第22話:深淵の崩落、そして英雄の「瑕疵(かし)」
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レオとの共闘により、異形『カース・イーター』を撃破!
しかし、その背後にはギルド幹部・ゼノンの冷酷な計算が隠されていた。
ランキング急上昇により、ケンジは否応なしにギルドの巨大な陰謀の渦中へ。
ついにガドル隊長から「正体」を問われる、クライマックス級の第22話です!
【異世界:聖教国 禁忌の森・深部】
禁忌の森の深部、地獄の釜が開いたような衝撃波が渦巻く。
カース・イーターの胸部に刻まれた古の紋章が、赤黒い光を放って脈動していた。俺が撃ち込んだ分解溶液が内部で化学反応を起こし、異形の核を侵食していく。
「今だ、レオッ!! 全魔力を聖剣に込めろ! 奴の核を突き刺す場所は、俺が撃った弾丸の痕跡だ!」
俺の咆哮に、レオが応えた。
彼の中にある慢心は完全に消え失せていた。その瞳には、目の前の敵を討つこと、そして隣で戦う男の「正体」を理解したいという渇望が宿っている。
「……ッッ!! 喰らえェェッ!!」
レオが聖剣を天に掲げる。聖なる光が一点に収束し、まるで天からの雷光のようにカース・イーターへと突き刺さった。俺が作った分解弾による脆弱部を、レオの最大火力が正確に貫く。
断末魔の叫びすら上げられないまま、カース・イーターはその巨大な体躯を粉々に砕け散らせた。
森を覆っていた毒霧が急速に晴れていく。
俺とレオは、砕け散った肉片の山を背に、泥の中で荒い息を吐いていた。
「……やった、のか」
マナトが駆け寄ってくる。ルミもまた、呆然とした様子でこちらを見つめていた。一番隊の初任務どころではない、死闘を乗り越えた達成感がそこにはあった。
しかし、俺の視線は砕け散った異形の破片に向けられていた。
(……これ、ただの魔物じゃない。呪具を人為的に融合させている。誰かがこの森で『魔神の残滓』を回収し、意図的に強化しようとしているんだ)
その時だった。
森の奥から、乾いた拍手の音が聞こえた。
現れたのは、ギルド幹部であり、一番隊を統括する管理官の一人・ゼノンだった。冷徹な笑みを浮かべ、彼は壊滅した森を見渡している。
「素晴らしい。レオ、そして佐藤ケンジ。予選の枠を超えた特異点を見事討伐したな。……実に、貴重な観測データが取れた」
その言葉に、背筋が凍った。
こいつは最初から、俺たちの能力を測るためにこの森を、この怪物を「配置」したのか?
「ゼノン管理官……どういうことです? これは、予選の魔物ではないはず……!」
「ああ、そうだ。これはギルドの次世代戦力育成のための『特別試験』だ。……佐藤ケンジ、貴様には興味深い点が多い。今日の戦い、ギルド本部に詳細を報告させてもらう」
ゼノンは俺を値踏みするように見つめ、興味深げに去っていった。
レオが拳を握りしめる。彼はゼノンの背中に向かって叫ぼうとしたが、俺がその肩を掴んで制した。
「……深追いするな。あいつは敵だ」
「なぜ、それを俺に言う。貴様こそ、一番隊の異端者ではないのか?」
「さあな。だが、少なくとも俺とお前がここで殺し合っても、あいつらが得をするだけだ」
予選終了の鐘が鳴り響く。
結果は明白だった。異形を討伐した俺たちに、これまでにない高ポイントが加算される。ランキングは急上昇し、俺は否応なしに「表舞台」の中心へと引きずり込まれることになった。
帰還の途中、俺の端末に凛からの緊急通信が入る。
『……ケンジ。今の戦い、こっちで解析したわ。あの一件、ギルド内部の過激派が関わっているわよ。気をつけなさい。次は、あなたの「魔神の力」を強制的に引きずり出すような、もっとエグい仕掛けがくるわ』
俺は空を見上げる。
清掃員として異世界にゴミを回収しに来たはずが、いつの間にか俺自身が、ギルドという巨大なシステムの「掃除対象」になりつつあった。
基地に戻ると、ランキング速報が張り出されていた。
俺の名が、レオのすぐ下に躍り出ている。
周囲の新人たちが、俺を見る目が変わっていた。畏怖、嫉妬、そして疑念。
一番隊の控室に戻った俺を待っていたのは、ガドル隊長の重苦しい溜息と、サハクの憂慮に満ちた眼差しだった。
「佐藤。……お前、そろそろ隠し事について話す覚悟はあるか?」
ついに、一番隊の隊長が牙を剥く。
俺は魔導銃の重みを背中に感じながら、覚悟を決めた。
第22話をお読みいただきありがとうございました!
ゼノンという明確な敵が登場し、物語が「学園/訓練もの」から「組織の陰謀もの」へシフトしていきます。
ガドル隊長も、部下を大切に思うがゆえにケンジの正体を知ろうと一線を越えてきました。
ここからケンジは、一番隊という「居場所」を維持するため、そして己の正体を守り抜くため、さらなる決断を迫られます。
果たしてケンジは、信頼を築いてきた仲間たちに何を語るのか……!?
面白かったらぜひブックマークや評価をお願いします!次回の展開は、ケンジの「告白」か、それとも新たな「嘘」か。お見逃しなく!




