episode3 進展
翌朝、目が覚めた私は一瞬状況が把握できず焦った。
「そっか…泊めてもらったんだ…」
隣には眠ったときと同様誰もいなくて、寝室を出てみても怜さんの姿は見えずシーンとしていた。まだ帰ってきていないのかな。水をもらおうとキッチンに行く途中でソファに寝転がっている怜さんを見つける。気を遣ってソファーで寝てくれたんだろう。本来私がここで寝るべきなのに…と申し訳なく思う。寝室にあったタオルケットを持ってきて怜さんにかける。寝顔が綺麗でつい見惚れてしまう。しばらく見惚れていると怜さんと目が合った。無言で見つめられ、数秒後やっと理解が追いつく。
「起きてる!?」
「朝からうるせぇな…」
少し掠れた低い声でそう言う。
「顔になんか付いてた?」
「いや!全く!とても綺麗です!」
「あっそ」
急いで怜さんから距離をとると怜さんが起き上がる。
「ソファで寝かせちゃってすみません…」
「別にいい。お前はちゃんと寝れたの?」
「はい!おかげさまで!」
「飯は」
「食べたいです!」
「じゃあ、座って待っとけ」
まさか作ってくれるのか。リビングの椅子に座ってキッチンに立っている怜さんを見ていると手馴れた様子で準備を始める。きっと普段から料理をしてるんだろうな。しばらくすれば美味しそうな料理がテーブルに並んだ。いただきますと静かに手を合わせ、並んだ食事に手を付ける。
「美味しい!」
「そりゃあ、よかった」
ふっと鼻で笑う怜さん。肘をついてこちらを見てくるから恥ずかしくて食べにくい。
「料理得意なんですね」
「別に得意じゃない」
「いや、凄いですよ。本当に美味しいです」
「どうも」
「怜さんは食べないんですか?」
「寝起きだから後で」
こんな美味しいご飯冷めちゃったら勿体ないのに。
「あ。あの…彼女さんとかって…」
「いないけど」
「いないのか」
「いたら泊めてないだろ」
「確かに。お家も片付いてるし、いい匂いするし、いるのかと思って」
「お前今日学校とかないの」
「私定時制だから」
「春翔たちと同じか」
「はい」
「バイトは?」
「今日は休みです」
「ふーん」
やっぱり私はガキんちょなのか。全く相手にされていない気がする。私だって年頃の女だぞ!と言ってやりたい。
「怜さんおいくつですか?」
「26」
「えっ。見えない」
「もっと老けて見えるか?」
「いや、22か3くらいだと…」
「どうも」
「そりゃあ私ガキんちょか…」
「あ?当たり前だよ」
本当にストレートな人だ。今まで何人の心に傷を負わせてきたんだろう。
「怜さん連絡先教えてください」
「は?なんで」
「知りたいから」
「だからなんで」
「なんでって言われても…」
あなたが好きだからですと素直に言えば教えてくれるかな。それともやっぱりガキんちょには教えてくれないかな。
「スマホは」
「あ、」
スマートフォンを取り出すとLINEのQRを出せと言われて、出して渡せば彼がLINEのQRコードを読み取ってくれた。
「え、ありがとうございます!」
まさか交換してくれるなんて。私がスマートフォンを見つめてニヤニヤしていると気持ち悪いぞなんて言ってくる。オブラートに包むという言葉を知らないのだろう。
「あ、この服洗濯して返しますね。いつになるかは分からないけど…」
「別にいい。自分で洗う」
「いや、ここは1つの礼儀として」
「じゃあ、貰え」
「え、いいんですか?…違う。そうじゃなくて駄目です!」
「なんなんだ、お前」
「つい心の声が漏れただけです」
「よく分かんねぇな。まあ、いいや。置いてけ」
そう言って怜さんは鼻で笑った。
それから私は準備を整えて午前11時過ぎに怜さんの家を出た。昨夜や今朝のことを思い出しニヤニヤしてしまう。次はいつ怜さんに会えるかな。ついさっきまで会っていたのにもう会いたくなってしまった。本当に彼に恋をしてしまったかもしれない。とはいえ彼は社会人で私はまだ未成年。何より彼は警察官。叶うはずのない恋だってことは考えなくても分かる。ちゃんと自覚していないと怜さんのことをどんどん好きになってしまいそうだ。でも、好きなんて感情を操ることなんて不可能だし…。どうしたものかと考えながら軽い足取りで家に向かった。
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一週間が経ち、いつも通りみんなで諒の家でまったりしていたときだった。
「怜さんとはあの後どうなったの?」
小羽がいきなりそんなことを聞いてきた。小羽にはこの前の出来事を話していたからその後が気になるようだった。
「何もないよ」
「連絡してないの?」
