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……――
『調子はどう? 店長になって初のフェアだよね。頑張ってる?』
「はい。明日は新作メニューの試食会をする予定なんです。今日も話し合いましたよ」
『そっかー。順調なら何よりだよ。やっぱり、優一に任せて正解だったね』
「ハハ。正解かどうかは分かり兼ねますが」
時刻は夜の十一時。ヨーロッパ辺りは朝方だろうか。
俺は風呂から上がり、寝る支度をしながら端末を握って、オーナーの神条さんに近況報告をしていた。
『それじゃあ、もっと良いフェアになるように、アドバイスしてあげる』
「なんですか?」
『二号店の店長と、意見交換するといいよ。僕より榊店長の方がベテランだしね』
「え……や、それはちょっと……」
『? ……どうかした?』
神条さんに言えるわけがない。
その榊さんに――。
俺は彼に告白されたことを思い出して頭を振った。
「いえ、何でもありません」
『……そう? 何かあったらいつでも相談して』
「ありがとうございます」
『あはは。電話の時くらい、敬語じゃなくてもいいんだよ?』
「いや、まあ……でも、一応仕事なんで……」
『優一は真面目さんだねー。君らしいよ』
「それより、そっちはどうなんですか? まだヨーロッパに?」
『うん。来週はアジアに立ち寄って、それから帰国かな。まあ先の事はまだ分からないけれど』
「神条さんも相変わらずですね」
彼の自由気ままな生き方に、思わず笑いが零れる。
「ああそれから、フェアのことなんですが……――」
今日出た意見を神条さんに伝え、世間話も交えてお喋りし、通話を切ったのは日付が替わる数分前だった。




