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「ときに月読さん」

 「はい?」

 「セリゼちゃんとはうまくいっていますか?」

 「いつもどおりですけど」

 「いえ、恋愛的な」

 ぶ――――ーっ!

 お茶を吹き出してしまいましたよ。

 「あら新鮮な反応」大家さんはほほえんでいます。

 「なにをいうんですか」

 「脈なしというわけでもなさそうですね」

 「勝手に話をすすめんといてください」

 「違うのですか?」

 「もう僕らもいい年ですからね……三百もすぎてれば……」

 「恋は死よりも強しというではないですか」

 「あれー? 大家さんってこんなキャラでしたっけ?」

 天才の思考は神のみぞ知る、ということでしょうか。似たもの似たものといわれつつも、この反応は……

 「で、どうなんですか?」

 「友達としてなら、まあ」

 「あら、進展ないのですね」

 「お互い三百越えてますからねー、若人のような熱情は遠くなりにけり、です」

 「でも、セリゼちゃんがですよ、あの血みどろの地獄を経てきた彼女がですよ、その姿をつぶさにみてきた月読さんは、それなりに思うところはないですか?」

 「……幸せになってほしいとは思いますね。そのための助力ならするつもりです」

 それを聞いて大家さんはほほえみました。

 「セリゼちゃんの反応を見ていればわかりますよ、月読さんが特別なひとだって」

 「……まあ、うぬぼれるのも、ときには悪くないでしょうか」

 僕はなんだか少々照れくさいですが、別に悪い気持ちはありません。

 「それで、恋愛感情があるように思えたのですが」

 「かいかぶりですよ。確かに僕とセリゼは、死線をくぐり抜けたり、お互いの人生の業を分けあった間柄です。……が、それと恋情とは別でしょう」

 「セリゼちゃんは、本当に月読さんを信頼していますからね」

 「もう百年以上のつきあいですからねー」僕は首をすくめます。「恋だのなんだの、といったことはありませんでしたね。親友ではありますが」

 それを聞いた大家さんは、ふと、穏やかなほほえみを浮かべました。

 「……さて、もう一回とばしますか」大家さんはプロポをもちます。「こんどはのんびりいきますか。大体機体の癖はつかみましたから」

 わくわくしているのがつぶさに見て取れます。

 「して、月読さん」

 「何ですか?」

 「セリゼちゃんが親友だというのなら、私はどうでしょう?」

 「今日の大家さんはキャラ崩壊著しいですね」

 すすっと寄ってくる大家さん。

 「別に私はセリゼちゃんやキギフィさんのような器量はないですが、どうです? このように攻めれられると」

 う――――ーむ、いつもの大家さんらしくない攻め方です。よほどヒコーキで楽しんで、気分がハイになっているのでしょう。

 するとセリゼ、その地獄耳で我々の会話を聞いていたらしく、

 「をい、年甲斐もなく燕狩りすんなオーバー40」

 とぼそっと我々に向かって声をかけてきました。

 すると大家さん、パチッ、と指をならします。

 瞬間、なにもない空間から、突如として機関銃がでてきました。そして次の瞬間、ズガガガガガ!とセリゼのほうに向かって一斉斉射!

 「だ――――ーっ! なにするんじゃ!」

 「聞き捨てならない文言がありましたから」

 「そもそも年甲斐もなく月読に迫るなや」

 ズガガガガガガ!

 「わーったわーった! ピンポイントでヘッドショットするのやめい!」

 うーん、大家さんもノリがいいですね。

 

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