15話.お揃い
目黒から貰った大食い大会の景品のストラップ。
せっかく貰ったんだから、どっかに付けないと勿体ないよな…。
俺は通学用のカバンにひっそりとストラップを付けた。ストラップ自体がそんなに大きくはないし、誰にもバレることはないだろう。
「初川殿!おはようでござる!」
「お、おう。朝からテンション高いな」
学校に登校すると、隣の席にいる吉田が無駄に元気だった。
だいたい吉田が明るいときは、好きな漫画かアニメ関係である。
「昨日の深夜に放送されていたアニメのOPの映像のクオリティの高さとそれにマッチングした曲に、アニメのデザインも原作を忠実に表現していてここ最近では一番の神アニメに出会ったのでござるよ!」
「よく息継ぎせずにそんな早口で喋れるな…」
「おや?初川殿、カバンにストラップ付けたでござるか?」
俺の机の上に置いてあったカバンを、吉田は眼鏡の縁を押さえながら見ていた。
まさか、一番にこいつにストラップの存在を気付かれるとは…。
「あー…まぁ、気分転換にというか…なんというか」
「カバンにストラップやキーホルダー付けるとテンション上がるでござるよね!拙者のカバンも見てくだされ!」
吉田は俺にカバンを見せてきた。
吉田のカバンには沢山のアニメのキーホルダーや缶バッチが付いていた。
いくらうちの高校は緩いと言っても…これは目立ちすぎるだろ。
「どんだけ付けてんだよ。痛バみたいになってるじゃねーか」
「スグル」
急に横から声が飛んできた。
俺のことを下の名前で呼ぶのはあいつしかいない。
声の方に顔を向けると、やはり目黒がいた。あれ?なんか目黒の雰囲気がいつもより怒ってるような気が…。
「な、なんだ目黒」
「なんで今日先に行ったの?」
「いや、だって…早く起きれたから」
そうなのだ。俺は目覚ましの鳴る1時間前に起きてしまったので、学校を出る時間も普段より早くなったのだ。
「いつも一緒に登校してるのに、スグルに置いていかれた」
「悪かったって…」
ん?なんか…背後から圧を感じる。
吉田は歯ぎしりをしながら、眉間にシワを寄せながらこちらを睨んでいた。
眼鏡のレンズの奥の目が怖いぜ…。
「二人は何話してたの?」
目黒が俺と吉田に質問を投げかけてくる。
「え?そ、それは…まぁ、アニメとかの話をな」
「初川殿がカバンにストラップを付けていたので、それについて盛り上がってたでござるよ!」
くそっ!吉田余計なことを…!
目黒から貰ったストラップを、すぐにカバンに付けているなんて知られたら恥ずかしいのに…。
「ストラップ?」
目黒は俺の机の上に置いてあるカバンに目をやった。
「………」
「め、目黒。これは違うんだ。せっかく貰ったのだから、ちゃんと有効活用しようという気持ちでカバンに付けたのであって」
すると、目黒は肩にかけていたカバンを両手に持ち替えた。
そして、カバンを胸の前に持ってきた。
あっ…俺が貰ったストラップと同じやつが…。
その時、目黒の頬にえくぼができていたかもしれない。
「スグル、お揃いだね?」
俺は思わず、目黒に見惚れていただろう。
「うわああああああぁぁ!!!初川殿はもうリア充まっしぐらのヤリチンでござるぅぅぅ!!」
「ヤリチンじゃねーよ!?あと、お前声デカすぎるだろ!」
吉田がギャンギャン騒ぐものだから、クラスの注目の的になっていて恥ずかしかった。
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