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(7)【表】

 「なにを喧嘩してるんですかふたりとも」


 わたしは散文的な日常に戻ります。


 居間では貴族のセリゼちゃんと、美少女のキギフィさんが、朝っぱらからやりあっています。この二人にしては珍しく、それなりに早起きです。


 (ちなみに我が家の早起き度は、月読さん→私→キギフィさん=セリゼちゃん、です)


 「あ、フレア、おはよう」


 「おはようございます。で、セリゼちゃん、どうしたというのですか


 「この小娘が私に歯向かってきたのさ」


 「よく言うよ。自分が世界で一番強者だって言いだしたのはそっちでしょうが」


 キギフィさんが「やれやれ」的な面持ちで言います。その姿ですら美しいと思ってしまうのですから、こちらもやれやれです。


 「いつものことじゃないですか、セリゼちゃんの世迷言は」


 「何気にひどいねフレアも」


 ジト目も美しいキギフィさん。その瞳はそれだけでその趣味のひとには御褒美でしょう。


 「なんたるちあ……なんたるちあ!」


 「なんですかなんたるちあって」 


 セリゼちゃんがまたわけのわからない事を言っています。


 「私が世界最強なのは誰が見ても明らかだというのに……」


 「その発言は事実でしょうが、しかし形式としては世迷言なんですよ」


 「キギフィは言ったんだよ、真の強者はそういうふうに自分を無闇に誇らない、静かの中に、無数の強さと誇りを備えるのだ、って」


 「そっちが正論でしょう」


 「ていうか、ね」キギフィさんはげんなりした顔で言います。「その言葉、いつかセリゼが酒の席で懇々と私に説教した文言じゃないか」


 「……」


 私は無言のジト目でセリゼちゃんを見ます。


 あ、セリゼちゃん、目をそらしました。なんという。


 しばらく無言が続きます。


 「……」


 「……」


 「……」


 しかして、セリゼちゃんが口を開きます。


 「強いやつが正義なのだー!」


 「をい」


 「をい」


 二人して突っ込みます。なんか私のキャラが変わっているような気がしますが、気にしないでください。


 「大体あんたは年上を敬う気もちが足りない!」


 「っていうかセリゼ、前「年上アピールをしてくるやつはたいしたことない」って言ってたよね」


 「……」


 私は無言のジト目で以下略。


 「細かいことばっか覚えてんじゃないよ!」


 「ねえ、もう、いい加減死ねよ」


 「そこまでいう!」


 なんだかもうグダグダです。


 「せっかくいい気分で朝を迎えたのに……」


 私は嘆息します。


 「いい気分? ああ、フレア、あの模型出来たの?」


 キギフィさんが聞きます。


 「なるほど、それはいいことだ」


 あの暴虐魔人っぷりからは想像もつかないくらい鷹揚なセリゼちゃんです。


 「なんか今日はいい日和だよね。飛行機飛ばすには絶好なんじゃない?」


「そうなんですよ」


  にっこり。私は自然と笑みがこぼれます。


 「よーし、じゃあ今日はピクニックだ!」


 突然セリゼちゃんが言い出します。


 「といっても、私は飛行機飛ばすだけですから、皆さんは楽しくないと思いますけど」


 私が、うれしくもそういうと、


 「水臭いこというな。家族が楽しい、私も楽しい、そういうもんじゃないの?」


 「おお、セリゼ、今日はじめていいこと言った……」


 キギフィさんが驚いています。私も正直驚いています。


 「私はいつもいいことしか言わないいいこと魔人だっつーの」


 私とキギフィさん、その吸血鬼ジョークを黙殺します。


 「ところで月読さんは?」


 「散歩行ってるよ、もうすぐ帰ってくるんじゃないの?」


 そうキギフィさんが言った矢先、玄関のドアが開きました。そして月読さんが居間に入ってきます。


 「ただいまー……っと、皆さんおそろいで。どうしたんです?」


 「家族の親睦を深めているんだよ」


 キギフィさんがそういうと、セリゼちゃんはそれにかぶせてきます。


 「性的な意味でね」


 最悪です。キギフィさんも同じことを思ったらしく、


 「よし、このクソ貴族に引導渡したる。今日のピクニックは、私とセリゼの決闘でもある!」


 「かかってこいや小娘」


 「何でやる?」


 「決闘の本質は殺し合いだろが」


 最悪です。私は月読さんを見ます。彼(といって正しいのかはわかりません)は苦い顔をしています。


 「なにやってるんですか二人とも……」月読さんは言います。「ピクニックなら、スポーツくらいがいいんじゃないですか?」



 「「スポーツ……」」



 乱暴なふたりが揃って考えます。そしてキギフィさんが何か思いついたら

しく、


 「よし、セリゼ」


 うん、とうなずいていいます。


 「殺人野球だ!」

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