「うん。泊めてもらったお礼は言ったけど」
「せっかく連絡先持ってるのに勿体ない。何か送りなよ」
「何も送ることないもん。第一、怜さん社会人だし…」
「年齢関係ないだろ」
どこから聞いていたのか、春翔が横から口を挟む。
「親に怜さんのこと言えばいいんじゃね?親が許してくれたら恋愛しやすいだろ」
「猛反対食らうに決まってるじゃん。怜さんと知り合ったばっかでどんな人かもよく分かってないのに」
「茜にしては弱気じゃない?いつもなんとかなる精神なのに」
優も聞いてたんだ。別にそんな精神だった覚えはないけど。
「怜さんって不器用だし無愛想だしで取っ付きにくいけど、実は優しいし愛情深い人だよ。家に泊めてもらったなら可能性はあるよ」
なんで家に泊めてもらったことを知っているのかと疑問を抱けば、目の前で小羽がごめんと言いたげな顔で見てきたから犯人が小羽であることが分かった。
「行くあてがなかったから泊めてもらえたんだよ」
「怜さんがそれだけの理由で家に上げるはずないよ。仕事人間だし。茜に何かしらの好印象持ったんじゃない?」
「でも、怜さん私のことガキんちょって言ってたし全く相手にしてなかった」
「だって、お前ガキじゃん」
春翔の言葉に横から吹き出したような笑い声が聞こえてくる。聞いてないふりをして諒もしっかり聞いていたみたいだ。
「怜さんに好きなタイプ聞けば?」
私が馬鹿にしてきた諒を睨んでいると小羽が提案してくる。
「好きってバレるじゃん」
「茜のことだからどうせすぐバレるでしょ」
「焦らない方がいいんじゃない?怜さんは短期間で進むような恋愛はしないと思うし。長期戦だよ」
「時が来るまで待てってことだな」
昔から知っている春翔と優が言うならその通りなのかもしれない。私から見てもあまりすぐには進まない気がする。ここは次のチャンスを願うしかないようだ。
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それからまた1週間。特に変わり映えのない日々を送っていたある夜。春翔たちと遊び終わって家に帰りまったりしていたときだった。外から水の弾かれるような音が聞こえてベランダを開けてみると雨が降っていた。風はないが迫力のある雨。もしかしたら怜さんに会えるんじゃ…。心の中で淡い期待が芽生え、確信もないというのに私は外に出た。こんな大雨の中外を歩いている人は見かけなかった。波はそこまで荒れていなくて、空から降ってくる雨水を受け止めている。辺りを見渡すがいるはずがない。帰るか迷ったけどもう少しだけと粘り、私はただ流れる海を見ていた。10分程経っただろうか。流石の私も諦めて帰ろうとしたときだった。
「やっぱりお前か」
横から声がし、振り向けば怜さんが立っていた。
「怜さん!」
「雨降ってるときに来んな」
「海見に来たんですか?」
「うん。期待外れだったけど」
「荒れてないですもんね」
「お前も見に来たのか」
「…私は怜さんに会いに来ました」
反射的にはいと言いそうになったのをグッと堪え、勇気を出してそう言うと何言ってんだと冗談だと思われてしまった。
「本当ですよ。会えるかもと思って」
「なんか用か?」
「…会いたかっただけです」
「…俺は遊び道具にならないぞ」
「酷いですね。そんなことしませんよ」
「雨凄いから帰れ」
「怜さんのお家に帰ります」
「なんでだよ。自分家に帰れ」
怜さんがそう言いながら笑う。いつも鼻で笑うからちゃんと笑うのは新鮮で可愛い。
「怜さんの家がいいです」
「懐きやすい奴だな。まだ会って3回目だぞ」
「怜さん親しみやすいから」
「面倒な奴が1人増えたな」
ボソッとそんな言葉を吐く。きっと他は春翔たちのことだろう。
「今日はもう帰れ。雨も強くなってきてるし、俺ももう行くから」
怜さんが帰ってしまうなら私もここにいる必要はない。少し会って話せただけで十分だ。あと少しだけ、とわがままを言って5分程会話をしたあとすぐに家に戻った。
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3日後、みんなと解散して家に帰っている途中若い男の人に声をかけられた。
「一緒に遊ばない?」
そう言って顔を近付けてきた時煙草とお酒の臭いが鼻につく。きっと外飲みした酔っ払いだ。無視して通り過ぎようとしたけど腕を掴まれて阻止された。気持ち悪さを覚え、腕を解こうと試してみるが、やっぱり男性の力なだけすぐには解けない。
「離してもらっていいですか?」
「少しだけだって」
