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(4)

別に悲しい趣味とかいうのではない。


あの家での生活を、この上ない幸せだと感じてもいる。


が、キギフィは、時々やたら早く起きては、こうやってビーチコーミングを行う。


それによって、心が凪いでいく自分がいるのを認識している。


きっとそれは、己自身を見つめ直すことなのだろう。


多分、セリゼも月読もフレアも、こうした独りの時間というものを持っている。それは家族の親愛の情とはまた別にあることだ。そうキギフィは思う。


何も、自分があの三人に比べて凡夫であるとか、そういったコンプレックスのはけ口であるとかいうつもりはない(それを言ったらキギフィ自身が余程の変わり者である)。


大体においてセリゼはいつも家でダラダラしてるか、町をフラフラしてるか。暇人である。ニートである。


が、まあ、それも許されるのではなかろうか。何しろ彼女は、吸血鬼なのに「血が吸えない」という異常性によって、吸血鬼界から排斥された(殺すレベルで)存在なのだから。


で、そういった彼女を殺めようとする者達を、彼女も排除するために、返り討ちする日々を送ってきた。それは、どう控えめに見ても、地獄の日々だろう。


結果どうなったか。


何もかもを返り討ちにし、蹂躙し、撲滅し、ついには彼女は吸血鬼界最強にまでなった。


栄光、血に濡れた栄光。


だがそれはもちろん、彼女の居場所がどこにもないということと同義であった。


すでにユーイルトット家は、財産こそあるものの、家系としてはズタズタである。残っているのはセリゼのみ。


キギフィはそれを知っている。深い付き合いになって、いつか、こんな静まった時間――多分夜――に、ひっそりと話されたことがある。


それくらい信頼されたことが、彼女にとっては嬉しかった。

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