23 強化スキル
Aランク上位級の魔力の8割。
強力な装備。
そして、スキルを好きに選べる”魔王”ならではの超一点特化のスキル構成。
ゴォォォォオオオオオオオオオッ!!
まあ、弱い魔法になるわけがなかった。
が………………
「ふーむ……?」
「防がれたようですな」
ローブをかぶったオーガが3体手をかざし、ふわりと揺らぐ透明な壁が炎を押し返していた。
30秒もすると、炎はすっかり勢いをなくしてしまった。
見ると、敵の被害はほとんどなかったようだ。
敵の数は少し減った。
前列が少し削れたくらいだが。
「まあいい。持ち場につけ……くるぞ」
攻撃は大して効かなかったが、開戦の合図にはなったようだ。
雄叫びを上げて鬼の大群が突撃してくる。
「ほれ、返すぞ」
「ありがとうございます」
初めてリッチを召喚した時は喋る骨に驚いたものだが、慣れてくるものだ。
最近は吟遊詩人も喋るようになってきたしな。
最上級MPポーションを飲み干して、空の瓶を地面に落とす。
「【迷宮管理】……防壁生成」
ゴゴゴゴゴッ!
地鳴りとともに、オーガとスケルトンの間に壁がせり上がる。
先頭のオーガ達は足を止めたが、後続は気付かぬままに突っ込んでいる。
直ぐに壁を消すと、スケルトン達が前進する。
「これでいいか?正三」
『はい。あとはお任せ下さい』
スケルトンは骨ばかりなので体重が軽い。
骨だけの重さよりはだいぶ重いが、同じステータスでもオーガと体当たりすれば打ち負けるのは自明。
オーガの突進の威力を削ぎ、少しでも隙を作るための防壁だった。
オーガキングとその側近はまだ後ろの方に居る。
今のうちにと、オーガの上位種を無限弓で狙撃すると、キングの側近から魔法が飛んできた。
「障壁」
「オーガキングは俺がやる。残りはリッチ、スケルトンキング、デュラハンで片付けろ」
「「「仰せのままに」」」
さあ…………
ここからの戦いは階級別だ。
「オァァァァァアアアアアアアアッ!!!」
オーガキングが吠える。
何かのスキルを使ったようだ。赤かった体が赤黒く変色していく。
これはぼーっとみてる場合じゃない。
「【身体強化】【魔闘気】【狂化】【過剰燃焼】【限界突破】」
懐から小瓶を取り出して一気に飲み干す。
15分程度の間、再生力と全ステータスが上昇する強化ポーションだ。
「始めろ」
そして仕上げに、念話の首飾りで指令を出す。
命令したのは……
「Verstanden!」
吟遊詩人と、演奏家の面々だ。
彼らがいる場所とは遠く離れていると言うのに、その音は不思議とここまでよく届く。
スケルトンオーケストラで、”歓喜の歌”。
演奏家や吟遊詩人は、歌うことで聴衆に様々な影響を及ぼす。
今回の効果…………
【戦意高揚】
全ステータス1.2倍。
【勇猛果敢】
恐怖を減じる。
「筋力強化」
「防御強化」
「知力強化」
「俊敏強化」
「器用強化」
「魔防強化」
さらに、ハイピクシーの支援術士のバフがこれでもかとばかりに降り注ぐ。
「さあ、やろうか!」
ちなみに、ステータスの強化具合は
【身体強化】1.5~2倍
【魔闘気】1.5~2倍
【狂化】1.2~2倍
【過剰燃焼】2倍(未使用)
【限界突破】2倍(未使用)
【戦意高揚】1.2倍
強化薬1.2倍
各種バフ 1.3倍
各種装備 1.2~1.5倍
美禰子の料理 1.2倍
……こんな感じ。
全スキルを最大倍率で使用すれば、約100倍の強化にもなりうるが、正直、最大強化は身が持たない。
持って数分、しかも体がステータスに振り回される。
今、これで大体20倍強化。
ステータス的には16億程度は出ていて、SSの域に達している。
オーガキングがこれ以上なんの強化もしなければこのままで勝てる程度の強化である。
このオーガキングの平均ステータスは8億少し。
恐らく、本気を出した時のステータスは1部50億近くまで上がると思う。
そこにさらに、諸々の戦闘スキルが加わるのだ。
ステータスだけで勝とうと思うなら、100倍強化の80億は最低でも必要だろう。
「来いよ、馬鹿」
「無礼だナ、人間」
喋るのかよ…………
喋るモンスターは厄介と相場が決まっている。
今オーガキングがいるあたりが、大体ダンジョンの端っこである。
戦うのがそこよりこちらでなければ勝ち目はない。
ダンジョン内であれば迷宮倉庫からいつでも物を取り出せるし、防壁生成や罠設置も念じるだけでできる。
元々の差が圧倒的なんだ。
とことん有利な状況を作るしかない。
俺のダンジョン内でしか使えない能力までフルに使わないと、戦いにすらならない。
迷宮倉庫から武器を取り出す。
『鬼斬包丁』
特性:対鬼特効
「嫌ナ武器だ」
「そりゃどーも」
俺とオーガキングは、同時に走り出した。
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