第26話:残滓の選別、清掃員が描く最適解。
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巨大ゴーレムの圧倒的な力を前に、ケンジがついに「掃除屋」としての真価を解放する!
力任せの破壊ではなく、理に基づいた解体技術がゴーレムを無力化する。
しかし、その鮮やかな手際が、逆にケンジの正体を怪しむ者たちの疑念を決定的なものにしていく――。
緊張感の連続、第26話です!
【異世界:地下迷宮『静寂の揺り籠』最深部】
獄炎を纏うゴーレムの拳が、迷宮の天井を粉砕する。
レオたち「レオ派」が前衛で攻撃を逸らそうと試みるが、その圧倒的な質量と熱量の前では、聖剣の輝きさえも気休めにしかならない。
「くそっ、熱い! 近づくだけで魔力回路が焼けるぞ!」
カイルが悲鳴を上げ、後方へ弾き飛ばされる。その隙を突き、ゴーレムは迷宮の床を叩き、無数の溶岩柱を発生させた。これに直撃すれば、新人勇者などひとたまりもない。
「全員、防壁を張れ! ケンジ、今だ!」
ルミの叫び声に応じ、俺は魔導銃のスイッチを最大出力へ切り替えた。
ここでの俺の仕事は、ゴーレムを「倒す」ことではない。「解体」することだ。このゴーレムを形成しているのは、かつて勇者たちが放置していった不完全な魔石の残骸と、迷宮の魔力をつなぎ合わせる「触媒」だ。
(……見えた。魔力供給の基点、左胸の奥に埋め込まれた楔か)
俺はゴーレムの懐へと飛び込んだ。溶岩の熱が顔を焼くが、魔神の体質がそれを最小限に抑え込んでくれる。レオが「待て、無茶だ!」と叫ぶ声が遠く聞こえたが、迷いはなかった。
「掃除開始」
俺は魔導銃をゴーレムの胸部へ突き立て、引き金を引いた。
発射されたのは「高周波振動弾」。物理的な衝撃ではなく、物質の「分子結合」を一時的に解除する清掃員時代からの愛用品だ。
内部で溶液が拡散し、ゴーレムの強固な核を包む魔力の結合が一気に緩む。
直後、俺は拳に魔神の力を指先だけに乗せ、核をピンポイントで弾き飛ばした。
ドォォォォンッ!
巨大な質量が、音を立てて崩れ落ちる。獄炎が霧散し、静寂が戻ってきた。
瓦礫の山の中で、俺は一人、静かに銃をホルスターへ戻した。周囲には、呆然と立ち尽くすレオと、驚愕の表情で俺を見つめる仲間たちの視線が集まっている。
「……終わったぞ。後は残滓を回収するだけだ」
俺が淡々とそう告げると、レオはふらふらと歩み寄り、崩れ落ちたゴーレムの核――今はただの冷えた石ころとなったそれを見て、言葉を失っていた。
「……貴様、一体何者だ。今の攻撃、魔導の知識の範疇を超えている。……まるで、魔物そのものの構造を知り尽くしているような……」
レオの言葉に、周囲の空気が変わる。一番隊の仲間たちの視線にも、純粋な驚きとは別の、得体の知れないものへの疑念が混じり始めた。
マナトが空気を読んだのか、慌てて口を開く。
「すごいっすよケンジさん! もしかして、清掃員時代の経験がめちゃくちゃ活きてるんすね!」
だが、そのフォローも今は虚しい。俺たちの近くで、先ほどまで姿を隠していたゼノン管理官が、拍手をしながら影から現れたからだ。
「見事だ。実に興味深い。『魔神の核』を、まるでゴミを分別するように扱うとは。佐藤ケンジ……やはり貴様は、単なる『新人』ではあるまい?」
迷宮の奥底で、俺の「隠れ蓑」が音を立てて剥がれ落ちていく。
ランキング戦の予選という檻は、今、俺を最も恐れる場所へと変貌した。
第26話をお読みいただきありがとうございました!
ついにゼノン管理官に正体を疑われる決定的な場面を作りました。レオの疑念も深まり、ケンジは「一番隊の異端者」から「ギルドの要注意人物」へとランクアップしてしまいます。
次回は、この窮地をどう言い逃れるか、あるいは力で押さえつけるかの瀬戸際です。ケンジが追い詰められるほどに面白くなるこの展開、ぜひ次回も期待してください!
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