episode6 高揚
朝、アラーム音で目が覚めた。休みの日はアラームをかけずに眠りたいだけ眠ることにしているけど、今日は怜さんが来る。気合いを入れようと朝8時にアラームをかけた。しばらくスマートフォンを触ったあと重たい体を起こして準備をする。メイクも時間をかけて、家の中とはいえ怜さんに会うのだからと服も決める。準備が終わってリビングに行くとお母さんが目を見開いて私を見る。
「おはよう。こんな早くに珍しいじゃん。どっか行くの?」
「…今日この前話した怜さんが来る」
「え?」
「お母さんに私と付き合っていいか許可を取りたいんだって」
私の話にお母さんの顔がみるみる険しくなっていく。
「何時に来るの?」
「昼頃って言ってた」
「…じゃあ、片付け手伝って」
あまり機嫌は良くなさそうだけど怜さんには会ってくれるらしい。お母さんと一緒にリビングの片付けをする。
「怜さんって人は26歳なんだっけ」
「うん」
「泊まったとき、何かされたとかそんなことは無かった?」
「無いよ。何も無い」
そう返事すると、それ以降は特に何か聞いてくることもなく黙々と片付けを始めるお母さん。もし怜さんとのお付き合いを許してもらえなかったらどうしよう。面談を目の前にしてそんな不安が募るばかりだった。
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片付けが終わり、部屋でくつろいでいると怜さんから通知が届く。
”もう着く”
「お母さん!もう着くって!」
大声でお母さんに伝えながらドタドタとリビングに行くと、お母さんも少し緊張した面持ちで立ち上がる。2人で玄関前で待機していればインターホンが鳴った。お母さんの顔を1度見てからドアを開けると2人揃って出迎えられると思っていなかったのか、怜さんがギョッとする。そして慌てて深くお辞儀をした。
「初めまして。瀬戸川 怜です。今日は突然お尋ねしてしまい申し訳ありません」
「いや、全然。上がってください」
緊張しているからか、お母さんが少し声を上げてそう言うと怜さんは失礼しますと家に上がった。
椅子に向かい合って座ると改めて挨拶をする。
「改めまして、初めまして。瀬戸川怜と言います」
「初めまして、茜の母です。かしこまったりするの好きじゃないからもっと楽にしていいよ」
お母さんがそう言って笑うと怜さんも少し肩の力を落として出していたコーヒーを頂きます、と1口飲んだ。
「早速だけど、警察官なんだよね?」
「はい」
「茜とはどういう経緯で知り合ったの?」
「補導時間帯に見かけて声をかけたのがきっかけです」
「26歳なんでしょ?茜は17歳だし…。もっといい人がいるんじゃないかと思うんだけど」
「…自分でも大人として非常識なことをしていると思っているんですが…それでも僕は茜さんのことが本気で好きになりました」
怜さんがお母さんの目を真っ直ぐに見てそういう姿にドキドキする。
「怜さんのご両親は知ってるの?」
「はい。前日に話して承諾を受けました」
「職場は大丈夫なのかな?」
「夜勤なので今日伝えようかと」
「…そっか」
顔を下に向け考え込むお母さん。
「…この子が何を言っても聞かないのは分かってるし、お互いに好きだと思える人に出会えたことに年齢は関係ないと思う。茜からも少しは話を聞いているし」
お母さんを見る。
「いいんじゃないかな」
そう言って笑ったお母さんに私は目を輝かせる。怜さんも安心したように肩の力が抜けたようだった。
「でも、一応妊娠とかには気を付けてもらえると…するのは全然いいんだけどね!?」
「ちょっとお母さん!」
「いやそんな…当然です」
珍しく怜さんが焦っていて笑いがこぼれる。それから少し雑談をしたあとに仕事があるからと帰る怜さんを見送った。
「ありがとう、お母さん」
「怜さんなら大丈夫そうね」
そうお母さんは優しく微笑み、リビングに戻った。
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「進展早くね?」
夕方、みんなで諒の家に集まったので今日の結果を報告した。
「諒知らないの?2、3ヶ月以内が成功率高いんだよ」
「なんでお前は知ってんだよ」
優のうんちくに春翔がツッコむ。
「でも、まさかあの怜さんがこんな短期間で人を好きになるなんて思わなかったよね」
優の言葉に春翔も諒も頷く。前に優も言ってはいたけど、怜さんは短期間での恋愛をするタイプには見えない。当事者である私もこんなに展開が早いことに驚いている。
「でもまあ、よかったんじゃない。これで振られたとか言って泣くこともないでしょ」
