12月21日 5
えらく真剣な表情で、名前を付けてくれと言ってきた雪女さん。
「ふつう、親が子となるものに着けますよね」
「そうじゃな。お前さんの名前もわらわが付けた」
明かされる意外な事実。
ここまでくるとその意外性は、当たり前にも思えるが。
「しかしわらわは考えたのだ、その至極当然の理をお互いに行えば、対等になれるのではないかと」
聞いてる分には雪女さんが考えた理論も当然のように思える。
「でも、神様とかって名前在りません?」
「殆どの神は人から貰った名前を受け入れているだけじゃ」
「それって先程の理論に無理筋がたちませんか?」
「水を水と、雪女を雪女と認識して呼ぶ事は、名づけかの」
「なるほど、ラベリング。それは目印みたいなものなんですね」
「そうじゃ、そうじゃ。氷上はかしこいのう」
そう言って頭を撫でてくる雪女さん。
彼女の指がひんやりして気持ちよく心地よくなってしまうのがよろしくない。
「気を取り直して無難に、つららとか真白とかじゃダメなんですか?」
「前者はただの種類じゃし、それになんかつららとかたるひって、乳が垂れているような感覚せん? ばばあの乳って感じで」
なんだその雪女的な感覚。
人間の感覚だと可愛らしいのにな、つららちゃん。
「背中がぞくってしたわ。雪女でも身震いするのな……。後者は使ったら白い雷がここら一体に落ちてくるんじゃなかろうか。そうなったらわらわ以外しんでしまうんではないかな」
顔を青くしたり、どこか遠い目をしたり、ころころと表情が変わって可愛らしい。
「淡雪、雪那、凍真」
「おおよくなってきがするぞ」
「銀花、深雪、みぞれ」
「もっとちょうだい」
「なだれ」
「おいっ」
おいっと、どこかから取り出したハリセンで頭を優しく叩かれた。
「うーん、真雪とか」
単調だけれど真の雪。
「それじゃ!!」
雪女の感性は分からないな、と思いはしたが、目の前の雪女さんが、「ふふふ、ひかみまゆきかぁ。ふふふ」とにっこりと声に出して微笑んでいるので、考えるのを止めた。
ふふふ、と微笑んでいる雪女さんを見て胸の奥が熱くなってきた。
正座して目の前の彼女に向き合う。
「真雪さん」
「どうした改まって」
「僕と結婚してください」
「わらわが先に言おうと思っておったのに」




