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絶対零度系のラブコメ  作者: もこもこケーキ
35/36

35話.再会

 

 目黒(めぐろ)の今住んでる場所がわかった日から、翌日…。

 俺は新幹線に乗って秋田まで来ていた。

 うわ…ほんとに来ちゃったよ。こんな早くに行くつもりはしてなかったけど、後輩の秋元(あきもと)片桐(かたぎり)先輩たちの圧が強くて、もう今日にでも行くしかなかった。

 とりあえず目黒(めぐろ)の家は…バスに乗り換えなくちゃいけないのか。これ、帰り大丈夫かな…。

  

 バスに乗って、どんどん駅から離れていく。人の姿もほとんどなくなっていく。

 周りがだんだん、田んぼや畑だらけになっていくんだけど。行き先間違えたら、普通に迷子になりそうだな…。

 目黒(めぐろ)の家から一番近いバス停に着いた。しかし、まだそこから距離があるため歩かなくてはいけない。

 公園みたいなところを通って…スマホの地図を見ながら…よしっ、ここか!


「ここが…目黒(めぐろ)の家か」


 俺は『目黒』という表札のついた一軒家にたどり着いた。

 普通に一軒家だな…。むしろ、周りも一軒家しかないから、これが普通なんだろう。

 インターホンを押したらついに会えるのか…。

 俺はインターホンを押す手が震えていた。

 緊張する…。こんなに緊張するのも久し振りだ。

 

「あれ…出ない?」


 一度インターホンを押してみるも、応答はなかった。

 もう一回…あれ?もう一度…ん?

 何度押しても誰も出てくれない。

 もしかして…今は昼間の13時だし、大人は仕事に行っていて、目黒(めぐろ)は学校に行ってるとしたら…。

 家に誰もいないなんて当たり前の話じゃないか。


「近くの公園で時間をつぶすか…」 

 

 家の前で待ってるのも不審者に思われそうなので、さっき通った公園に戻ることにした。

 何時ぐらいになったらまた行くかな…。夕方になっても目黒(めぐろ)が帰ってこなかったら、俺はどうすりゃいいのか。外で時間をつぶすのも限界があるぜ…。


 スマホの充電を心配しながらも、俺はトボトボ歩いていた。

 曲がり角を抜けて、一本の道に出たとき…。



 俺は見つけてしまった。



 ここからでもわかる。彼女の後ろ姿だと。

 俺は慌てて追いかけようとした。だが、急に足が止まってしまう。

 目黒(めぐろ)の横に…男がいた。

 目黒と同じような色の制服を着ているから、きっと同じ学校の人か。

 なんだ…あいつ彼氏いたのか。そりゃ、彼氏がいるんだったら、秋田に帰りたいと思うよな…。

 俺…ここまで来て何してるんだろ。なんか惨めになってきた。

 



 東京に戻ろう。



 そう思った瞬間、目黒(めぐろ)たちの話し声が聞こえてきた…。

  

「ねぇ、いいじゃん。俺たち付き合おうよー」

「無理。他の人をあたって」

「周りからもお似合いって言われてるんだぜ?軽い感じで付き合うだけでいいからさー」

「………」

「おい、なんで無視すんだよ」


 目黒(めぐろ)の横にいた男が、目黒(めぐろ)の腕をつかんだ。

 横顔しか見えないけど、目黒(めぐろ)は急に腕をつかまれて痛そうな顔をしているように見える。


「あ、あの!」


 俺はまっすぐに目黒(めぐろ)たちの方に走っていた。

 急に現れた俺に、目黒(めぐろ)の横にいた男は不快そうな顔をしている。


「はぁ?あんた誰?」

「彼女が嫌がってるんで…やめたほうがいいと思います」

「何言ってんのテメー。勝手に話に入ってきてんじゃねーよ」


 おお…メンチを切られてしまったよ…。ほとんど距離のない近さで、俺を見下ろしてくる男。

 こんな展開、漫画でしか見たことないぞ。まさか俺が実際に経験するなんて。

 相手の男は俺より身長も高く、いかつい顔をしていたので迫力がすごい。

 やべぇ…涙目になりそう。

 

「待って!」


 彼女のハッキリとした声が聞こえてきた。

 こんな大きな声を出すなんて…珍しいな。

 目黒(めぐろ)は俺の腕を取った。そして、その男に対して一言言い放った。

 

「この人は…私の大事な人だから」


 大事な人…。

 そう彼女に思われていたことに、俺は勝手に目頭が熱くなった。

 

「チッ。そういうことかよ」


 その男はそれだけ言うと、イラついた様子でここから離れていった。

  

「ビックリした…。殴られるかと思った」

「………………………」


 目黒(めぐろ)は無言でじっと俺を見ている。

 何がすごい言いたげな顔しているな…。

 それもそうか、いきなり東京から俺が秋田までやってきたから。


「え、えっと…久し振り?でもないか。よ、よぉ」


 俺は自然と目黒(めぐろ)に再会した感じの雰囲気を出したのに。

 目黒(めぐろ)はなぜか、スマホに耳を当てていた。

 もしかして…どっかに電話しようとしてるのか?


「おい。どこに電話するつもりだ」

「警察に。私のことはるばる東京から追いかけてきたストーカーが目の前にいるって」

「お、おまっ、やめろよ!」

「ウソ。冗談」


 冗談って目黒(めぐろ)は言ってるけど、顔が無表情だから本気にしか見えないんだよな…。

 でも、やっと目黒(めぐろ)に会うことができた。

 目黒が着ている制服は見たことがあった。東京にいた頃、初めて目黒と曲がり角でぶつかって出会った時に、彼女が着ていた制服と同じ。

 本当に秋田の学校に戻ったのか…。いったい、どうして。

 俺は目黒(めぐろ)に質問したいことが沢山あったが、先に目黒(めぐろ)の口が開く。


「なんでスグルがここにいるの?」

「なんでって…お前に会いにきたから」

「どうして?」

「あんな別れ方したら、こっちだって納得いかないんだよ」

「それだけ?」


 さっきからすごい目黒(めぐろ)は質問で返してくる。

 たぶん、俺が本心を言ってないのを見抜いているからか。  

 ここまで来て、誤魔化す必要はないよな…。

 俺はもう、正直な気持ちを彼女に打ち明けた。


「お前に会えなくなるのが嫌だったんだ」

「…そっか」


 相変わらず、目黒(めぐろ)の反応は冷めている。

 これまで何回もそんな彼女の表情を見てきた。

 でも、なんだろうか…。

 今の彼女は…どこか泣きだしそうにも見えて。

 

「私はもう、スグルと会うつもりはなかった」


 ハッキリと彼女に拒絶されたような気持ちになった…。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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