珍しく諒が素直に祝福してくれていると思ったら相変わらずの皮肉を交える。
「そういえば、泣いて家来たって言ってたね」
優が楽しそうに笑いながら言う。
「馬鹿にしないでよ。私は傷付いてたんだから」
私が拗ねると春翔が慰めるように私の肩に手を置いた。
「あれはお前が悪い」
どうやらこいつも慰めるつもりではなかったらしい。
「は!?今慰めるような雰囲気だったじゃん!」
「俺が小羽以外にそんな優しいことするわけないだろ?な?小羽」
「どうでもいいけどそこのミルクティー取ってくれない?」
「どうでもいい…?」
小羽の塩対応に傷付いている春翔を横目に小羽にミルクティーを渡す。ざまあみろ。
「あーあ。茜は俺のこと好きだと思ったんだけどなー」
「もちろんだよ!優のこと大好きだよ?」
「なんで怜さんの方に行っちゃうの?」
「うっ…辞めて…そんなうるうるした瞳で見つめないで…心臓が持たないっ…」
「お前優の限界オタク過ぎるだろ」
私と優の茶番を見て春翔が鼻で笑う。
「こんなオタクいられたくないんだけど」
「嫉妬?安心しなよ。諒には限界オタクなんて発動しないから」
「されたくないって言ってんだよ」
「あんたって奴はつくづく可愛くないわね」
「可愛いとか思われたところでなんだけど」
「諒。たまには可愛くなりなよ。俺も最近お前の生意気さには呆れてるんだよ」
「優が呆れるなんて春翔以外あんただけだよ」
「小羽、俺の名前出しちゃ駄目。俺呆れられてないから」
「何言ってんだよ。お前は1番可愛くない」
「は!?」
みんなで騒いでいると着信音が鳴り響く。私の手元にあるスマートフォンが振動と共に音を奏でていた。スマートフォンを取り、画面を見ると怜さんからだった。
「怜さんからだ!みんな静かにして!」
「する必要ないだろ」
文句を言っている春翔を睨みながら急いで電話に出る。
「もしもし!」
「もしもし。今日はありがとうな」
「こちらこそありがとうございました」
話していると春翔が私からスマートフォンを取り上げ、スピーカーにする。「ちょっと!」と小声で怒っていると怜さんが喋りだす。
「今日家来るか?」
「え!」
私の声と共にみんなが一斉に音を立てて驚く。まるで中学生だ。
「…誰かいんのか?」
「あ、今みんなと遊んでて…」
「あー。じゃあ、今日は無理そうだな」
「いや、無理じゃないです!行きます!行かせてください!いくら払ったらいいですか!?」
「何言ってんだお前」
私の発言と怜さんの冷静なツッコミにみんなが吹き出す。
「まあ、仕事終わったら連絡するわ」
「分かりました!お仕事頑張ってください」
「ん、ありがとう。じゃあ後でな」
電話が切れた瞬間みんな大笑いする。
「何が面白いわけ?」
「いや、だってお前めっちゃ猫かぶってるし、いくら払ったらいいですか?とか…」
「無理、お腹痛い」
「笑いすぎなんだけど。猫はかぶってるけど」
「俺たちといるときの茜見たらどんな反応するか見てみたいわ」
こいつらはどこまで最低なんだろう。友達だと思えなくなりそうだ。
「もういいし。お前ら疲れるわ。黙ればいいのに」
「あー、ほら怒っちゃったじゃん。みんないい加減にして?」
小羽が私の機嫌の悪さに気付いてすぐ止めに入る。
「茜は時々銅メンタルから豆腐メンタルになるんだから気を付けないと。繊細だよ?」
「ややこしいからどっちかにしてほしいんですけど」
「最近みんな私に当たり強いよね」
「そんなことないよ?俺は茜大好きだもん」
「こいつに騙されるな。こんなこと言う奴が1番何思ってるか分からん」
「俺はそこら辺のクズとは違うよ」
「優ってなんだかんだクズそうだけどね」
「小羽。今俺凄い傷付いたよ」
「優はクズでもいい!」
「とんでもない発言してるぞ」
いつまで経っても尽きないどうでもいい会話はその後も続いた。
数時間後、眠気がきた頃だった。再び着信音が鳴った。
「もしもし。終わったけど今どこ?」
「お疲れ様です。諒の家にいます」
「あー、コンビニの近くだったよな?」
「はい!」
「じゃあ、コンビニで待っとく」
「分かりました!すぐ行きますね」
そう言って電話を切る。みんながお疲れー、頑張れーと声をかけてくる。私は手を振って諒の家を出た。
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コンビニに着くと見覚えのある車が駐車場に止まっていた。数回ノックしてからドアを開ける。
「お疲れ様です」
「お疲れ。なんか買うか?」
「私は大丈夫です!」
「ん。なら乗れ」
