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(6)

ともかく。


それにしたって、日中からごろごろして、暇だ暇だとほざいているのは、一生活者としてどうかと思うが、


「ぐうぐうすやすや」


彼女の左側で、こたつ布団に包まって惰眠をむさぼっている、一見して、少女にしか見えようがない、黒髪ショートの、裾が切り詰められたローブのような白い上っ張りを着ている存在。


彼女の旧友であり、仙人。東洋系魔術師最高位。剣崎月読である。この家の居候第三号。


春眠暁を覚えず。


この仙人も大概暇を持て余していて、まあそれでもセリゼのようなニート貴族とは違って、それなりに仕事意識も持っているのだが、基本的に、このように怠惰と惰眠を愛するようになってしまった。この家に住んでいるうちに。


何と言うか、こたつの魔力というか、こたつには人間の闘争本能をかき消す効果が科学的に実証されているのではないだろうか、ああ、東洋が生んだ偉大なる座卓よ、汝は人を愛し、人を育み、癒す、その様、まるで慈母のよう――と、こたつ賛歌を謳いあげたところで、果たして、この家の人間は、大体において同意してくれるだろう。


月読の対角線上に居るのは、この家の家主。大家。一番エライ人。龍・K・フレアである。


世紀の天才工学者の名をほしいままにし、人類の科学レベルを数メモリ上げた……外見少女である。白衣。


月読と同じような、ショートカットにした髪は茶色。さりとてセリゼほど色素が薄いわけでもなく、モンゴロイドが脱色したわけでもない、いたって自然な髪色である。


だがその髪は生体のそれではない。バイオテクノロジーを駆使して作られた人工毛である。


髪ばかりではない。彼女の身体の大半は、機械の身体に換装されている。つまりは彼女はサイボーグ。「俺の彼女はサイボーグ」みたいなエロゲがあったら売れるだろうか。もちろんヒロインの属性は素直クール(クーデレ)である。何の話をしているのだろうか。


が、フレアの性格はクーデレのそれではなく、


「まあセリゼちゃん、お茶でもいかがです?」


「あ、こりゃありがたい。ちょうど怖いころあいだと思ってたんだ」


「落語知らなきゃわからない表現ですね」


「え、饅頭怖い、熱いお茶が一杯怖い、って常識じゃないの?」


「多分私の年代が最後だと思いますよ、どうですか、キギフィさん?」


「そうだね、私のようなナウでヤングな連中にバカ受けするってことはないだろうね」


「それ自体がすでに死語だっちゅーに」

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