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勇者落第、魔物清掃員29歳。〜異世界の呪物を回収してたら「魔神」になったけど、正体を隠して新人勇者からやり直します〜  作者: 仁胡 黒


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第31話:最悪の『廃棄物』、神域の崩壊。

いつも応援ありがとうございます!

東部防衛都市で発生した魔神災害。

魔人を従える最悪の魔神の前に、ガドルやレオたち精鋭が絶望的なピンチに陥る!

限界を迎える戦場に、ついにケンジが参戦する第31話です!

【異世界:東部防衛都市・外縁戦線】

 東の空を覆っていた夜闇が、血のような赤黒い光に染まっていた。

 魔神災害。それは一国の軍隊すら容易く蹂躙する、世界にとって最大の「驚異」であり、最悪の「廃棄物」だった。

「くそっ、数が多すぎる……! 魔人が八体だと聞いていたが、雑兵の質が桁違いだ!」

 一番隊の副隊長・サハクが、冷や汗を流しながら大剣を振るう。彼の周囲には、剣魔人や闘魔人といった上位の魔人たちが壁のように立ちはだかっていた。

 その少し離れた場所では、ガドル隊長とレオが、最悪の魔神と対峙していた。

「……人間風情が、よくここまで這い上がってきたものだ」

 優雅な微笑みを浮かべるその魔神は、しかし、その瞳の奥に底知れぬ残忍さを湛えていた。魔神が軽く指を弾くだけで、周囲の空間が歪み、空間そのものが削り取られる。

「レオ、下がるな! あいつの攻撃は直撃すれば消滅するぞ!」

 ガドルが獅子奮迅の働きでレオを庇うが、その巨体にはすでにいくつもの深い傷が刻まれていた。レオは圧倒的な力の差の前に歯噛みし、自分の無力さを呪うように聖剣を握りしめている。

「これが……魔神の力……。俺の剣じゃ、あの皮膚に傷一つつけることすら……っ!」

 勝負の決定的瞬間は、音もなく訪れた。

 魔神が放った漆黒の光弾が、ガドルの防御を紙細工のように貫き、レオの胸元へと迫る。

「レオッ!!」

 遠くでルミが悲鳴を上げた。

 だが、その光弾がレオを呑み込むより早く、一筋の青白い閃光が戦場の真ん中を切り裂いた。

 ドォォォォンッ!!

 強烈な衝撃波が周囲の魔人たちを吹き飛ばし、漆黒の光弾を霧散させる。

 砂煙が舞う中、そこに立っていたのは、見慣れたボロボロのコートを纏った男だった。

「……あー、わりい、少し手間取ってな」

 ケンジは愛用の魔導銃を肩に担ぎ、冷ややかな目を魔神へと向ける。

「佐藤……! なぜお前がここに……!」

 レオが驚愕の表情でケンジを見る。ガドルもまた、血を拭いながら目を見開いた。

 魔神は、目の前に現れた「一人の人間」を一瞥し、不気味に口角を吊り上げた。

「ほう? 下等な虫けらが一匹増えたところで、結果は変わらんよ。……ほう?」

 魔神の表情が、わずかに疑念の色を含む。

 ケンジの身体から、自分と同質の、いや、それを遥かに凌駕する「深淵の魔力」が溢れ出し始めていたからだ。

「貴様……その気配、まさか……!」

「――文句言うなよ。ここから先は、俺の仕事だ」

 ケンジの瞳が、金色と黒の禍々しい光を宿す。

 魔神災害という名の最悪の汚点を前に、最強の清掃員による、世界を揺るがす「大掃除」が幕を開けた。


第31話をお読みいただきありがとうございました!

圧倒的な絶望感の中、ケンジが颯爽と(そしていつもの調子で)現れるアツい展開を描きました。

ガドルやレオの前で、ケンジがどれほど隠しきれない「魔神の力」を解放していくのか、次回からの激突にご期待ください!

複数作品を書いてますのでもしよろしければ、評価やブクマで応援いただけると、こちらの作品を優先して進める目安になるので推してくだされば幸いです!

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