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《完結》婚約解消? もともと嘘から始まった婚約ですものね  作者: ヴァンドール


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5話(恨み)ディアナ視点

 これでやっと、あの憎らしいリリアン・アッシュフォード伯爵令嬢に仕返しができたわ。

 今頃はギルバート様に振られて、不幸のどん底にいることでしょうね。  

 なんといっても、あの女、彼に何年費やしてきたことかしら。そう思うと、笑いが止まらないわ。


 幼い頃、わたくしには憧れていた方がいた。 

 王宮の行事や、お母様に連れられて出席したお茶会で、よく顔を合わせていた男の子。  

 ボーフォール子爵家のご令息、アーサー様。   

 子爵家とはいえ、ボーフォール家は古くから続く名門。子供同士で顔を合わせる機会も多く、一緒に遊ぶこともあったわ。  

 しかもアーサー様は、ギルバート様と同じく次男。  

 だから、いずれ我がローゼンベルク侯爵家を継ぐわたくしの婿になってくださったら……なんて、子供心に夢見ていたのに。


 そんなわたくしの淡い想いを打ち砕いたのが、ギルバート様とあの女だった。  

 ギルバート様がリリアンに告白し、二人の婚約が決まった。  

 そのことを知ったアーサー様はひどく落ち込み、そのまま隣国へ留学してしまったのだわ。  

 あの方が傷ついて留学されたと知ったとき、わたくしの心は悲しみと怒りでいっぱいだった。


 許せなかったのは、あのリリアンよ。

 自分がアーサー様の心を奪ったことすら気づかず、平然とギルバート様との婚約を喜んでいるなんて、ふざけるにも程があるわ。  

 たとえ何も知らなかったとしても、そんなことは知ったことではないわ。わたくしからアーサー様を奪ったのは、間違いなく、あの女なのだから。

 いつか必ず同じだけの絶望と報いを受けさせてやると、その日わたくしは心に誓った。

 そして、ようやくその機会が訪れた。

 次男であるギルバート様にとって、侯爵家を継ぐわたくしは魅力的だったのでしょう。  

 リリアンは伯爵家。わたくしは侯爵家。  

 天秤にかければ、どちらが得かくらい、あの方にも分かったはずです。

 その上、わたくしのこの美貌ですもの。あの女に負けるはずはないのよ。


 リリアンの傷ついた顔を想像するだけで、胸の奥がすっとした。  

 これで、あの頃の屈辱は少し晴らせた気がした。

 まあ、だからといって、隣国へ留学してしまったアーサー様が戻ってくるわけではないけれど。  

 それに、正直に言えば、ギルバート様をアーサー様ほど好きなわけでもないわ。見た目だけなら、まあまあだけれど。


 子供の頃の彼はリリアン一筋で、わたくしが入り込む隙などなかった。  

 だけど、大人になった彼は家のことや自分の将来を考えるようになっていた。  

 だからほんの少し、甘い言葉を囁いただけで、あっさりわたくしの方に靡(なび)いてきたもの。

 本当に、思った以上に容易だったわ。

 結局、愛より打算で選ぶ程度の男だったということね。


 それにしても、この前は面倒なことになったのよね。

 あの女が言いつけたせいで、ギルバート様はご両親から勘当されてしまったの。それでも結局は何の問題もなかったわ。

 わたくしがお父様にお願いしたら、すぐにヴァロア侯爵家へ足を運んでくださったもの。

 同じ侯爵家でも、我がローゼンベルク侯爵家の方が格上。

 お父様が一言お話しすれば、ヴァロア侯爵様だって逆らえない。

 わたくしにできないことなんてないのよ。


 ああ、気分がいいわ。あの女が今頃、一人で悲しみに暮れていると思うだけで、思わず笑みがこぼれてしまう。

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