しつこい男に怒りが湧き始めて乱暴に腕を振っても解けないので手を出しそうになっていたそのとき、1台の車が近くで止まった。助けてくれないかと視線を向ければこちらに人影が歩いてくるのが見える。助けてくれるだろうと安堵して、腕を離すように再度男に求めていると背後から「おい、離せ」という声が聞こえた。柄の悪さや声の低さから期待して後ろを振り返るとやっぱりその人は期待通りの人だった。
「いい歳した大人がこんなことするな」
呆れたようにそう言う怜さん。男が言い返そうとしたけど仕事着が目に入ったのか、ブツブツ小言を言いながら面倒くさそうな顔でそのまま帰っていった。
「ありがとうございます」
「パトロールしてたら怪しい奴いたから見たらお前じゃねぇか」
「私は怪しくないです!」
「お前殴ろうとしてただろ」
「…ビンタの間違いです」
「手出すつもりだったんじゃねぇか。大人の男相手に強気な奴だな」
「か弱い乙女です」
「か弱かったら殴る思考に至らねぇよ」
怜さんが車に向かって歩き出すので私も着いていく。
「家は近いのか」
「はい。すぐそこです」
「気を付けて帰れよ」
「怜さんの家に行きたいです」
「仕事があるんだよ」
「終わったら!」
「3時だぞ」
「あと3時間後ですね…余裕です」
「何が余裕なんだよ。寝とけ」
「明日バイト休みだからまだ寝ません!」
こいつアホなのかとでも言いたげな顔で私を見下ろしてくる。
「お仕事終わったら連絡ください」
「はいはい、おやすみ」
そう言って運転席に乗りこむ怜さん。
「気を付けろよ」
窓を開けそう言って、車を発進させた。全く相手にされなかったことにショックを受けながら家に帰る。お風呂に入り、ベッドでダラつきながらスマートフォンを見ていると少しずつ睡魔に襲われる。きっと怜さんからの連絡はないだろうし…。スマートフォンを持ったまま目を閉じ、夢の中に入りそうだったときにスマートフォンの振動と通知音で現実に引き戻された。眠たい目で通知を見ると、
"終わったけど"
ときている。少しなんの事か考え、まさかと思い名前を見れば怜さんからだった。気付いたらこんな時間になってたんだ。頑張って起きていてよかった。
"すぐ準備します!"
"お前ん家どこ"
場所を伝えると急いで必要な荷物だけを準備する。家を出ると1台見慣れない車が止まっていた。少し覗き込むように見てみれば怜さんもこちらに気付き、助手席のドアを開けてくれる。失礼しますと言いながら車に乗り込んだ。
「本当に連絡してくれたんですね!」
「今度からしない」
「してくださいよ!毎日でも行きます」
「毎日来ようとすんな」
しばらく車を進めれば家が近付いてきて少しずつ緊張感が増していく。
「コンビニ寄る?」
「あ、寄りたいです!」
駐車場に車を止めてコンビニに入る。お菓子と飲み物を選び怜さんの元に戻ると、怜さんも数少ないお弁当を選んでいた。
「作らないんですか?」
「時間遅いし夜はいつも弁当」
確かに家に着く頃には3時半手前だ。仕事の疲れもあるのに夕食を作る元気なんか無さそうだ。
「今度私が作りますね」
「他買うものねぇの」
スルーされた。全く酷い人だ。
「私は大丈夫です」
そう言うとレビの方に歩き出すので私もレジに向かう。台に商品を置いた怜さんが私の手に持っているお菓子と飲み物を取り、一緒に会計する。
「え、自分で払いますよ」
「いい」
「いや、お金を」
「いい」
いいとしか言わないから申し訳ないけど有難く奢ってもらう。車に向かう途中で「ありがとうございます」と声をかけると、無愛想に「うん」とだけ答えた。
家に着くと早速怜さんがお弁当を取り出して椅子に座る。私も目の前の椅子に座った。
「怜さんって素っ気ないですよね」
「普通だろ」
「素っ気ないですよ。優しいけど」
「お前帰らせるぞ」
「褒めたのに!?」
「素っ気ないは褒めてないだろ」
「褒めてますよ!怜さんは素っ気ないところがいいんです」
「ガキのくせに」
「口が悪いですね」
くだらない言い合いすらも楽しい。無意識に口角が上がる。
「怜さんの家に居候しようかな」
「ふざけんな」
「私のこと彼女にしてください」
「お前未成年だろ」
「未成年じゃなかったらアリってことですね?」
「ナシだわ」
「何したらアリになりますか?」
「何真剣になってんだよ」
なるに決まっている。まだ数回しか会ってないとはいえ、本気で好きになってしまったのだから。お遊びではない。
「どんな人がタイプですか?」
「うるせぇな。ガキんちょは寝ろ」
「私だって年頃の女です!」
「俺から見たらガキんちょだよ」
「そろそろ泣きますよ」
怜さんが小さなお弁当を食べ終わる。
「風呂入ってくるから先寝とけ」