そう言われて車に乗る。シートベルトをして横を見ると怜さんが車を出していた。運転している姿がかっこよくてつい見惚れる。
「そんな見るな。運転しずらい」
「あ、すみません。写真撮っていいですか?」
「は?」
「お願いします」
「いい、撮るな」
「分かりました」
スマートフォンを取り出し写真を撮る。
「おい。撮るなって言っただろ」
「なんのことか分かりません」
「お前…」
隣で呆れたような顔をする怜さん。どの表情もかっこよくてずっとカメラを向けていたくなる。
「なんでそんなにかっこいいんですか?」
「かっこよくない」
「かっこいいです。私の中では人類史上1番です」
「そりゃあどうも」
「全然信じてなさそうですね」
「信じてねぇからな」
「酷いなあ。あ、家に寄ってもいいですか?荷物取りたくて」
「いいよ」
1度家に立ち寄って必要な荷物を準備する。明日着る服とメイク道具、もしかしたら使うかもしれないヘアアイロン。あとは細かい物を持ち車に戻った。
駐車場に着いたら車から降り、2人で歩く玄関までの道のり。いざ家のドアが開けられれば緊張で口から心臓が飛び出そうなほどだった。家の中に入ると相変わらず整理整頓されている部屋が見渡せる。
「私の部屋より綺麗なんですけど」
「お前はあっちこっちに物置きそうだな」
「失礼ですよ?間違ってないけど…」
「間違ってないのかよ」
そう言いながら笑う怜さん。
「風呂入った?」
「家で入ってきました」
「じゃあ、俺入ってくるからテキトーに過ごしてて」
「はーい。あ、怜さんお腹空いてます?」
「まあまあ」
「分かりました」
怜さんが浴室に行ったあとにキッチンに行って冷蔵庫の中身を確認する。そこまでお腹は空いてなさそうだったけど、仕事終わりだから少しは胃の中に何か入れたほうがいい。お米は炊飯器の中に少しあったから豚肉があるし丼にでもしたらいいだろう。本当は手作りしたいけどお風呂もそんなに長くないだろうからインスタント味噌汁を用意した。準備が終わると少しして怜さんがお風呂から出てきた。濡れた髪をタオルで拭きながら来るからかっこよくて少し視線を逸らす。
「なんか美味しそうな匂いする」
「豚丼作りました!何か食べた方がいいと思って」
「ありがとな」
お礼を言われただけなのに嬉しくなる。ご飯を装い、ポットのお湯をインスタント味噌汁に注ぐとテーブルに並べた。
「どうぞ。美味しいかは分からないけど」
手を合わせると首にタオルを下げたままの怜さんが口にご飯を運ぶ。
「美味い」
胸を撫で下ろし、食べている怜さんを眺める。
「…なんかカップルみたい」
「は?そうだろ」
「まだ実感が湧いてないから…」
「お前は食べなくていいのか」
「はい。私はみんなで食べたから」
「お前らいつも一緒だな」
「いない時間の方が短いと思います」
「何をそんなに話すんだよ」
「んー、なんだろう。くだらない事ばっかりだけど、1日1回は人生の話しますよ」
「ガキんちょのくせにませてんな」
「失礼ですよ。私たちだってもう大人と大して変わりません」
私がそう言うと怜さんが顔をしかめる。どうやら彼には大人とは思えないらしい。怜さんからは26歳とは思えないほどどこか貫禄を感じるから仕方ないかもしれない。
「今日は一緒にベッドで寝ますよね?」
「俺ソファーでいいけど」
「付き合ったのに!?」
「お前寝相悪いんだよ」
「え、この前何かありました?」
「寝返りがてらに俺のお腹に強烈な膝落とししてきた」
なんということだろう。
「ええ!?すみません!わざとじゃないです!」
「おまけに腕は俺の顔面に乗せてくるし」
安らかに眠ってる間にとんでもなく恐ろしい失態を起こしていたなんて。
「本っ当にすみません…私がソファーで寝ます…」
「落ちるぞ」
「怜さんに知らず知らずのうちに暴力振るうより全然いいです…」
「俺は別にいいけど」
「どこがですか。寝てるときにそんなの最悪じゃないですか」
「泊まりに来てんだから一緒に寝た方がいいだろ」
「…怜さんって実は結構イチャイチャしたい派なんですか?」
「分かった。お前は玄関で寝ろ」
「冗談です。一緒に寝てください」
夕飯を食べ終わった怜さんが席を立ち、お皿を片付ける。
「あ、私洗いましょうか?」
「いいよ。作ってもらったし」
「私こう見えて家事好きなんですよ。怜さんはお仕事で疲れてるだろうし休んでてください」
「じゃあ、俺が洗ったやつ拭いてけ」
「分かりました!」
怜さんから渡されたタオルを持ち、怜さんの隣に立つ。
「うぅ…」
「なんだよ」
「最高に幸せで死にそうです…」
「は?」
