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勇者落第、魔物清掃員29歳。〜異世界の呪物を回収してたら「魔神」になったけど、正体を隠して新人勇者からやり直します〜  作者: 仁胡 黒


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第24話:地下迷宮の招待状、あるいは魔神の墓標。

いつも応援ありがとうございます!

ランキング選抜戦第二回戦は、魔神の力を封印するはずの施設が変貌を遂げた『地下迷宮』!

この迷宮は勇者を育てるためのものか、それとも魔神を養殖するためのものか?

罠に満ちた深淵で、一番隊に絶体絶命の危機が訪れる!

加速する謎、そしてケンジの正体に迫る影。ランキング選抜戦の激動の第24話、開幕です!

【異世界:聖教国 勇者ギルド・作戦室】

 ランキング選抜戦の第二回戦、その告知は唐突だった。

 地下迷宮『静寂の揺り籠』――そこはかつて、勇者ギルドが魔神の力を封印するために築いたとされる、広大な地下施設だ。今回、その最深部まで到達し、封印を更新して戻ってくることが今回の任務だという。

「……静寂の揺り籠。あそこは呪いの掃き溜めじゃなかったか?」

 俺が小さく呟くと、サハクが穏やかな表情のまま頷いた。

「ええ、その通りです。だからこそ、一番隊の精鋭であるあなたたちに白羽の矢が立ったのです。……いえ、これはギルド上層部からの『特別な期待』というべきでしょうか」

 その言葉の裏には、あからさまな作為が透けて見える。

 作戦室を出ると、廊下ではレオが武器の整備をしていた。彼もまた、今回の任務に選ばれている。俺たちと目が合うと、レオは聖剣を腰に収め、冷ややかな視線を向けた。

「地下迷宮か。……貴様にとっては、ようやく本性を晒せる場所かもしれんな」

「何のことだ?」

「とぼけるな。お前のその『ゴミ処理』とやらは、あの迷宮の奥にある『魔神の核』を狙っているのではないのか。ギルド内では、今回の任務に不審な噂が流れているぞ。……迷宮の奥には、貴様が隠している何かがある、とな」

 レオの言葉は、ただの挑発ではない。彼は彼なりに情報を集め、俺を警戒しているのだ。

 カイルやミーナといったレオ派の面々も、背後から俺たちを品定めするように見つめている。彼らにとって、今回の任務は「一番隊の異端者」である俺を失墜させるための好機なのだろう。

「ケンジさん、あいつら……相変わらずですね」

「気にしなくていい、マナト。……だが、今回は少し様子が違う。迷宮の深度が、事前の調査記録より深い」

 俺は端末に映し出された迷宮のマップを拡大する。そこには、俺だけが知る「ある違和感」が記されていた。

 迷宮の設計思想が、勇者のための封印施設ではない。まるで、魔神を育て、効率的に回収するための「養殖場」のような構造になっていた。

 翌日。

 地下迷宮の入口に立った俺たちは、湿り気を含んだ死の匂いを感じ取っていた。

 参加者たちは、レオ派のエリート、中立派の実力者たち、そして俺たち一番隊。総勢二十名。

「予選のルールは単純だ。最深部にある『魔封じの楔』を持ち帰った者が勝者となる。……ただし、迷宮内での隊同士の干渉は許可する」

 ゼノンの冷酷な宣告が響く。

 それは「死人が出ても構わない」というギルドの隠れた意図に他ならなかった。

 ゲートが開かれ、勇者たちが一斉に闇の中へと消えていく。

 俺たち一番隊も、最後尾から足を踏み入れた。

 迷宮の内部は、異様なほど静かだった。しかし、その静寂は「餌を待つ獣」の呼吸音のように感じられた。

 しばらく進むと、通路のあちこちに、かつて死んだ勇者たちの装備が放置されているのが見えた。

「ケンジさん、これ……」

「触るな、ルミ。それは装備じゃない。呪いを撒き散らすための『餌』だ」

 俺は魔導銃の安全装置を外す。

 迷宮の壁に手を当てると、微かに響く鼓動を感じた。この迷宮自体が、ひとつの大きな生体魔物として機能している。

 その時、前方を走っていたレオ派のカイルが、通路の先にあった宝箱に手を触れた。

「くはははっ! いきなりレアアイテムか! これは運がいいぜ!」

「待てッ!!」

 俺の制止も虚しく、カイルが宝箱を開いた瞬間――迷宮の床が、口を開けた。

 それは宝箱などではない。壁と同化した「擬態型魔物ミミック・オーガ」だった。

 カイルの悲鳴と共に、通路全体が崩落を始める。

 迷宮の深淵が、俺たち全員を飲み込もうとしていた。

「一番隊、散開しろ!!」

 ガドル隊長の怒号が響く中、俺は暗闇に向かって銃口を向けた。

 いよいよ、正体を隠してなどいられない「本格的な戦闘(掃除)」が始まる。


第24話をお読みいただきありがとうございました!

ついに突入した地下迷宮編。ここから物語の核心に迫る重要エピソードが続きます。

カイルの軽率な行動によって迷宮の牙が剥き出しになる中、ケンジはどこまで自身の力を隠して仲間を守れるのか。

レオとの対立も、この閉鎖空間でより激化していきます。次回、ついにケンジが「掃除屋」としての真価を、仲間たちに見せつけることになるかも……?

面白いと思っていただけたら、ぜひブックマークや評価をお願いします!

皆様の応援が、ケンジの活躍を支える燃料です!

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