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君だけに恋を囁く  作者: 煙々茸
君恋 第三章
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 ……――

『調子はどう? 店長になって初のフェアだよね。頑張ってる?』

「はい。明日は新作メニューの試食会をする予定なんです。今日も話し合いましたよ」

『そっかー。順調なら何よりだよ。やっぱり、優一に任せて正解だったね』

「ハハ。正解かどうかは分かり兼ねますが」

 時刻は夜の十一時。ヨーロッパ辺りは朝方だろうか。

 俺は風呂から上がり、寝る支度をしながら端末を握って、オーナーの神条さんに近況報告をしていた。

『それじゃあ、もっと良いフェアになるように、アドバイスしてあげる』

「なんですか?」

『二号店の店長と、意見交換するといいよ。僕より榊店長の方がベテランだしね』

「え……や、それはちょっと……」

『? ……どうかした?』

 神条さんに言えるわけがない。

 その榊さんに――。

 俺は彼に告白されたことを思い出して頭を振った。

「いえ、何でもありません」

『……そう? 何かあったらいつでも相談して』

「ありがとうございます」

『あはは。電話の時くらい、敬語じゃなくてもいいんだよ?』

「いや、まあ……でも、一応仕事なんで……」

『優一は真面目さんだねー。君らしいよ』

「それより、そっちはどうなんですか? まだヨーロッパに?」

『うん。来週はアジアに立ち寄って、それから帰国かな。まあ先の事はまだ分からないけれど』

「神条さんも相変わらずですね」

 彼の自由気ままな生き方に、思わず笑いが零れる。

「ああそれから、フェアのことなんですが……――」

 今日出た意見を神条さんに伝え、世間話も交えてお喋りし、通話を切ったのは日付が替わる数分前だった。


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