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●ほうき星町へようこそ(1)

お久しぶりです。ほうき星町英雄譚、「現在のフレア家を中心としたほうき星町」の、はじまりのお話です。

要するにむかしばなし。


なお、文体は、これまでとガラっと変わっており、「普通」「一般文芸より」であります。

これは、この小説を書いたあと、今まで更新していた話を実験的に書いていったためであります。

よって、このころは、まだ、わたし、ふつうでしたw


……そんな、ふつうのおはなしです。

○一日目(ほうき星町到着・予定時刻きっちり)

 

 


古い友人から手紙が届いた。


 それを頼りに、剣崎月読(けんざきつくよみ)はこの北方の地まで来た。


友人の名はセリゼ・ユーイルトット。彼女は第十四代目ユーイルトット家当主。位は侯爵。種族は吸血鬼。それも、最強の吸血鬼――ただし、血は吸えない。


 あの少女と月読とはずいぶん長い付き合いである。


 世の中には偶然と必然というものがある。


 彼女と月読は偶然にも同い年である。三百十七歳。けれど、セリゼと月読の出会いは偶然とはとても言えない。


少なくとも、お互いが出会わなかったら、お互いの人生の諸相は相当異なっていたであろう。それを考えれば、この歳の一致も偶然ではないのかもしれない。


 ぼんやりと月読はセリゼのことを思う。渓谷を行く小型の蒸気機関車に揺られながら。線路は山々に張り付くようにして敷かれていて、眼下には清流が見える。そして谷の向こう側には、濃緑の山脈が広がる。隠棲の賢者の思想のように緑は濃く青々としている。都会近辺の山のような、電波塔もなければ、人為的に建てられた魔法施設もない。要するに軽便鉄道はどんどん山奥へと、田舎へと分け入っている。


 月読は席の隣に大きなリュックサックを置いている。小さな客車のボックス席。何とはなしにセリゼからの手紙を持ち出し、再び眺める。


 「意外だなぁ……」


 文面を見ながら、月読は、旧友がこのような和やかな手紙を書けるようになったことに今更ながら感じ入るのだった。


 そんな風に手紙を読んでいる月読の姿は、どこからどう見ても可憐な少女のそれにしか見えない。

服装は確かにユニセックス、長旅を共にしてきたしっかりとした靴。

ローブのようにだぼだぼとした白い上着には、腕の所に二本、胴に一本、黒い線が走っている。膝には白い肩掛け。

しかし何より折れそうなほど細い、背の低い身体。

透明な花瓶に活けられた水色の花を思わせるような、清冽で可愛らしい顔立ちだからこそ、月読は少女以外に見えないのである。



 が、月読は女性ではない。ならば男性なのか? それでもない。




 月読はどちらでもない。




 元は男だった。が、性転換をしたのではない。「そういう区別」を必要としない存在になってしまったのだ。この東洋系魔術師は。


 彼は――便宜上こう呼ぶ――クラスで言えば「仙人」と呼べるものである。それも、最上位の。東洋魔術において、「仙人」レベルにいけばそろそろ人外もいいところであるが、月読はそのさらに上を行っている。


 相当魔術に通じている者なら、月読を見ればその異形さに気づくであろう。普通程度に通じている者ならば、気づくことはない。膨大な魔力を自ら隠しているからだ。目立たぬように、ひっそりと、月読はその姿を隠している。


 それだけ可愛い姿なら、別の意味で隠すも何もないのだが、それは本当に別の話。



 ともかくも月読は手紙を読んでいる。


御感想いただけると喜びます。

とりわけ、この小説、これまでの回と文体違うので

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