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(2)

さくさくと砂地を歩く音が聞こえる。


波打ち際には、いくつものモノが流れ着いている。


主に、流木。


水に漬かりきって、ほとんど黒ずんでいるその木々は、しかし長い道程を歩んできたことを伺える、幹の、枝々の強靭さ、しなやかさ。


冬の枯れ木のような神経質さよりも、もっと生命力を感じさせ、それでいて、どこか孤独さも感じさせる。


キギフィはそんな漂流物を眺めるのが好きだった。


木だけではない。貝殻や、不思議な宝石や、機械のジャンクと魔法紅玉が複雑怪奇にスチームパンクに絡み合う――まあ一言で言えば美しいガラクタ。


そんな、世界から零れ落ちて、流れ着いてきたモノたち。


そこに意識があるのかは知らない。何が宿っているのかも知らない。


ただ、キギフィはそういった漂流物を構っていると、不思議に満たされ、ワクワクする心持になれるのだ。


専門用語で「ビーチコーミング」と呼ばれるらしい、この漂着物収集。


要するに水辺(主に浜辺とか)をうろついて、漂着したものをゲットする。ルールはただひとつ「早い者勝ち」。


まあ、早い者勝ちと言っても、このような奇特な趣味に人口の大半がかかずらうこともないから、コミケの争奪戦に比べれば、天と地、どころか北極星と地殻マントル、くらいの差がある。


穏やかである。波打ち際も、キギフィの心も。



普通、こんな夜更け/夜明けにおいては、ライトが無くては物を見つけることも困難なのだが、さすがに元特殊部隊のキギフィである。闇目が完全にきいていて、どんな小さな貝殻ひとつ見逃すこともない。


いつしかキギフィは、昔のことを思い出すようになっていた。


対テロ鎮圧の銃撃戦とか。


巨竜を屠る伝説の戦いとか。


暗殺者との一対一の対決とか。


単騎敵陣に乗り込み、首級を捕ってきたこととか。


それから……ずいぶん多く、生傷を負ってきたこととか。

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