12月21日 2
可愛らしくも美しい雪女さんは、自分を見失ってしまったようだ。
以前見たアニメの雪女は黒髪で巨乳だった。
けれど目の前の雪女さんは白髪のロングで着物を着ているからなのか、慎ましいようにも見える。
というか、今日まで触れてきた漫画アニメ小説ゲームでは決まって雪女モチーフのキャラクターを好きになってきた。
それは今目の前にいる彼女が関係していたのかもしれない。
「何やら失礼なことを考えておったな。よい、許す。わらわは氷で出来ているからな、ほらこの通り」
雪女さんがこちらを向くとどんどんと胸部が膨らんで行った。
見たアニメの雪女とどっこいどっこいな大きさに。
「触ってもいいのじゃぞ」
目の前の彼女の胸部にとても惹かれてしまう。
これが万乳引力。
氷出来ていると教えられても頭が触りたがっているんだ。
「いえ、巨乳も貧乳も好きですが美乳が一番だと思っているので」
「そうか。ならお前さんの好みに合わせよう」
彼女がそう言うと、胸と着物は縮んでいった。
服も氷で出来ているのか。
「氷上、僅かでも登って来たんじゃ。喉が渇いたじゃろ? ほれ」
雪女が僕の目の前のテーブルをポンと叩くとグラスが現れた。
氷が浮かんだ水が入っている。
冬とは言え、ここではそこまで暑さを感じないし、確かに喉は乾いていた。
「いただきます」
そう言って水を一気に飲みこんだ。
「その水な、わらわの一部じゃ」
吹き出す水もなかった。
「全部飲んじゃったじゃないですか」
「まさか一気に飲み干すとは。それにわらわ下腹部が熱くなってきよる。雪女なのに」
うわあ、すんごい性癖の持ち主。
「歴代の氷上さんにも味わわせてきたんですか?」
「おお、嫉妬かい? いんやお前さんが初めてじゃ。のう、今度はカキ氷でもどうかえ? 色の付いた蜜を仰山かけてさあ」
蛇に睨まれるもとい雪女に睨まれる。
キラリと光った彼女の興奮する瞳を見て動けなくなっている。
「最初から雪女の例えを使ってくりゃれ、今なら嫉妬で蛇神をころせそうじゃ。彼奴も白銀の髪をしておるからの。お前さんは特に好んで白髪銀髪のキャラクターが好きなんだしの」
「それも、後半部分も心を読んだんですか?」
「ここがわらわの領域だとしても、過去は読めん。お主のパパが社の前で延々と語っておったぞ」
「パパ!?」
何しているのお父さん。
「社の前?」
「ああ、基本的に顔と魂の両方が好まぬ個体とは会わぬ。そこに関してはお前さんは最高だぞ」
魂が好みと言われると心がくすぐられる反面、はてなマークも浮かぶ。
魂とは。
「歴代の氷上はな、皆顔が良いからか、成長過程でヤリ〇ンになるのじゃよ」
魂とは、貞操?
「お主のパパも相当なヤリ〇ンじゃぞ」
兄弟とかいるのかな。
「おらん、氷上家は代々男児ひとりしか生まれない呪いが掛かっておる。というかわらわが掛けた。まあ、氷上の名を生涯捨てればほどけるがの」
「僕だって童貞じゃない可能性もありますが」
「いや魂見ればわかるし、それに白髪銀髪の長髪なんてここら辺の人間に生まれるわけなかろうに」
なんで目の前の雪女さんにさえ呆れられているのか。
となるなら、白髪銀髪ロングの美少女キャラクターメインのアニメ漫画ライトノベルゲームへの課金がなぜか許されていたのって。
「うむ、わらわの懐から出とる。痒くもない出費じゃったが、最高級のリターンじゃの。お主のパパがこの提案を社の前で語った時は大笑いしたのものじゃ」
何年越しの計画だ……。というか今日誰も家にいなかったのって。
「そうじゃ、もう氷上はお前さんだけじゃぞ。けれど天涯孤独にはならぬ。永遠のふたりぼっちじゃ」
まあ、最初から仕組まれていたとしても、目の前の雪女な以上に白銀の長髪の美女はいないだろう。
「んんん、いることにはいるぞ? 白髪長髪の龍神とかな、彼奴は別の世界の人間を愛しているようだが」
「でも、先程から貴女の容姿だけではなく中身も好きになりつつありますよ」
「そうなのかい?」
「はい、だって黙っていた方がいい事さえ共有してくれますので」
「まあ、人間じゃなくても負い目は感じることもあるのじゃよ」
そう言って瞳が少し暗くなった彼女の表情を遮るかのように、僕の腹の虫が鳴った。
「おお、氷上も食べると言い」
彼女が冷凍焼き芋の包装を開け芋を手に取ると、芋から湯気が溢れ出した。
あちあちになった焼き芋を手渡してくる。
あっつ。
「火傷したら、わらわが冷やしてやるからの、安心して食べると言い」
ここの空間が妙に居心地がいいのはそう言うことか。
焼き芋あっっっつ!!!
「全く、氷上は誘い上手じゃの」
意図してお前さんと氷上とお主を分けて書いたつもりですが、難しいものですね




