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絶対零度系のラブコメ  作者: もこもこケーキ
21/36

21話.草食系

 

 目黒(めぐろ)と一緒にベッドにいた事件の翌日。

 俺は朝早くから寮を仕切っている盛田(もりた)のおばちゃんに呼び出されていた。

 寮の使われていない物置部屋みたいなところで、俺は盛田(もりた)さんと二人きりにされた。


「まぁ、よくはないねぇ」

「…ですよね」


 昨日の件について、盛田(もりた)さんは感想を述べた。

 同じ寮の…しかも男女が一緒のベッドにいたのは、なかなかに深刻な問題か。


「あんたたちも付き合ってるなら、場所を選ばないと」

「えっ、いやっ、つ、付き合ってないんですけど」

「はぁ?付き合ってないもないのに一緒のベッドで寝ようとしてたのかい?」

「…そういうことになりますね」


 盛田(もりた)さんは呆れたような顔をしていた。それは、俺に対して『情けない』とでもいうメッセージなのだろうか…。


「まっ、今後はうちの寮で昨日みたいなことしなきゃいいよ」

「えっ…それでいいんですか?」

「私も若い頃はあんたたちみたいに青春したものよ」


 盛田(もりた)さんは懐かしそうに語っていた。


「青春って…いつの時代っすか」

「なんか言ったかい?」

「いえ、別に」


 特に盛田(もりた)さんからはお(とが)めなしに終わった。目黒(めぐろ)と接触禁止とか、最悪退寮まで考えていたが…意外と優しく見てもらえたんだな。

 盛田さんから解放されたので物置部屋からリビングに移動すると…目黒(めぐろ)がソファーに座っていた。

 昨日のこともあってか、目黒(めぐろ)のことを見ると心臓がドキッとしてしまう。

 リビングには目黒(めぐろ)以外いないか…。


「あ…目黒(めぐろ)

「スグル?」


 目黒(めぐろ)に声を掛けると、目黒(めぐろ)はこちらに顔を向けてくれた。


盛田(もりた)さんから話あったか?」

「うん」

「まぁ、そういうことだから…昨日みたいなことはもう無しってことで」

「そうだね」


 目黒(めぐろ)からしてみれば、たぶんそういう男女関係とかまったく関係なく、ただ部屋にいたGが嫌だったから俺のベッドを借りようとしていただけなんだろう。

 まぁ、俺は目黒(めぐろ)から男として見られていないということでもある。

 ふっ…なんだか悲しくなってきたぜ。


「ねぇ、スグル」

「ん?」


 目黒(めぐろ)がじーっと俺の目を見つめてくる。


「昨日…キスしようとした?」


 俺は口から変な声が出そうになった。

 正直昨日のことについては今でも記憶があやふやなのに、目黒(めぐろ)のその一言で一気にその場面が頭の中で再現されていく。

 

「いや…き、記憶があやふやで…」

「そっか」


 俺は適当に嘘を付いた。本当は昨日の夜は…その場の雰囲気に飲まれていたけど。

 とりあえず、ここにいるとまずい。これ以上目黒(めぐろ)に追及されるとボロが出そうである。

 

「スグル」


 リビングから立ち去ろうとしたとき、俺は後ろから目黒(めぐろ)に呼ばれた。


「今は誰もいないよ」


 思わず足が止まってしまった。

 目黒(めぐろ)のその言葉の意味が、どうしても自分の都合のいいものに捉えてしまう。

 キスしようとしたか聞かれて、今は誰もいないって言われたら…

 俺は自然と目黒(めぐろ)の方に体が動いていた…。


 

「あー!昨日交尾してた二人がまた一緒にいるっす!!」


 急に大きな声をあげながら後輩の秋元(あきもと)が入ってきた。

 正直…助かった。あのまま目黒と二人きりだったら、俺は何をしていたか…。


「交尾って言い方なんだよ…。あと、俺と目黒(めぐろ)は昨日の夜何もしてないからな!」

「狼先輩の言うことは信じられないっすね!」

「狼って…お前例えが古いな」


 秋元(あきもと)は俺に威嚇しながら、俺と目黒(めぐろ)の間に入ってきた。

 なぜ俺が目黒(めぐろ)に手を出そうとしている立場になっているのか…こんな草食系男子代表なのに。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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