威圧感は、周囲の空気を完全に凍りつかせていた。

 ガドルやレオたちが傷だらけで膝をつく中、ケンジは平然とした足取りでその中心へと歩み出る。

「お前……その魔力、まさしく我らと同質の……!」

 魔神が驚愕の色を浮かべる。かつてケンジが取り込んだ魔神の核、その源流に位置する存在にとって、目の前の男が放つ波動は紛れもない「同胞」のそれだった。しかし、その瞳に宿るのは魔族の狂気ではなく、長年の現場仕事で鍛え抜かれた冷徹なまでのプロ意識だった。

「同類だなんて言うなよ。俺はただの、ゴミの片付け屋だ」

 ケンジは腰の魔導銃を構え、その銃口をまっすぐ魔神へと向けた。

 魔神が顔を歪め、周囲の空間を引き裂くほどの漆黒の奔流を解き放つ。都市を消滅させかねないその一撃に対し、ケンジは一歩も引かない。

「全力でいく。凛……頼んだ」

 ケンジが心の中で呟いた瞬間、異世界技術研究所(NIIR)から支給された特殊な魔力抑制・増幅デバイスが、体内の魔神のエネルギーを完璧な効率で「清掃用出力」へと変換した。

 漆黒の奔流が直撃する直前、ケンジの周囲に展開されたのは破壊の光ではない。すべてを無害な粒子へと分解する、眩いほどの純白の魔力嵐だった。

「なっ……バカな!? 我が力が、霧散していく……!?」

 魔神の絶叫が戦場に響き渡る。

 ケンジの放った分解弾と、魔神の核から溢れたエネルギーが激しく衝突し、内部から化学反応を起こしていく。魔物の群れも、従えていた八体の魔人も、その浄化の嵐の前にはただの「不要な澱み」に過ぎなかった。

「ここからは、俺の仕事だ。魔神(ゴミ)は綺麗に掃除してやる」

 ケンジが引き金を引いた瞬間、世界から一切の音が消えた。

 圧倒的な光が東部防衛都市を包み込み、都市を滅ぼすはずだった魔神の存在そのものを、世界から綺麗さっぱり「洗い流す」。

 静寂が戻った戦場。

 そこに立っていたのは、ボロボロのコートを翻し、いつものように肩をすくめる一人の男の背中だった。

 遠巻きに見守っていたレオや一番隊の面々は、言葉を失い、ただ呆然とその背中を見つめることしかできなかった。


第32話をお読みいただきありがとうございました!

ケンジが圧倒的な力を見せつけつつも、あくまで「清掃」としてのプロ意識を貫く戦闘シーンを描きました。

周囲がその規格外の強さに言葉を失う中、この後ケンジの正体がどのように扱われていくのか――。

物語は大きな転換点を迎えます!

複数作品を書いてますのでもしよろしければ、評価やブクマで応援いただけると、こちらの作品を優先して進める目安になるので推してくだされば幸いです!

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