それだけ言って怜さんはお風呂場に行ってしまった。寝とけと言われたけど今回は怜さんをソファーに寝かせるわけにはいかない。怜さんが寝るまで待つと決めているのだ。瞼は閉じそうだが。洗面台を借りて持ってきた歯ブラシで歯磨きをした後、ソファーに座ってスマートフォンを触っているとお風呂から上がった怜さんが出てきた。
「寝てないのかよ」
「はい」
「眠りかけじゃねぇか」
「いえ、目ガン開きですよ」
「ほぼ閉じてるぞ」
水も滴るいい男とは彼のことだろう。濡れた髪をタオルでわしゃわしゃと拭いている姿はかっこよさと色気を感じる。それにいつも制服を着ている彼を見ているからか、白いロングTシャツ1枚の姿が新鮮でドキドキする。怜さんが寝室に向かうのに着いていくと、怜さんはベランダに出た。何をするのかと見ていると煙草を取り出す。
「怜さん煙草吸うんですね」
「うん」
手馴れた様子で火を付け吸い始める姿を見つめる。煙草は嫌いだが、怜さんが吸うと画になる。
「煙草似合いますね」
「なんだそれ。ていうか、部屋戻れ。煙吸うだろ」
そう言った直後に吐いた煙が私の方にきて少し噎せる。
「ほら。戻れ」
「大丈夫です」
こんなにかっこいい彼を見逃すわけにはいかない。怜さんが吸う煙草の煙なら嫌いでも我慢できる。
「お前ひっつき虫みてぇだな」
「怜さんのひっつき虫になりますね」
「ちぎり捨てるぞ」
「怖い」
また煙が来て少し噎せると、怜さんが呆れたようにため息をついて「こっち来い」と風向きを考え、私と場所を代わってくれる。
「好きです」
「そろそろ怒るぞ」
「なんでですか。私真剣です」
「だとしたら俺は辞めとけ」
「嫌です。怜さんがいい」
私はいつからこんなに素直になったのだろう。自分の気持ちを素直に伝えることに凄く抵抗がある人間だったのに、彼の前では少し勇気を出せば不思議と簡単に言えてしまう。
「…いい事ねぇよ」
私の言葉に怜さんがどこか昔を思い出すように言うものだから、きっと前の彼女を思い出しているのだろうと胸が苦しくなる。その顔があまりに切ないから余計に。
「…でも、怜さんはきっと大切にしてくれる人です。私にも優しいから」
「そうでもねぇ」
「絶対そうです。いいなー!怜さんの彼女になる人は幸せ者だ。私が子供じゃなかったらよかったのに」
私が怜さんと歳が近ければ彼女になることもあったかもしれない。
「早く大人になりたい」
「子供の方がいいだろ」
「嫌ですよ。夜に外歩いてたら補導されるし、お酒飲むことも許されないし、何より怜さんの彼女になれない」
「前の2つはしてるだろ。俺の彼女は大人になっても無理だ」
「そこまで魅力ないですかね、私」
「俺は辞めとけって言っただろ」
「怜さんがいいって言いました」
「同じ歳の奴と恋愛しとけ」
「怜さんのこと好きになっちゃったから無理です」
「まだ数回しか会ってないだろ」
「そうですけど…。でも、一目惚れだったんです。初めて会ったとき電気走って時間が止まったような感覚になりました」
「一目惚れなら尚更辞めとけ」
「中身も素敵な人でしたよ」
「…そのうち分かる」
そう言って怜さんが煙草の火を消す。
「寝るぞ」
「怜さんはベッドで寝てくださいね。私がソファーで寝るので」
「いい。お前がベッドで寝ろ」
「駄目です。泊まらせてもらってる側だから。それにお仕事で疲れてるし」
「いい」
「駄目です!絶対ベッドで寝ませんよ!決めてるんですから!」
怜さんが困った奴だと言うように顔をしかめる。
「じゃあ、一緒にベッドで寝ましょう!」
「は?無理に決まってんだろ。捕まる」
「もう泊めてる時点でアウトですよ。ストーカーがいない限りバレません」
「…」
怜さんが何も言い返せなくなり、しばらく悩んだあと怜さんが折れて一緒に寝ることに決まった。怜さんが先にベッドに入る。いくらおふざけとはいえ、自分で言い出したもののやっぱり緊張する。まさか本当に一緒に寝ることになるとは思ってもいなかったから。
「なんだ。お前立って寝んのか」
「それは無理です」
緊張しながらベッドに入ると怜さんとの距離が近くなる。ダブルベッドであるのが少しの救いだ。
「私寝相悪いので何かあったら蹴っ飛ばしてください」
「分かった。放り投げとく」
「酷いですね」
「自分で言ったんだろ」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
私に背を向けたままそう言って眠りに入る。男らしいその背中を少し眺めたあと、私も眠りについた。
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