16話.プール①
「片桐先輩…なんで俺たちプールにいるんですか?」
「暑くなってきたからな。寮のメンバーで親睦を深めるのもいいだろう」
かき氷が美味しくなりそうな時期。
俺と寮のメンバーは近所にあるプールに来ていた。地元の中でもけっこう広くて有名なプールらしい。
それにしても、なぜ寮のメンバーとプールに…。
朝起きたら急に片桐先輩に「プール行くぞ」って言われてこの事態である。
「それにしても、初川。お前はもっと鍛えたほうがいい。それじゃ、好きな女子も守れないぞ」
「べ、別に好きな女子なんていないんで」
片桐先輩は鍛えているのか、腹筋が割れていた。
俺の腹は…残念ながら真っ平らであった。
「おっ、女性陣が来たな」
片桐先輩がそう言うと、プールの入口から冨田先輩と後輩の秋元がやってきた。
「お待たせーっす!」
「秋元…お前、スク水って」
「いいじゃないっすか!まだ中学のときの入るんで節約にもなるんすよ!!」
俺の指摘に秋元はプンプン怒っていた。中学時代のスク水らしいが、普通に似合ってるのでそれ以上何も言えない。
問題は冨田先輩だ。真っ白な水着姿に豊満な胸が強調されていて、刺激的すぎる。
この先輩、スタイル良すぎだろ…。くびれもあって、足も細くて、胸もでかい…。しかも顔もモデルさんみたいだし。
「初川君、そんなに見られると恥ずかしいんだけど〜」
「え、あっ、す、すいません」
俺は思わず、冨田先輩のことをジロジロ見ていたらしい。
「うわぁ…まじ先輩鼻の下伸びすぎっすよ」
しかめっ面した秋元からツッコミが入る。
「の、伸びてねーし」
「片桐君の腹筋すごいわね〜。触ってもいい?」
「と、冨田。それは触るとは言わず、殴るって言うんだぞ…」
気が付くと、冨田先輩と片桐先輩の3年先コンビがじゃれ合っていた。
というか、冨田先輩が片桐先輩の腹を殴っているだけだが。
「なぁ…あの二人って仲悪いのか?」
「さぁ…。喧嘩するほど仲が良いとも言いますしねー」
コソコソと小さな声で俺と秋元は話す。
寮ではあまり見られなかったけど、あの二人って意外と絡むんだな…。
冨田先輩と秋元も来たところで、残すはあと一人だった。
「目黒はどこにいるんだ?」
俺は周囲を見渡してみると…いた。
プールの入口のある壁から顔だけを出して、こちらを眺めている目黒。
なんでこっちに来ないのだろうか…。なんか珍しく不安そうな表情もしているし。
「なんであいつはあそこに隠れてる…」
「初川。お前目黒に何かしたのか?」
「な、なんもしてないですよ!」
「さえちゃん連れてきたら?」
「しょうがないっすねー」
冨田先輩に促されて、秋元が目黒の方に駆け寄った。
秋元が目黒の腕をがっしりと掴んでこちらにやって来ると…
「………」
…俺は心臓が止まるかと思った。
目黒はそんな派手じゃないピンクの水着を着ていた。
あの目黒がピンク…それも衝撃的だったが、色白でモデルのようにスラッとした長い手足、きゅっとくびれのあるウエストに谷間の強調されたバスト。
俺は目黒の水着姿に目を奪われていただろう。
「………」
「…スグル、どう?」
恥ずかしそうに目黒は俺に聞いてきた。
「いや、あの……すごい、似合ってると思う」
「ありがとう…」
「お、おう」
「…あんまり見ないで」
「えっ、や、俺は…」
「…えっち」
目黒は聞こえるか聞こえないくらいの声で言ってきた。
目黒の恥ずかしそうにしている姿やその言葉に、心臓がドキッとしてしまう。
しかし…なんだあれだ。俺と目黒のやり取りをさっきからニヤニヤした顔で眺めている他の3名がいて、居心地悪いなこれ。
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