(5)
わたしは「ほうき星町」という町を――この世のエアポケットのようにして存在している、とても静かな町のことを語ろうと思う。
そこに住まう人――この場合の「ひと」とは、「意志=知性あるモノすべて」を指す――彼彼女、それから性別のないひとたちの、淡い悲しみと、あるいはやっと掴んだささやかな幸せを。
ていうか。
なんかマジなトーンになってしまったが、ぶっちゃけた話、この連作短編は畢竟お気楽ゆかいなスラップスティックコメディなのであって、それ以上でもそれ以下でもナイ。
どうか読者諸氏にあたっては、のんきに読んでいただければ幸いである(だったらあんな語り口でスタートするなや)。
だが――悪い癖だ、ここでまた反転する――この「レッズ・エララ」と呼ばれる世界、「血塗られた時代」の意味を持つ世界、その世界は、ユートピアではないということを、はじめに断っておきたかったのだ。
ほうき星町が存在する意味はそこにある。
レッズ・エララにおいても、あるいはわたしたちが住む現実世界においても、娑婆苦は所詮娑婆苦であって、「世界が苛んでいく」感は、そうも変わりはない、というのが、ここで提示するテーゼだ。
絶望的である。
が、少なくとも、彼らは、ほうき星町に、ある種の――何か、何か、何か……それは何であろう? 癒し? 赦し? それとも?
そういった諸々を、彼らは、求めた。
甘えと言えば言え。
人生の地獄に疲れた彼らにあっては……




