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この一連のハナシはこの回でおわりですよ

黎明。


彼方の闇が、うっすらと明けていく。鳥によっては、もう飛び立つものもいる。


日の光の白まではとうてい及ばず、暁の赤さもまだ遠く、近いものといったら、そう、夜の終わりを告げる、ほのぼんやりとした、漆黒の残滓としての藍色、紫色。


まだぜんぜん薄暗いんですけどね。


時刻にして、午前五時くらいを迎えようとするところ。今は春なので、北国といえど、一応は普通に夜が明ける。これが冬だったら、七時くらいで「ようやく」なので、どんだけ、な話である。


彼女らの時間が終わる。夜の時間が。


とは言っても、彼女らも、もはや幸いなることかな、「一般人」の領域に足を踏み入れているので(笑ってはいけない)、これからがはじまりである。


それにしては、何だか一仕事終えたようなムードが漂っているけれど。


「しっかしまあ、このレッズ・エララ、この時代においても、まだまだ危険なんだね、そういった輩がうろちょろしてるくらいなんだし」


キギフィはそこらに散らばった残骸を見て、言う。もはや吸血鬼の残りかすもなく(それはセリゼの粉砕とともに、すべて灰になって消え失せた)、そこにあるのはただのジャンクである。


「それが、『血塗られた時代レッズ・エララ』なんだよ、今においてもね」


「やれやれ」


セリゼの返しに、キギフィ、嘆息する。


「ゴミ処理屋さん、呼ぶ? それともフレアが何かに使うかな?」


「後者に今日の昼飯を賭けてもいい」


セリゼ、そんなことを言いだす。


「お、言うねえ」


「それじゃ、私もそれに一口かませてもらおうかしら」


釣り人が唐突に、二人の間に、にゅっと顔を出して言いだした。


「あんた聞いてたんかい」


キギフィがびっくり半分、呆れ半分な声を出す。


「私も後者に今日のお昼を賭けてもいいわ」


「よーし、それじゃ私は……ってちょっと待ちぃ。あのマッドサイエンティストがこーいったジャンクを逃すはずがないじゃないか! 絶対魔改造するよ! 分かりきった賭けじゃないか!」


「逃げる?」


「GMP3のエースが、みっともないわね」


「よっしゃ前者にあんたらの昼飯おもっきしやったろうじゃん!」


安い挑発に乗った美少女。


「「「あははははは」」」


三人、笑みが重なる。


彼女らにとって、闇とは、己の住処であった。


けれども、そこは逃げだしたい住処であった。


それでも、長年の習性で、なんだかんだで今もそこにいると、心が安らぐとまではいかないまでも、「多少はしっくりくる」みたいな程度の、住処でもあった。


それでもこうして笑えるということ。


それがすべてではなかろうか。


すっ、と、冷たい光が、山あいから、顔を覗かせた。暁の予兆だ。これから、盛大に夜は明ける。光が満ち、空は緋色に包まれ、その後、太陽の光が世界を満たす。北方の朝は、そんな風に、静かではあるけども、何かの兆しと、希望がある。そう、夜の深さゆえに。


夜の住人の時間は、これでおしまい。

……というわけで、キギフィ&釣り人&バカ貴族の夜の話は終わりです。


次回からの更新を、どのエピソードにするか迷っています。

先日からはじめたご質問募集強化月間、ということで、

皆様からのリクエストなどあれば。


ストックであるのは、

1. 月読、ほうき星町に来たる的な昔ばなし

2. フレア一家(ようするに高台の家の、セリゼたち四人のことです)の湖畔でのピクニック

3. セリゼの一日、宇宙海賊ぶっ潰し編


こんな感じなのですが。

メッセージでも、近況報告でも、メールでも、お気軽にどうぞー

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