第16話:解体師の疑心と、守られる嘘。
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廃坑での一件を終え、一番隊に報告へ向かうケンジたち。
サハクやルミの鋭い追求を、マナトの必死(?)なフォローが救います。
【異世界:聖教国 一番隊訓練場・控室】
廃坑から帰還した俺たちは、そのまま一番隊の作戦室で事後報告を行っていた。
「……以上が、今回の任務の全容です。魔力の凝固ポイントを特定し、安全な形へと中和しました」
「中和、ですか。ケンジさん、あれは一般的な浄化術式とは全く違う魔力操作でしたね。一体、どこの術式を学ばれたのですか?」
サハクが穏やかな笑みを浮かべながらも、鋭い視線を向けてくる。一番隊副隊長としての観察眼は、やはり侮れない。
「あー、まあ、なんだ。清掃員時代に独学で覚えた、ゴミを処理するための荒療治というか……」
「……荒療治で、あんなに綺麗に魔力汚染を消し去るなんて。普通じゃ考えられないでしょ…」
ルミが腕を組み、不審げに俺を見つめる。彼女の直感は鋭い。このままでは、俺の「魔神の力」が露見するのも時間の問題だ。
すると、沈黙を破るようにマナトが前に出た。
「あの、ルミさん! ケンジさんのあれは、独自の……なんていうか、清掃器具の極致ですよ!」
「はあ? 何言ってるのよ、マナト」
「見ていればわかります! ケンジさんはずっと、現場で泥を被りながら魔物と向き合ってきたんです。僕たちには見えない『汚れ』の捨て方を知っているんですよ。ケンジさん、これからもご指導、お願いします!」
マナトは俺に向かって深々と頭を下げ、その後ろで俺に「後はお任せください」とばかりにウィンクをした。……こいつ、どこまで勘がいいんだ。
「……ふむ。マナトがそこまで言うなら、今回の成果はケンジの技術によるものとして受理しよう」
ガドルが重々しく頷く。俺は内心、深く安堵の息を吐いた。
その日の夜。端末を開くと、凛からのメッセージが届いていた。
『……ケンジ。一番隊での活動、少し目立ちすぎじゃない? あんたのエネルギー反応、隠しきれなくなってきてるわよ。次からは、もっと慎重にやりなさい』
俺はため息をつき、誰もいない夜の街を見つめる。
魔神の力を宿してしまった宿命。そして、新人勇者として生きたいという願い。その狭間で、俺の「掃除」はどこまで通用するのだろうか。
第16話をお読みいただきありがとうございました!
ケンジの隠し事を、相棒のマナトがピュアな誤解で守り抜く……そんなバディの絆を描いてみました。
サハクも疑ってはいますが、今はまだ様子見というスタンスです。
ケンジの「魔神の力」が少しずつ漏れ出していく焦燥感と、凛からの警告が今後の展開を加速させていきます。
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