「怜さんは自分がどれだけかっこいいか分かってませんよね?」
「俺は別にかっこよくない」
「蹴り飛ばしますよ」
「おお、本性現してきたか」
「そうじゃない!怜さんは本っ当にかっこいいんです!」
「分かったから静かにしろ。今何時だと思ってる」
そう言われて思い出す。そういえば今は夜中の4時だ。
「すみません。でも、怜さん絶対モテましたよね…」
「どうだろうな」
「モテてますよね、その返しは。告白は何回されたことありますか?」
「…何回だろうな」
「絶対多いじゃん…キャーキャー騒がれてましたか?」
「ヒソヒソされてた」
「怜さんやんちゃしてました?」
「…まあ、そうかもな」
「怖がられてたんですね、じゃあ」
「あ?怖がられてねぇ」
「ほら。怜さんも本性出てる」
洗い物が終わった怜さんが私が拭き終わった食器を棚に直していく。
「歯磨きするぞ」
「はーい」
「何ニヤニヤしてんだよ」
そう言われて洗面台の鏡に目をやる。
「うわ、きもっ」
「自分で言うかよ」
「幸せだなーって思ってたらこの顔してました」
そう言うといつものようにふっと鼻で笑う。
歯磨きが終わり寝室に行くと怜さんがベランダに出る。
「煙草ですか?」
「ん」
慣れた手つきで四角い箱から紙タバコを1本咥えて取り出す。ライターで火をつけるとそこは赤く灯り、煙を風に乗せた。
「セブンスター吸ってるんだ」
「部屋戻れって。前も噎せてただろ」
「私煙草嫌いです」
「だったら尚更戻れ」
「でも、煙草を吸ってる怜さんを見るのは好きです」
「なんだそれ」
綺麗な唇から煙を吐き出す横顔を見つめる。
ひっつきたい。そう思ったと同時に私の体は怜さんの元へと引き寄せられた。
「なんだ」
「ひっつきたかったから」
「甘えん坊か」
「うん。めっちゃ甘えたがり」
「ほんと素直な奴だな」
「元々素直じゃないんですよ?怜さんの前だけ不思議と素直になれるだけで」
「信じられねぇな」
「本当なんですって!」
私は自分が素直に気持ちを表現していると気持ち悪く思ってしまうほど素直な人間じゃない。なんせプライドは山のように高く、強い女性に憧れているものだから他人に甘えるなんてみっともないとさえ思ってしまう。甘えたい願望が無かったわけじゃないけど、無駄なプライドと恥ずかしさのせいか甘えることができた試しは今までない。もちろん過去にいた彼氏にもだ。それなのにも関わらず怜さんにはなんの躊躇もなく甘えてしまうんだから自分でも訳が分からない。
「写真撮っていいですか?」
「嫌だ」
「分かりました」
手に持っていたスマートフォンの画面を開き、カメラで煙草を吸っている横顔を撮る。
「お前は日本語知らないのかよ」
「知ってますよ」
「聞かねぇなら確認するなよ」
「めっちゃかっこよく撮れましたよ?煙も写ってるし」
「あっそ」
そう言って呆れたように首を傾げ、また煙草を吸う。
「ていうか、寒くないですか?」
「中入っとけよ。風邪引くぞ」
「そしたら怜さんが看病してくれますか?」
「嫌だ」
「なんで!」
もう一口吸うと煙草を灰皿に押し付けた。
「まだ半分もあったのにいいんですか?」
「俺が行かないと行かないだろ」
「…好き」
「ニヤニヤすんな。気持ち悪い」
酷い言葉を投げかけながら部屋に戻ってベッドに寝転ぶ怜さんの横に私も寝転んだ。
「もっと寄れ。狭い」
「ひっつき虫です!」
「うるせぇ。声でけぇ」
私を軽く押して隅に寄せながら怜さんも少し寄ってくれる。なんだかんだ私のわがままに付き合ってくれてるみたいだ。
「電気消すぞ」
そう一言言うと怜さんがリモコンで電気を消す。
「真っ暗にしてください。私寝れないです」
怜さんが部屋を真っ暗にすると途端に何も見えなくなってしまった。
「私怜さんの家に住みついていいですか?」
「駄目に決まってるだろ。お母さんに怒られるぞ」
「お母さんがいいって言ったらいいですか?」
「…考えとく」
これは多分許してくれるパターンだ。
「寝るぞ」
「もう少し話しましょうよ」
「眠いんだよ。起きたときでいいだろ」
「はーい…」
大人しくそう言うと怜さんが私に背を向けた。その背中に抱きついてみるけど特になんの反応も返ってこない。そのまま背中に顔を埋めて目を瞑れば、大好きな怜さんの匂いでいっぱいになって幸せな気持ちになる。安心して眠気が襲ってきたタイミングで怜さんが腕を回している私の手を握ってくれた。私よりずっと大きくて、男の人なんだなと実感する。
温かくて大きいその手を握り返し、私たちは眠りに落ちた。
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