(3)
「よく生きてるよね」
乾いた笑い。
それをある程度客観視出来る程度には、彼女もその現役から退いて。
「何だかいろいろあったような気がするけど……私もババアになったのかな?」
と呟いてみて、その言霊にorzのポーズをちょっととりたくなったが、それはさておき。自分のジジババ認識って、ある程度歳喰うと、結構くるぜ?(実体験)
ただ、それにしても、とても静かだ。静かな心持ちだ。
イーシィ湖の水面はたゆたい、静かに澄んでいる。それと同じくらい。
そう、この湖は、この町に住む者にとって、町の象徴というだけでなく、己自身のメタファーでもある。
ふいに、手や足をぶらぶらさせてみる。
そこに、自分の手足が繋がっていることにすら、不思議な心持ちを抱いてしまうのだから、自分もヤキが回ったか、と自嘲するキギフィであった。
「今までの私はなんだったっつの……はは、修羅か。うん、修羅だな。槍を振り回し、両の手で何丁もの銃を使い回し、駆け抜け、切り刻み刺し、……ああ、そういえば、あの戦闘用ゴーグル、マジで鬼の面だったじゃん……ま、後悔はしてないけどさ」
自嘲めいた口ぶりではあるが、そこに悲壮感はない。
もうそういったところは離れた、というか。自己憐憫もない。
あるのは、ただ「懐かしいな」という記憶だけ。
そのくらいには、彼女も、この町に、ほだされたのか。安らぐことが出来たのか。
少なくとも、夜明けの散策を楽しめる程度には――。




