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模型専門用語が並んでいますが、フィーリングで掴んでください(おい
なんか楽しそうなマニア会話が伝わればいいなー、的な
確かにまあ、ツバサ模型は狭い店だ。
もっとも、このほうき星町に、広い店なんかありゃしないが。
俺は被っているニット帽を少し調整し(ハゲてないぞ、きちんと長髪だ)。頬を撫でながら(ヒゲ面だ)、相変わらずの顔なじみ、常連様、そして、天才モデラーと話をする。
店主「これだよ」
俺は店の「古式兵器、アンティークモデル」のあたりを指す。
一番上に、そのカノーネ……要するにカノン砲の原型なのだが、古き良き時代の手書きイラストに彩られた紙箱、それが鎮座している。
ロボット系の模型の箱よりも、やや大きい、ってとこか。
大き目のスケールのモンよりは小さいが。
フレア「よいしょ」
勝手知ったるような塩梅で、博士はその模型を抱え(いかにも不釣り合いだ。身体的にも、少女というミスマッチ的にも)、カウンターに来て、
フレア「とりあえず、置かせてもらっていいですか?」
店主「おまえさん、何回この店に来てんだよ。いつものことだろうが」
フレア「ありがとうです。でもその言い回し、相変わらずご主人は偏屈ですねぇ」
店主「模型屋の親父としては、褒め言葉だろうな」
フレア「違いありませんね。どうも、最近の模型屋は、気骨がなくなったというか、大量生産の申し子というか……クリーンすぎるんですよ」
店主「都市部の、新興の大型店舗のようなのか?」
フレア「否定はしませんよ、そのような在り方を。でも、私は古い世代なんでしょうね……店に入ったときの、溶剤の香りや、圧迫するような陳列を、どうしようもなく好ましく思ってしまうのです」
店主「溶剤の匂いを【香り】とかぬかしてるなよ」
フレア「何か間違ってますか?」
……ったく、この模型マニアはよう。
……くくっ。
店主「世のカーチャンどもには叱られるだろうが、クラフトマンとしては最大限同意しておこうか。他にも、ライブスチームを扱うときの、石炭や木炭の匂い……いや、香りなんか、最高だよな」
フレア「ですよね! ですよね! まったくそうですよ!」
この博士、ふつうはすっごい穏やかな少女/女性なんだが(この風体で40歳越えだし)、なんでこう、模型のこととなると、やたら熱くなんのかね?
……愚問か。
俺がそうなんだからな。




